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悪魔が捧ぐオンライン  作者: ヒイロロ*ヒノキ
四章.???編

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4.前進オラシオン【前編】

誤字脱字はお知らせください。泣いて喜びます。


「――孤児(みなしご)らの身の上は全て聞き終えた。妾と同じく連邦に属していたらしい」


 異世界生活四日目。

 ヒテンジの甲斐あって子供の警戒心は解け、事情を聞き出すことに成功。

 故郷は亜人による集合国家――亜人連邦だったと言う。 


「詳しい住所は分かるのか?連邦って国の寄せ集めだろ」


 ひとえに連邦といっても広大な土地。

 何処に住んでいたのかを把握しているとは限らない。


「元より難民とのことで北帝国を目指していたようだ。郷土へ連れ戻してやる必要はあるまい」


 だが今回は杞憂と、ヒテンジは室内の子供を撫でていく。 


「マジ?じゃゴールもう近い説ない?」

「近いどころじゃないぞっ、もうすぐ北半分に到着する!」


 財政が厳しい環境から逃げ、受け皿として帝国北部を目指していたらしい。

 「連邦中を探し回る」と覚悟した予定の大幅短縮に、歓喜の声を上げた。


「…ってことはもう金も使わないかっ?明野、お前にあげたお金返し――」

「えーやだ、後で返す」

「最近の子がめつぅ…」


――――――

――――

――


「来たぜ!北半分!」

「やけに上機嫌じゃん」

「おう、元々俺も北側に用があったからなっ」

「大穴じゃないの?目的」


 陽太郎が両手を上げてストレッチ。

 門を潜り、雑多な人通りの中で開放感を享受する。


「合ってるぞ。その探索隊に入れてもらうんだ。ここで募集してるって聞いてな」

「――宿場の手配も終えた。やはり"共通語"ならば不自由はせぬな」


 北の主要言語は、帝国特有の"メギド語"ではなく"共通語"。

 子供ですら会話が可能。喋れないのは沙多だけだ。

 加えて亜人への嫌悪も減っているだろう。随分と行動が楽になる。


「ヒテンジはパーカーとらんの?」

「いちいち見惚れるのも手間だ、このままでよい」


 己の美貌を把握している彼女だけは目を瞑り、フードを被り直す。

 一方で子供達は耳や尾を日の元に晒していた。長時間隠すのは、亜人にとって中々ストレスらしい。


「■◆■■…」

「ごめんねー、窮屈だったっしょ?――」


――しかし数秒後。周囲の様子を受け、その小さな身を沙多の後ろに隠した。

 何があったのかと辺りを見渡せば、数々の視線に穿たれる。


「ちょっと陽太郎、全然浮いてんですけど!?」

「あ、あれぇ…?」


 面食らう彼は、聞き込み調査を行うこと数分。

 やがて苦虫を噛み潰したような表情で帰還した。

 

「…少し前から戦争が始まってるらしい」

「ほう、得心が行った」

「どゆこと?」


 伺ってきた事情は、そんな内容。

 異世界は争いが絶えないのか、ヒテンジはそれだけで状況や起因も悟る。

 沙多は当然ちんぷんかんぷん。


「ともすれば、その相手が亜人連邦なのだろうな」

「あっ!それで警戒されてる感じ?」


 周囲を再確認すれば、確かに不安が籠ったものだった。


「まあそういうことだ。スパイとかの可能性を疑われるんだよ」

「えー亜人の子(このコ)らって、ここでバ先とか探すんでしょ?雇ってくれる雰囲気じゃないやん」

「バイト先ってか預り先……でも確かに厳しいか。感情と理屈って意外と切り離せないからなぁ」


 普段ならば問題が無くとも、状況が悪かった。

 ここから何件かの施設へ保護を打診するものの、門前払いとなり一日が終わる。


***


 ようやく受け入れ先が見つかったのは翌日。

 それも昼過ぎで、中央街から遠く外れた孤児院だった。


「ほんと!?お世話してくれるん?」


 院長は亜人にも分け隔てなく接する人柄とのこと。

 軽く動向を探ってみたが、問題無しと言う。


「院の長が理解のある者であった。寝食は最低限保証されよう」


 そんな初老の女性へ感謝を伝える陽太郎。

 彼の姿がヒテンジの瞳に映った。


「…あの男にも随分と世話になったな、妾では悶着の一つや二つ付き回る」


 誰もが目を奪われる絶世の美女、ましてや亜人。

 ヒテンジは威圧を避けるためフードを被ればならない。が、顔を伏せた状態で信用を勝ち取るのは難しい。

 彼にしか成しえない役回りだった。


 ついでに言えば、金銭面も随分とお世話になっている。


「■◆■!」

「元気でね〜!」


 その後に沙多は、全員と抱擁を交わし解散。

 陽太郎に至っては涙ぐんでいた。曰く「歳を取るとこうなる」らしい。

 彼はまだ二十代だが。

 

「にしても、何でここは預かってくれたんだろね」


 偶然と言ってしまえば、それまで。

 だがこの郊外地では、他の場所より亜人を訝しむ目線が少ないのも事実。


「おそらく、()()が関わっているのであろう」


――ヒテンジが指し示すのは、一つの巨像。


 凛とした顔立ちの逞しい男性が掘られている。

 かなりの距離に位置するはずだが、彼女らの遠方からでもハッキリと認知できた。


「あれってもしかして…ガブル・エルシオンって人の石像か!?」


――――――

――――

――


 やがてその広場へ辿り着けば、追悼を捧げる大勢の人がいた。


「花のいい匂い…」


 沙多の嗅覚をくすぐるのは、白百合が咲き乱れる花畑。

 郷愁めいた香りの中には、一人の石像が聳えている。

 

「近々、慰霊祭もあるんだってよ。凄い人気だな」

「この地は、あの者の思想に色濃く影響されている故にな」 


 周囲には、散っていった兵士を追憶する数々の碑。

 レアエネミーのエリアで目撃した、石の門を地面に寝かせたような造形だ。


(このお墓、ベルと一緒に見たやつ…)


 やはり他人の空似ではなく同一、ゲームの人物がここに実在した。

 並ぶ墓標に沙多は確信する。


「けど、なしてそんな人気なん?」

「なんでも、最高の戦士だったらしいぜ?世界を再起させた英雄だとかで」

「話盛られてない?規模デカすぎでしょ」


 聞き齧った知識を伝えつつ、手帳にその情報を書き込む陽太郎。

 異世界の知識が書き詰められているのか、文字がビッシリだ。


「事実だ。彼奴(きゃつ)は人類を救ったといっても過言でない功績を挙げた。その後は種族の垣根を越え、慈善活動に尽力したと伝わっている」


 祖国も滅亡の危機に瀕した際に救われたと、やや他人事に肯定するヒテンジ。


「その救世の偉業は、まるで天からの使者であったとも耳にするな」


 レアエネミーとしての姿を思い出す沙多。

 こちらは純粋な人間だが、ゲームでは天使然とした翼を生やしていた。

 まるで人々の信仰が映し出されたような姿だ。


(――…この人なら、戦争も止めてくれるんかな?)


 呆然と立つ沙多は、ただ一人の墓を見上げた。


やめてくれ…もう週二で更新できるほどストックが無いんだ…っ、どうか3000字くらいで収まってくれ…!

小説「今回は4000字やで」


ガチで許さん。次回は月曜です。


初期ネームドの再登場だけど、触れてる余裕が無い。

めっちゃ強かったってことだけは事実。

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