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異星異変 伍~契約

 秋晶に向かっていった光線は突然、上から降って来た弾幕によって消された。


 少女が戸惑っていると、その後ろに誰かが居た。少女が振り返る隙もなく、彼女は札を投げつけられた。軽く飛ばされた所へと針が飛んできて、少女は()(まま)倒れ込んだ。


 秋晶が戸惑っていると、全速力で赤髪の少女が近付いてきた。


「秋~!こんな所に居たのー。心配したんだよ~!」


 三国はギューッと秋晶に抱き着いた。


「ちょ、ちょっとー……。大丈夫だったから、ホラ、離れて……」


 秋晶は若干(じゃっかん)、鬱陶しそうに離した。そして、起き上がり尋ねた。


「三国に、辰…それに霊夢も?何処(どこ)に行ってたの?」


「えーっと…。うちと辰はこっちに来た時から一緒に居て、霊夢とは途中で出会ったの。いっぱい敵倒したよ!」


「んー、そうだったんだ。(それ)でもう異変解決かなぁ?」



 ()れは後で分かった事が、如何(どう)やら彼女らは別の惑星に住んでいて、地球への侵攻を図っていたようである。


 (しか)し、秋晶達の御陰(おかげ)で無事解決する事が出来た。



「いやぁ~、今回は結構疲れたなぁー!」


「龍毬、大丈夫?結構怪我してなかった?」


 龍毬は小さく欠伸(あくび)をしてから言った。


「うんうん、大丈夫!それよりも、足に引っ付いてる三国の方が気になるけど?」


 秋晶が目線を落とすと、龍毬の足にしがみ付く三国が見えた。秋晶は乾いた笑いを出した。


「まあ、何時(いつ)もの事だし……。多少は……ね?」


 今回の異変は幻想郷への実害が少なかったので、宴会は行われなかった。


 その代わり、秋晶、龍毬、三国で博麗神社にやって来た。辰は忙しそうにしていたので誘わなかった。


「それよりも、今日はちょっと霊夢と話がしたくて来たんだから。あんまり変な事しないでよね」


「おけー」


 中から霊夢の声で、縁側に座っといてと聞こえてきたので、それに従った。

 暫く、談笑しながら待っていると霊夢がお茶を持って、やって来た。


「はい、緑茶。で、秋晶、話って何?長い?」


「いや、そんなに長くないと思うよ。私は話ってのはね、ズバリ、幻想郷保護法!」


 霊夢含め、後の二人も怪訝な顔をした。


「何それ?」


 秋晶は腕を組んで誇らしそうにした。


「今回の異変は私達で(なん)とかなったけど、何時(いつ)も無事に解決できるとは思わないの。特に今回は外からの攻撃だったから、危険だった。それに、自分で言うのも(なん)だけど、私みたいな新参者にも気を付けるべきだと思うの。強大な力を持ってる奴もいるし」


 霊夢は頷いた。


「つまり、そういう奴らから幻想郷を守るって事ね。残念だけど()れは無理だわ」


「分かってる。此処(ここ)の住民はルールを守ろうとはしない。個人同士の決まり事なら()(かく)、大きな約束は破られがち。抑々(そもそも)、幻想郷は制限しない事によって妖怪を守っているという側面がある。でも、()の内、今の奇跡的バランスも終わる。幻想郷を守る方法がないと、時期に外からも内からも壊されてしまうかもしれない」


 龍毬は退屈そうにしている。三国は龍毬に引っ付いて幸せそうだ。


成程(なるほど)ね。一応、分かってはいるのね。(たし)かに、幻想郷がギリギリのバランスで保っているのは否めない。だけど、()都度(つど)私が解決するし、他にも頼れる…とは言えないかもしれないけど、解決屋はいるし、私は無問題だと思うけど?それにアンタの事を完全には信頼していないし」


「え~……?如何(どう)して?異変だって解決してるのに!」


「一つ気掛かりだったから直接訊ねるけど、龍の事よ!」


 秋晶は首を傾げて言った。


「龍?この前の異変について?」


「まぁ、そうね。龍は幻想郷に博麗大結界を張った以来現れていないの。それが今になって雨を降らして存在をアピールしてきた。(これ)は何かの前兆に違いないと思ってるの。それに、そんなタイミングで龍使いが幻想入り、偶然にしては可笑(おか)しくない?」


 秋晶は言葉を詰まらせた。


「黙っているって事は何か隠しているんでしょ?」


「うーん……。御免(ごめん)だけど私は記憶が無いから何とも言えないなぁ。記憶を失う前に何かをしていたのかもしれない……」


 霊夢は溜息混じりに言った。


「嘘でも本当でもそう言うわよね……。まあいいわ。今回の話は忘れて。()(かく)そのルールは無理だわ」


「分かった、霊夢がそう言うなら今回は諦めるよ。(ただ)()れとは別に一つ結びたい契約があるの」


「ん?何?無理の無い範囲でお願いね」


 秋晶は一息置いて言った。


「私の力を制限して欲しいの」


「え?」


「正直、私の力を幻想郷に向けたら、一秒も掛からずに消し去れてしまう。()れは危険な能力だと思う」


 霊夢は手を顎に置き深く考えてから言った。


「いいわ。あんたの言い分には十分賛成出来る」


有難(ありがと)う!」


 秋晶は嬉しそうだった。


 赤く色づいた葉がカサカサと音を鳴らした。

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