表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/30

魔開異変 弐~魔心

「魔力の減少!?そんなの感じないぜ」


「よっぽど森から出ていないの?()れとも修行不足ね」


「出てないだけだ」


 魔法の森に入って()ぐの場所に有るアリス・マーガトロイドの家。彼女は七色の魔法を使う人形遣い(魔法使い)。彼女と話しているのは霧雨魔理沙。普通の魔法使い。


「でも、それって何時(いつ)からなんだ?どれ位減ってるんだ?原因は?」


「一個ずつ訊きなさいよ。まず、()の異変はつい三日程前。と言っても私が気付いた時なんだけど……」


「じゃあ参考にならんな」


「で、妖怪に影響は今の所無いわ。でも、()(まま)減り続ければ多少の被害が有る筈よ」


「別に良いだろ」


「良くないわよ。幻想郷の人妖のバランスが崩れるわ」


「それで、何が原因何だ?」


「……旧地獄辺りに魔力が集まっている気がするわ。多分、誰かが集めているんでしょうね」


()れを最初に言えよな」


「貴方が沢山質問したからでしょ?」


「まぁいい。今からでも行って来るぜ。最近の異変は(ことごと)く他の奴らに解決されたからな。今回は私が解決してやる」


「異変解決は良いけど。何時(いつ)()れが命取りに()りかねないわよ。貴方は人間だから」


 魔理沙は特に答える事もせず、箒に乗って空を飛んで行った。


「大丈夫かしら……」




「お嬢様。()呼びでしょうか」


「ええ」


()しかして、パチュリー様の事でしょうか?」


「流石ね、咲夜」


 此処(ここ)は紅魔館、悪魔の棲む館。主のレミリア・スカーレットがメイドの十六夜咲夜を呼び付けた。


「最近、如何(どう)も調子が悪そうなの。元々、丈夫では無いんだけど……」


「そうですね。パチュリー様、具合が悪そうです」


「それで、原因を考えていたんだけど、ついさっき魔理沙が図書館に侵入して来たの。()れはいつも通り何だけど……。旧地獄に行く道中らしいの」


「とうとう自白でもするのかしら」


其処(そこ)から魔力が吸い取られているらしいわ。だから、咲夜に調査して欲しいの」


「魔理沙が行っているなら良いんじゃないんですか?」


彼奴(あいつ)(ただ)の人間よ。魔力を奪われたら何も出来ない。真面(まとも)に解決なんて出来ない」


「成程、分かりました。では行って参ります」


 咲夜はレミリアの部屋を出て行った。廊下を歩きながら咲夜は呟いた。


「旧地獄に魔力を吸収する者が居るとは(あま)り考えられないですねぇ……。旧地獄とは無関係の輩が何か企んでいるのでしょうか……?」


 玄関の大きな扉を開けると、清々しい程の朝日が顔に降り注いだ。


 咲夜は空に浮かび、旧地獄へと向かった。


「特に幻想郷への影響は見られない……。まだまだ、魔力が吸い取られ切っていないわ」


 間欠泉センターの入り口に着くと、其処(そこ)に人の影が見えた。


「あら?紅魔館のメイドさんでは無いですか」


「貴方は……命蓮寺の僧侶ね」


 彼女は聖白蓮。僧侶で在り、魔法使い。主に身体能力の強化の魔法を得意とする。


此処(ここ)に何か用が有るの」


「そう、用が有るの。魔力が減っているから解決しに来たのよ」


「貴方も?私も丁度調査をしている所なんです」


「こんな入口に居て解決できるのかしら?」


「過程を踏むべきです。今回の異変は大きいわ。貴方にはまだ早い」


「今にも魔法は失われる。魔法使いの貴方なら私でも簡単に倒せるわ?」


 咲夜は奇術「幻惑ミスディレクション」を使った。苦無(くない)を多方向に幾つか連ねて投げた。()苦無(くない)は地面に当たると反射した。白蓮は躱したが、立て続けにナイフが投げられた。


