【8時斎藤知事当確】兵庫県知事選挙で一体何があったのか? 【パソコン中身公開は必須】
◇100条委員会で「伏せられていた」こと
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は議会の全会一致で失職したはずの斎藤前兵庫県知事が「8時当確」したことについて見ていこうと思います。
質問者:
「パワハラ知事」などと言われていたのに一体何があったんですか……。
筆者:
まず100条委員会直後に僕はこのような記事を書きましたが、
https://ncode.syosetu.com/n3185jm/
この内容ではちょっと違ったみたいなんですよね。
僕も8月末時点とはいえ、誤った情報を公開してしまったことをまず謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした。
日頃「情報を精査しろ」と言っておきながらこの有様は本当に「無様」としか言いようがありません。
質問者:
え……一体何がそんなに違ったんですか?
筆者:
パワハラやおねだりについて「誇張的報道」がされていたこともあります。
しかし一番大きな要素としては「正義の告発」とされた「元県民局長の死」というのがどうも「正義では無かった」ことが大きいですね。
特に「公益通報だったのに懲戒処分」と言う前提で話が進んでいましたが、
百条委員会の中で非公開の秘密会で片山前副知事が証言では、自死した元局長は今までも怪文書を流し、今回も政権転覆を狙っていた証拠も亡くなった県民局長の公務用パソコンから出てきたようなのです。
しかもこのパソコンはとても重要な証拠なのですが、非公開の内容を録音していたデータによりますと「倫理的に問題のある文書」の中身に触れようとすると、その場にいた報道陣から、
「言うな!個人情報だぞ!」
と叫ばれてしまい公開しようとしたものが撤回されてしまったようなのです。
質問者:
それは謎が解明されずにいけませんね……。
筆者:
ただ、斎藤氏も「パソコンの中身が個人情報に関わること」と同調しており、解明に当時前向きではありませんでした。
よって今後この中身が公開され真実が明るみになることを望みたいと思います。
質問者:
しかし、本当にそんな重要な個人情報に関する内容があったのでしょうか?
筆者:
中身を見ることが出来ていないので「伝聞」という事で頭に入れていただきたいのですが、元県民局長の方が不倫をしていたことに関して公務用パソコンに証拠が残っていたようなのです。
凄い神経だなぁと思いますが、それはパソコンの使い方がまずかったことに過ぎないと思うんです。
また斎藤氏は「兵庫県の利権に斬りこんだ(?)」とする話や兵庫県庁建て替え問題で当初700億円と言われていたのが1000億円を超える予算の試算になってしまったのを、斎藤氏は半分にすることを目標にしたりしています。
これらの情報が一気にネットで広がり「斎藤前知事再評価」の流れに一気に繋がっていきました。
◇「オールドメディア」に本当に勝ったと言えるのか?
質問者:
不倫内容が分かるような公用パソコンって嫌ですね……。
なるほど、だからSNSなどでは「オールドメディアや組織票にSNSが勝利した!」と言う見方が広がっているわけなんですね。
筆者:
ただ、その見方はどうなのかな? と言うのが僕の個人的な意見としてはあります。
まず選挙の構図から確認しておきたいのですが、各主要政党の支持・推薦・公認などは以下のようになっていたようです。
自民党 推薦せず。斎藤氏、稲村氏、清水氏に各県議は支持分裂
公明党 推薦せず自主投票
維新の会 清水氏を擁立も公認・推薦せず
立憲民主党 稲村氏を全面支援
共産党 大沢氏を推薦
質問者:
なんと……2位の稲村さんを組織が全面的に応援したのは立憲民主党だけだったのですか……。
筆者:
この兵庫県はこの間の第50回衆議院選挙では自民党が全国的に大逆風の中で、小選挙区において、自民党8議席(無所属の西村氏含む)、立憲2議席、公明2議席、という配分でした。つまり、自民党が圧倒的に小選挙区で勝ったんですね。
質問者:
自民党が「斎藤知事降ろし」を行ったと言う話もあるみたいなんですけど、
その自民党が斎藤さんを支持しているというのはどういう事なんですか?
