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悪魔が捧ぐオンライン  作者: ヒイロロ*ヒノキ
四章.???編

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1.異世界オフライン【後編】

誤字脱字はお知らせください。泣いて喜びます。


 そこから数時間。一層暗くなった空、日没という概念を思い出させる夕方。

 殺風景の道を、足が痛くなるほどひたすら歩いた。


「あ"ぁ"〜これアタシら歩きすぎでしょっ」


 後半はヒテンジに背負ってもらってさえいたが、ようやく小さな集落に到着。

 あまり人の手が伸びておらず、畑が広がっている。

 いわば、片田舎の農村といったところ。


「あっ、第一村人じゃん。泊まれる家とか無いか聞いてくんね」


 人影を見て元気が戻った沙多。

 休憩出来るかもという可能性に突撃する。


「ねーねーそこのおじさ〜ん!」

「――?□□◇□◇□◇?、◇□□◇□◇□◇◇?」

「ちょ待って何語!?」


 しかし慮外の事態に面食らう。

 まさかの言葉が通じない。

 何かの間違いかもと聞き直すも、やはり知らない言語。

 これにヒテンジは苦虫を噛み潰したような顔を作った。


「――□◇□、◇◇□、◇□◇」


 対して彼女はある程度喋れるらしく、沙多の代わりに前へ出る。

 すると一転、男は険しい顔で、語気を荒げた。


「□◇□◇□◇!◇◇□◇◇□◇!!――…!?…ア、アア」 

「…?なんて?」

「『獣風情の亜人が近寄るな』そう口にして、妾に見惚れたな」

「はァ?」


 慣れているのか感情を表に出さないヒテンジ。

 通訳されたのは唾が飛ぶほど嫌悪と畏怖のある偏見だ。

 とはいえ、この世界でも恐るべき魔性は有効らしい。

 負の感情を飛び越え、相手を黙らせた。

 

「ふざっけんなしッ」


 しかし沙多は怒声を飛ばす。これに思わずヒテンジの片耳がピンと伸びた。

 そのまま男が魅入られる直前の発言に突っかかる。


「泊まれるとこさっさと教えろッ、そんでアンタみたいな人居ないとこ!!誰も使ってない家とかないの!?」

「□◇□◇……」

「うっさい喋んな。行くよヒテンジ」


 言葉の通じぬまま沙多は男に詰め寄り、発言を許さぬ理不尽ながらも空き家を指で差させる。

 そのまま彼女の手を取り、ズカズカと行進。ゴリ押しで寝床をもぎ取った。


――――――

――――

――

 

「はぁ…やっと横になれる〜」


 ヒテンジやベアルとは意思疎通が出来た。

 故に沙多はこの世界でも大丈夫と感覚的に思っていた。が、厳しい現実に疲れと溜息を同時に吐き出す。


「妾は露宿でも構わぬが…」

「ダメ、外なんかじゃ疲れ取れないじゃん。…にしてもほんと何なんあの態度、ガチでムカつくんですけど」


 先の件を非難しつつ、沙多は手帳にて(ジョブ)ページを開いていた。

 沙多の持つ【七星蒼天(グランシャリオ)】のスキルが表記され、その下には枝分かれするように、無数のスキル名が浮かんでいる。


 現在行っているのは、スキルセットの見直しだ。

 【占星術士】は扱う技を変更する度、クールタイムが発生する。

 そのスパンは一週間と少し。安易な変更は出来ない。

 現在は、隠密特化のカスタム。ギルド潜入時からそのままだ。

 この構成から、移動などに便利なスキルを手帳に加筆(セット)していく。


「にしても、インベントリとかスキル使えるん謎すぎ」


 見慣れない木製の天井を見上げ、ポツリと溢す。

 齧った漫画などでは、似たような展開を数度見た。

 これを読んだ当時、沙多は首を傾げた。

――なんで一緒なんだろ?と。

 