 白蓮はバリアを張った。十本程のナイフは防げたが、徐々(じょじょ)(ひび)が入った。そして、硝子(ガラス)が割れる様な音がし、バリアは砕け散った。


「!?」


「ほら。魔法が今に弱体化している。チンタラしている場合では無いわ」


「分かったわ……。解決は宜しくね」


「出来る限りするわ」


 咲夜は間欠泉センターへと飛び込んだ。景色は段々と赤く燃える様な色に変ってきた。又、気温も高くなった。


 程無くして地面が見えて来た。赤黒い地面。地上とはまるで雰囲気が違う。


「旧地獄は矢張(やは)り広いわね。()()えず魔力が集まってる所を探しましょう」


 咲夜はゆっくり移動し、辺りを見回した。すると、大きな一枚岩の麓に禍々しい黒が見えた。何かと思って近付いてみると、魔力だった。


()れは一段と凄い……。それに、()れゲートでしょうか?誰かが居るのかと思っていました……。それか、此の先に誰かが?」


 咲夜は(もや)の中へと入って行った。




「龍ゥ!!!!何処だぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」


「秋晶さん!三国さん!待ってください!」


 見渡す限りの荒野。空は赤く光り、異世界の風貌をしている。其処(そこ)を四人の少し小さな人妖が空を駆け抜ける。


「二人共!ちょっと待ってください!先ずは落ち着きましょう。気持ちが先走るのも分かりますが、状況整理が大事です!」


「状況整理って言ってっもさぁ!?さっきの奴らは問答無用に襲ってくるもん!」


「そうだよ!龍ちゃんが今どんな目に遭っているか分からないんだよ!前の事も在るし()(かく)急がないと!」


「で、でも、()(まま)じゃ時間を無駄にするだけじゃ……」


 秋晶は地面に降りた。()れに続けて、三人も降り立った。


「まぁ、そうか。()()えず、魔力の集まっている所を目指した方が良いもんね……」


(むし)ろ目指していなかったんですか……」


「私の堪を信じてたから……」


 すると、三国は突然大声を上げた。


()しかして行き当たりばったりで行ってたのか!?付いて来いって言ったから来たのに……!」


「行き当たりばったりって何よ!別に完全な根拠も無しに動いて訳じゃ無いわ!」


「はぁ!?さっき堪って言ったじゃん!」


「堪以外の表現が無いの!」


「大体あん時もさぁ?自分の事しか考えてなかったじゃん?」


 花隈は辰に近寄って云った。


「空気やばく無い?」


「大分……。二人共、龍毬くんの事好きですからねぇ……。所謂(いわゆる)恋敵(こいがたき)ですもんね」


「今こそ最高に時間を無駄にしてる……」


「私達だけでも動きます……?」


「そうする?」


 花隈がそう言った時、空が突然ピカッと光った。見え上げる間も無く、地面に大きな衝撃が走った。秋晶と三国は喧嘩をしていたのに、宙に浮かび軽々しく避けている。逆に辰と花隈が倒れ込んだ。


「痛ー……」


 花隈が起き上がろうとした所、続いて弾が飛んで来た。一つの弾が顔の直ぐ左横を掠めた。()の性で眼鏡が吹っ飛んだ。


 辰は立ち上がり、()()だ飛んで来る弾をお祓い棒で弾いた。


「花隈さん!大丈夫ですか……!?」


「だ、大丈夫だけど……」


 秋晶は急いで落ちた眼鏡を拾う。


「良かった……。割れてない……」


 花隈は眼鏡を受け取って掛けた。


有難(ありがと)……」


 四人が弾幕の出処を探す為に上を見え上げると、一人の男の子が居た。金髪風の髪。前を開けたパーカーの紐は電源コードになっている。よく見ると電子レンジや掃除機、液晶板が装備として付いている。割と変な恰好。


「敵前でそんなに油断していて良いのか?此処(ここ)はお前らの棲む世界とは圧倒的な差があるぞ?」


 三国が間髪入れず叫ぶ。


「お前が龍ちゃんを攫ったのか!?()の魔界人め!()っ殺してやる!!」


「龍ちゃん……?嗚呼、彼奴(あいつ)の事か。そうだよ。俺らが攫った。そうだ、冥土の土産に教えてやろう。抑々(そもそも)此処(ここ)は魔界では無い。平行世界とでも言うべきだろうか。この世界を統べる王が居る。()の王に仕える者の内、特に忠誠心や能力が強い者を四天王と言う。そして、俺は()の四天王の内の一人だ。名は阿根神雷和(あこんしんかみな)


「はいはい、話が長い。取り敢えず四天王と魔王を薙ぎ倒せば良いんだな?」


「だから、魔王じゃ無いんだけど……。まぁ、良い!此処(ここ)でお前らは死ぬ!雷符「エレクトロショック」!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