筆者:
これは、今「無所属」となっている西村氏の存在が大きいです。
自民党主流派に対して存在感をアピールするためにも「自民党本流ではない候補者」を支援することで力を見せつけたいのでしょう。
しかも、西村氏は追及されても「今は自民党公認ではありません」と言い訳もできますからある意味「自由」とも言えるわけです。
質問者:
でも、西村さん一派が支持したとしてもやはり少数派だと思うんですよ。
どうして稲村さんに統一できなかったんでしょうか?
筆者:
元尼崎市長の稲村和美氏は尼崎市長時代の終盤の22年6月に全市民約46万人の個人情報が入ったUSBメモリーが一時紛失するという大事件がありました。
この一件では事前に必要な届けなしで業務を再委託、再々委託ことも発覚し、地元からそんなに評価が高かったとは思えません。
このようなことから稲村氏に相乗りしたくなかったのでしょう。
自民、公明、維新、立憲の中で3党が推薦した候補を出していればまずその候補は負けることは無かったと思うので、候補者調整に失敗したと言えますね。
実際に票数を見ても斎藤氏が111万3911票に対して、
2位の元尼崎市長の稲村和美氏97万6637票
3位の前参院議員の清水貴之氏25万8388票
だったので、2位3位連合なら負けていた可能性が高いです。
これを考慮すると斎藤氏やSNSは「組織に勝った」のではなく「組織側が機能させる気があまり無かったので勝った」と言うのが正確だと言えると思います。
質問者:
なるほど……。どっちかって言うと政党間の足の引っ張り合いになったという事なんですね。
筆者:
選挙期間中に市長会有志22名として稲村氏の支援を表明したのはむしろ逆効果だったでしょうね。
既得権益者稲村氏 VS その既得権益者と戦う斎藤氏
と言う構図が事実はどうあれ確立してしまった瞬間でしたからね。
※稲村氏に関しては一部で言われていた「外国人地方参政権賛成」は公約に無く「緑の党」の前身の政治団体の設立に関わっただけであるとされています。
(緑の党には外国人参政権の公約はあるものの前身団体では外国人参政権の公約は無い模様です)
質問者:
でも投票率に関してはかなり上がったという話もありましたし、ネットやSNSの力は大きかったのではないのですか?
筆者:
期日前投票では前回の1.5倍、当日でも7ポイント上昇、最終的には投票率55.65% 前回に比べ14.55ポイント増加という兵庫県知事選挙史上稀で見た場合では注目されるものとなりました。
ただ、知事選で見た場合はかなり高かったとしても国政選挙と同程度の投票率でしかありません。
ネットでは注目度ランキングの上位を占めていると凄く盛り上がっているように見えますが、実際の投票率にプラスの与えた影響はせいぜい2,3%程度だと思われます。
つまり、選挙に全く興味の無い層が投票所に足を運んだわけでは無いという事です。
だから「組織票が機能していないこと」が斎藤氏の勝因の大きな要素と言えるという事です。
質問者:
なるほど……。
筆者:
ただSNSが全く影響が無かったとは言いません。
「これまで政治に関心があった人の中で斎藤氏に好感度を持った人」が増えたのは事実です。
兵庫県知事選の情勢調査でも「稲村氏のリード」から「稲村氏僅かに先行」に変わり、最後は「斎藤氏8時当確」までになりましたからね。
2位の稲村氏側としては候補者統一できずとも勝つ予定だったはずなのでその計算を狂わせただけでも凄いことだと思いますね。
ただ、様々な状況を勘案するとネットの力を「過大評価しすぎる」と言うのもどうなのかな? と言うのが僕の感覚としてはありますね。
10ポイントぐらいは動かした可能性はあります。
しかし、上の僕の分析を前提とするのであれば全く見込みのない人を当選させたわけでも、必ずしも組織票に勝ったわけでも無いという事です。
東京都知事選挙の蓮舫氏と石丸氏の得票数でもそうでしたが、「立憲の壁」ぐらいは街宣とネットの力で乗り越えられるという事です。
◇マスコミの報道は酷いが斎藤氏が「良い人」であるかどうかは「不明」
質問者:
SNSの情報は有象無象ありますから鵜呑みにすることも危険ですからね……。
しかし、マスコミの偏向報道は本当に酷いですね。
「元県民局長正義」「斎藤知事はパワハラ」と言う絶対的な構図を最後まで崩しませんでしたからね。
筆者:
ただ、一つ注意しなくてはいけないことがあります。
斎藤氏は「マスコミが言っているほど悪い人ではない」ということだけであり、「斎藤氏が善」であるかどうかはまだ分からないという事です。
