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異星異変 壱~誰だお前は!

誰もが自然を求めている。然し、多くの人間は堕落を選ぶ。自然は唯の綺麗事で有り、自分を美しく魅せたいだけである。

 ここは何処か遠い惑星。そこに一際目立つ建物がある。


「作戦の方はどうだ」


「全て手筈通りです」


 それの中の無機質で機械的な部屋で誰かが会話している。


「フフフ。これで神々が恋した幻想郷は私の物だ。さあ、兵を向かわせろ!」


 多くの宇宙船が飛び地球、そして幻想郷へと向かった。



 どんなやる気も削いでしまいそうな残暑。幻想郷の時間はゆっくりと流れていた。こんなに暑いと活気も無くなっていく。


 博麗神社で霊夢と萃香が話していた。


「あっつい……暑くて干からびそう……動いてないのに暑いよ~……」


「もう、五月蠅いわね。大体何で此処にいるの!」


「だって旧地獄は暑いし~」


「全くアンタみたいに妖怪がいると神社の信用が下がるんだけど」


「え~いいんじゃん。どうせ元々人気なんかないんだし~」


 うだうだ話していると、鳥居を潜る黒い少女がやって来た。


「おい霊夢。最近の夏は何か暑くないか?もしかしてこれって異変か?」


「さあね。前調べてみたけどわからないのよ。それに気温の変化は外の世界にも依存してるから簡単には解決出来ないのよ」


「はあ、じゃあ我慢するしかないのか。まあいいや、折角来たんだからお茶の十杯でも飲ませろ」


「どんだけ居座る気なのよ。さあ帰った帰った」


「え~……」


 魔理沙は渋々出て行った。霊夢は吐息を吐き、お茶を啜った。萃香は更にゆったりとした口調で話した。


「う~ん……、でも確かに気温おかしいとおもうよ~。特にこの三十年間で~」


「そうね……。でも幾ら調査しても原因が見つからない…。やっぱり外の世界が理由だと思うんだけどね」


「それなら守矢の巫女か、人里に居る元外の世界の人間に聞けばいいんじゃない~?」


「前も聞いたけどねー。外の世界で二酸化炭素の排出?が原因だって考えられてるみたい。どっちみち私達じゃ干渉はできないわ。でも、する事もないしまた行こうかしら……」


 少し面倒くさそうだが、異変を解決するのは博麗の巫女の仕事である。怠ける訳にはいかない。


 霊夢は人里を訪れたが、余り有力な情報は得られなかった。


「やっぱり幻想郷内からはどうしようもないのかも……」


 霊夢は空を飛んで帰ろうとしたが、直射日光を浴びたくないので森の中を歩いた。

 

 人里と博麗神社の間位まで歩いた頃、霊夢は道の傍に金属の塊を発見した。怪訝に思った霊夢は近づいた。それには窓が付いており中には誰かいた。見た目は人間に似ている。


 霊夢には気付いていないが明らかに顔に悪意がある。警戒し札を構えながら観察をしていると、そいつ等は霊夢に気が付いた。

 その瞬間持っていた銃でレーザーを放ってきた。霊夢は慌てて避け、札を投げ倒した。


「まったく……。危険な奴らね。でもこれは明らかに何か異変の予感が……。調べる必要がありそうね」


 霊夢は中に入り物品を調査した。


「何これ……。見た事無い物ばかり。もしかして外からきた奴らなのかしら?一旦持ち帰って調べてよう」


 霊夢は急いで家路に就いた。博麗神社に着き居間に入ると、萃香とあうんが酒を飲んでいた。


「まったくあんた達は何時までも居座って……」


「まあまあいいじゃん~。それに狛犬は神社の守り神でしょ」


「はあ……。でも今回は都合が良いわ。さっき近くの森の謎の集団を見つけたの」


 霊夢は彼奴(あいつ)らについて話した。


「それで、これらを取ってきたの」


 霊夢は卓袱台に銃やそれ以外にも謎の物体を散らばした。萃香は銃を弄っていた。霊夢は発射されないか警戒したが大丈夫そうだった。


 あうんは薄い板を触っていた。暫く触っているとあうんは何かに驚いた。

 霊夢が「どうしたの?」と聞くと「これ…追跡されてる……!」と言った。霊夢と萃香はピンときていなかったがあうんは酷く慌てていた。


 他にも見ていると外から轟音が響いた。霊夢は外に出た。そこにはさっきの金属の塊が十台程浮いていた。先端は尖っており、左右には羽が付いている。それらは霊夢達を狙って弾を放ってきた。


