外壊異変 参~とっても好きなので……
暑苦しく、かつ自由な旧地獄。
残夢という鬼にの提案により地獄から分離されて以降完全な無法地帯となり、混沌を極めている。自由を好む者が集う。此処では幻想郷のルールは通用しない。
最近、地上へと移り住んでから来ていなかったけど、此の好き勝手な感じがやっぱり良いな。
さて、勇儀は何処に居るのだろう。大抵、此の繁華街に居ると思うのだが。それか、温泉か。
「おっ!三国じゃないか!久しぶりじゃないか。寂しかったぞ!」
「うん……」
「ん?如何した?前みたいな元気は何処に行ったんだ?温泉でも浸かりに行くか?」
「うん……!」
三国は勇儀と共に魂温泉へと向かった。
「矢張りこういう話は温泉に限るからな」
「そうだね……」
「其れで、昔を思い出したのか?」
「うーん……。まぁ、其れもあるんだけど……。地上に出てから新しくね……」
「成程……。で、振り向いてくれないのか」
「そうなの……。今日も構って欲しくてくっ付き過ぎちゃって……。怒られちゃったの……」
三国は小さく笑った。
「如何すれば良いんだろうね……。あの時の事を思い出しちゃって……。叶わないって分かってても止められなかったあの時を……」
笑っているが、三国の目から雫が零れ水面に落ちた。波紋が広がり、やがて湯に混じっていった。
「まぁ、一旦酒でも飲んで」
勇儀は温泉の縁である岩の上に置いていた熱燗を手に取った。盃に注ぎ、三国に受け取らせた。其れを、グビッと一気に飲んだ。
「はぁ……。此処の景色と味は分離された頃から変わらないわね」
「そうだな……。其の人には想い人が居るのか?」
「彼の事が好きな人が居るんだけど、多分そっちの人の方を想ってると思うな……。詳しくは知らないけど何か前に助けて貰った事もあるみたいだし……」
「あぁ……。ちょっとキツイな……、それは。でも、怒られるなら嫌われている訳では無いだろう?此れからもアタックすれば、好いてくれるもしれない」
「そうかなぁ……。確かに、嫌いなら避けられるよね。怒るってのはある程度仲が良いって事なのかな……」
「うぬ!だから自身を持てぇい!」
「分かった!頑張ってみるね!有難う!」
「唯、三国って下向いても爪先見えるから微妙かもな!」
「だ、黙れぇぇぇええ!!!!自分はデカいからって調子に乗んなぁああぁぁあ!!!てか見えないし!」
三国はバシャバシャと勇儀にお湯を掛けた。