特にパワハラに関しては公式には認定されてはいないものの、
兵庫県職員約9700人へのアンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きした人が4割を超えています。
斎藤氏本人も厳しい叱責をしたことなどを認め、「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば心からお詫びしたい」と8月末の100条委員会前後で謝罪しています。
パワハラ問題に関して何の認定も第三者委員会から下されたわけでもありません。
更に元県民局長のパソコンが公になっていいない以上は「印象のみで語られている」「前副知事や斎藤氏を応援していた立花氏に騙されている可能性もある」ために「まだまだ分からない」と言うのが事実なのです。
質問者:
つまり、100条委員会でちゃんとパソコンが公開されたり、
パワハラの認定の成否がちゃんとされていればまだまだ分からなかったという事ですか。
筆者:
そういうことです。「マスコミが悪」なのは僕が数あるエッセイでも書いてありますし、間違いないことです。
しかし逆説的な「マスコミが叩いている人は善」と考えるのは早急過ぎる判断だと僕は考えます。
選挙に関して語る際に毎度のように僕は申し上げていますが、
選挙で選ばれている人は「相対的勝利者」であって必ずしも政治家に向いているわけでも有能なことが評価されることでも無いですからね。
今回の選挙に関して言うのであれば稲村氏以下が斎藤氏より相対的に劣って見えたという事が可視化されただけに過ぎません。
どちらかと言うと100条委員会の追及・パワハラ認定が終わらぬ中、不信任の決を採ってしまったことに問題があるように思いますね。
◇今後、不信任はまた出されるのか?
質問者:
では、今後の兵庫県はどのような展望になるんでしょうか?
筆者:
最初の大きな焦点としては兵庫県議会が斎藤氏に対する不信任を再び出すのかどうか? ということです。
(不信任を出す制限は法律上は特に無く、ただ単なるモラル面だけの制約になります)
今度、全会一致で可決された場合には斎藤氏は「自分はもう県民から選任された」として議会の解散を選択するでしょう。
選挙を乱発すれば当然お金がかかりますし、「県民が斎藤氏を選択した」と言う事実は重いですし、県政が滞れば県議にもしっぺ返しが来るので、提出しない可能性もあります。
議会側が本格的な攻勢をかけるとするなら最低でも「元県民局長のパソコン中身の公開・精査」と「パワハラ認定が正式に認められてから」だと思います。
「大きな真実」無くして再び不信任を出すのは県民の選択に対する冒涜に近いと思いますね。
質問者:
確かにたった今選挙をやってまた県知事選挙か県議会選挙か……って話になりますものね。
兵庫県の方々のためにもなるべく混沌とした状況が早く収束して欲しいですね……。
◇今回の教訓
筆者:
今回は僕も8月末時点で「引っかかってしまった」ところもあったので反省しなくてはいけません。
ただ、言い訳がましいですが100条委員会当日の非公開部分の録音まで調査することは無理なので、公開情報の中で精査するしかなかったので「どうしようもなかった」面も強くあったんですよね……。
質問者:
間違ったのなら、謝って・反省することが大事だと思いますけどね。
筆者:
今回のことで良かったことがあるとするのなら、政治に関心のある層限定ではありますが「マスコミの酷さ」が克明に分かったことでしょうしね。
パソコン中身やパワハラ認定など不透明なことも多いですが、「斎藤氏はマスコミが言うほど酷くはなかった」ことは間違いないと思います。
質問者:
確かにマスコミの印象操作でかなり日本人は損していますから。
何とか早く脱却できるといいですね。
筆者:
特に「財源論」を過剰にプッシュする偏向報道については毎回辟易しています。
何とかここに風穴を開けられるように、僅かでもいいので貢献していければと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はネットの力が選挙結果を変えたものの既存政党側が空中分裂していたので、「組織票に勝った」と言うほどでは無かったという事を正確に認識する必要があること。
斎藤氏については「マスコミが言うほど悪い人ではない」ことが分かったぐらいであり、今後の推移を見守る必要があることをお伝えしました。
今後もこのような政治やマスコミの問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。