「ちょっと!神社で暴れないでほしいんだけど!」


 霊夢は針で次々と墜落させた。あうんと萃香も弾幕を放ち全て倒した。


「ほらやっぱり……。早く何とかしないと」


「そうね。また調査してくるわ」


 霊夢が飛び立とうとした時、あうんが呼び止めた。


「まって、私も付いていく。私の方が感覚が鋭いと思うし役に立つよ」


「えぇ……まあいいわ。直ぐ行くわよ」


 霊夢とあうんは博麗神社から飛び立ち妖怪の山方面に向かった。その途中でさっきの奴らが乗っていた乗り物が目の前に二十台位が再び現れた。


「さっきより多いわね……。でも私だけで十分!」


霊夢は夢符「夢想亜空穴」で全て撃破させた。


「流石霊夢さん、凄いですね~」


「ふふん……。こんなの朝飯前よ。でも彼方此方にあいつらが攻めてきているようね。でも何処からやってきてるのかしら?こんな奴倒しても倒しても意味がない…」


「ん~……。ん?ちょっと!霊夢さん。あの乗り物から何か気配を感じるよ!」


 あうんはそう言うと堕ちた乗り物に向かって行った。


「ちょっと……」

 

 霊夢も呟きながら付いていった。あうんは既に中に入り色々な物を触っていた。霊夢は何か変な事が起こらないか恐れあうんを見るだけだった。あうんは幾つかあるボタンを押していた。


