表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

プロローグ

「早く帰れと言って…」

「うっさい!」


 国王の側近であるジュードは目の前の光景に感動していた。

 人嫌いの殿下のために連れてきた婚約者候補が、騒ぐ殿下を一喝する姿に。

 一喝された殿下は驚きのあまり、固まっている。

 これまで殿下には何人もの令嬢を婚約者候補として連れてきたが、そのすべてに暴言を吐き、追い返していた。

 しかし、今回連れてきた婚約者候補は逆に殿下を黙らせたのである。


「素晴らしい。やはりあなたなら何とかできます。頼みましたよ」

「イヤです。面倒そうですし」

「…それなら、半年殿下と一緒に暮らしていただければ、報奨金を出しましょう」

「…いくらです?」


 婚約者候補として連れてきたこの娘は、下町で育ったご令嬢だ。

 貴族が使用人をかどわかして生ませた娘なのだが、黒髪を持つ忌み子であったために屋敷を追い出されたいわくつきである。

 正当なご令嬢ではないが、もうここに至っては妥協するべきところ。

 商売人でもあるこの娘はやはりお金に飛びついてきた。


(よし、これで無理やり同居させれば、いずれ二人の間には愛が芽生えるはずだ)


「金貨100枚」

「もう一声」

「200枚」

「何かオマケも」

「…では、王都への出店許可証はいかがですか?」

「よし乗った!」


 よし、と言いたいのはこちらも同じ。

 金貨200枚と出店許可証ごときで殿下の結婚相手が得られると思えば安いものだ。


「お前らでてけー!」


 そこで騒いでる殿下は黙殺。

 ジュードはこれでやっと自分の仕事に終わりが見えたことに安心した。

 ジュードと下町令嬢との出会いは5日前になる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