 他校へ転校すれば、校則や服装の指定が変わるように、これまでの道理が通じるわけではない。

 にもかかわらず、ゲームの延長線上さながら問題なくそれらを行使出来た。

 漫画では、特に意味など無かったり、何か重大な原因があったりする。


(じゃあアタシの場合は…)


 己のシチュエーションに当てはめ考える。

 この場合はどちらか?意味は無いのか、あるいは――


「――この世と、共通した何かが力の根源なのであろう」


 おそらく後者。

 何か『ルシフェル・オンライン』と繋がる意味があるのだろうと、実際にゲームと異世界を往復した張本人(ヒテンジ)が推測する。


 それは人が聞けば、垂涎ものの秘話だ。

 未知数ばかりの非正規ゲーム、これを解き明かす宝の異世界。

 これに命を賭ける酔狂なプレイヤーなど、平然と存在するだろう。


「ま、ムズい話はアタシ無理。分かったところで帰れる訳じゃないし」

 

 だが沙多は手帳をパタン閉じる。

 彼女の目的は世界を知ることではない。姉を探すため、早急にゲームに帰ること。

 興味が無いとインベントリへ押し込み、紫紺(インナーカラー)が目立つハーフアップをシュルリと解く。

 ヘアゴムを外し、反転した桃の髪色が両方に落ちれば、もう就寝の準備が終わっていた。


「…随分と印象が変わったな」

「この髪型嫌い?」

「外見に左右されるほど其方を浅くは見ておらぬ」


 いわばそれは現実世界での姿。

 身バレ対策用のイメチェンしか知らないヒテンジは、興味深そうに沙多の髪を整える。


「てかガチでどうしたら帰れっかな〜。そもそも今どこに居るんかも分からんし」

「それならば先の忌避、言葉でおおよその位置は掴めた」


 バサッと毛布に倒れ込んだ瞬間、その朗報が添えられた。

 これに思わずバネの如く反発。上体が再び元の位置に戻る。


「まじ?今どこら辺なのっ」

「レヴァンテイン大陸の"メギド"なる帝国。その辺境と言ったところだろう」

「てーこく…?」 

  

 知識としてはあるものの、親近感のない単語を反芻。


「つまるところ運が良い。妾の治めた国、そこに隣接する土地だ」

「良いけど良くないでしょ。おもっきしヤな思いしたじゃん」


 正反対の位置だったり、初日で村が見つからなかったり、転移時の座標が海の上だったならば、苦労は絶えなかった。

 それが海を渡る必要もなく、長い年月を費やさず移動できる距離間だと言う。非常に幸運なのは違いない。


「ここから馬車などを用い、北へ向かえば一週間ほどで妾の国へ到達できよう」

 

 彼女にとっては朗報。方針を固める上でも、一度故郷に戻るべきだろう。

 しかし沙多の進捗は著しくなかった。

 これからどうすべきか、何を目指すべきか何一つ分からない。

 ヒテンジが掲げた生還という難題が、今自分に襲い掛かっている。

 

「しばらく妾の側に身を委ねても構わぬぞ?」


 行く末に唸っていれば、それを案じた手が差し出される。

 ロクなベッドや家具は無く、埃っぽい大きな毛布を寝袋のように体へ巻くヒテンジ。


「う〜ん、最悪そうしよっかな?けど結局は帰らないとじゃん?だからまだ()()()()


 だが沙多は手を取らず、毛布を包み直して横たわる。

 それからまだ話を続けたそうな瞳ではあったものの、それ以上に疲労が出ていたらしい。

 数分もしないうちに、寝息を立て始める。


「…まぁ、其方には窮屈であろうな」


 寝静まった空間で、その言葉を聞くものは誰も居なかった。


短いので続きは月曜に上げます。がんばります。


今回のパート、ぶっちゃけそんな重要じゃない。けど作者が沙多のヘアスタイル分からないが為に入れました。

今ストレートに下ろしてんのか、ハーフアップにしてんのか忘れる時ある。髪の色も忘れる。

何なら脳内でヒテンジも銀色じゃなくて金色に発光してる時ある。恐ろしや。


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