 その中の一つの赤いボタンを押すと、乗り物ごと霊夢とあうんがそこから消えた。



「可笑しいよ。もう九月下旬なのに全然涼しくならない。何時になったら秋が来るのかしら……」


 妖怪の山の麓で紅葉色の少女と、深緑色のゴスロリ少女が話している。


「まあまあ、割と最近そうじゃない。慌てなくても良いよ」


「そりゃ雛ちゃんの仕事は大体何時もあるからいいじゃない。でも、私は秋だけだよ!暇でしょうがないし、神様としての存在意義も薄まっちゃう」


 寂しさと終焉の象徴の秋静葉だが、木を苛立たしく蹴った。まだ緑の葉がハラハラと散るのは、ある意味幻想的である。

 秘神流し雛の鍵山雛は、苦笑した。山を見渡しても、赤く染まり始める葉は少ない。幾つか我慢出来ずに塗ってしまったのかもしれない。


「まあ、そろそろ、もうちょっと染めても良い時期かもね。雛ちゃんも一緒にやってみる?」


「いいね。やろうやろう」


 外の世界がどれほど混沌を極めても、幻想郷には穏やかで暢気な空気が流れている。


 二人は幻想郷を錦に変えていく。静葉が次の木を探している時、金属の乗り物を見つけた。


「ん?これなんだろう?ちょっと雛ちゃーん、なんか変な物があるよ。来てー」


 雛は木の葉っぱの間から出てきた。


「どうしたの?」


「ほら、見て。これ、何だと思う?」


 雛は更に静葉に近付き、まじまじと見つめた。


「うーん、初めて見たなぁ。幻想郷では見たことないし、外の世界の物かな?」


 雛はそっと金属に近付いた。変なボタンらしきものが沢山ついている。適当に押していると雛と乗り物、そして、静葉も姿を消した。


 そんな異様な光景を見ている者がいた。それは三国だ。慌てて家に帰り、秋晶達に伝えた。


「突然消えるのか~……。ううん……、十中八九異変だろうね。でも金属の乗り物とか、外の世界か月の都くらいしか考えられないかな。其れか更に発展している文明か」


 龍毬はその話を聞いて尋ねた。


「月の都って何のこと?」


「月の都てのは簡単に言うと、月に存在している都市の事だよ。そこでは幻想郷はおろか外の世界よりも

進んだ技術で、便利な暮らしをしてるんだって」


 三国はチラチラと龍毬の方を見て語り始めた。


「異変なら解決しようよ、前みたいに。そうすればまた龍毬の雄姿が見れてるよね♡今直ぐ行こう、早く行こうよ♡!」


 突然変異した三国の姿に、三人は生暖かい目で眺めた。それに気が付いた三国は口を尖らせた。


「ちょっと。何で引いてる風なのよ。あたしの行動に何か問題でも?」


 高圧的な態度に三人は、苦笑する事しか出来なかった。


「ま、まあ取り敢えず、異変の調査しよっか。多分其の乗り物を見つけてたら行けるでしょ」


 秋晶はそう言うと外にそのまま出て行ったので、三人も付いて行った。


 ぱっと見の幻想郷はいつもと変わったと事はない。然し、今も少しずつ謎の陰が蝕んでいるのだろう。秋晶達は気持ち急いで乗り物を探した。


 だが、探している物は中々見つからないものである。日が傾き、森の中はもう真っ暗である。


「もう今日は諦めようか、全然見つからないし」


 秋晶がそう言った瞬間、彼女の前に赤い筋が走った。


「わっっ!」


 秋晶は尻餅をついた。三人も驚き、慌てた。


「あ、秋晶さん大丈夫ですか?」


 辰は手を差し伸べた。秋晶は有難うと言いながら手を掴み立った。


「一体誰なんだ。出てこい!」


 三国が叫ぶと、再び赤い筋が上から降ってきた。四人は夫々避けたが、何時まで経って降り続けるので、龍毬は哀符「坂田金平の牛蒡」を使った。赤い筋と同じように、黄色の筋を沢山上に向かって放った。


 すると、攻撃がピタリと止み、赤い塊が落ちてきた。弾幕かと思ったが、其れは人の様だった。


「痛いなぁ……。何で突然弾を撃ってくるのよ!」


 其れは秋晶と同じくらいの背丈の少女だった。赤と黒が混ざった髪に、鋭い目だ。


「いやいやいや。先に奇襲を仕掛けてきたのはそっちじゃん?そもそも突然、何の用?」


 龍毬はそう言った。


「全く、君達は幻想居のルールも知らないのかな?いいかい、妖怪は人間を襲う。それが大前提だよ」


 勝手に偉そうに語り始めた。面倒臭そうなので四人はそそくさと逃げた。幸い話すのに夢中になって気付かれなかった。


「はぁ、此処までくれば追ってこないでしょ。彼奴は一体何者なのよ」


「そうか、皆さんは今まで幻想郷に居なかったから誰か知らないですよね。彼奴は妖怪です。最近、里でも一々説教みたいな事をしだして、逃げるものなら襲ってくるっていう、何というか鬱陶しい妖怪ですよ。名前は崇高杏っていうらしいですよ」


 三人は苦笑した。そして、秋晶が言った。


「ちょっとグダグダしたけど帰ろっか!」


 そうして、家の方向に進み始めた。しかし、途中で辰が立ち止まった。後ろにいた三国が声を掛けた。


「ん?どしたー?龍毬はあたしのものよ!」


 三国は右腕をブンブン振り回した。


「いやいや、何でそうなるんですか……。そうじゃなくてアレを見てください」


 辰は草むらを指差した。其処には一見何もないようだが、よくよく見てみると大きな影がある。辰が近付いたので三人も近寄った。そして、辰が口を開いた。


「これ、三国さんが言ってた乗り物じゃないでしょうか?」


「あぁ、確かに確かにこんなかんじだった気がする!この中に何かがあるのかな~?」


 三国は何の躊躇いも無く入っていったので、他の三人は心配になったが三国が早く入って来て~と、呼んできたので入った。


 中は広くはないので四人だと窮屈だっが、三国はお構いなしに腕を振り回して興奮していた。


「みて~沢山ボタン?がついてるよ~!それに一際目立つ赤いボタンがあるよ。これを押してみない?」


 そう言うと返事を待たず、三国はボタンを押してしまった。

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