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私の姉は、きれいなクズ  作者: 水上栞
第二章/運命の王子様と下僕とエロス
12/49

番外編/妹です、ちょっと叫ばせてください➀



 どうも、絢華の妹です。与田絵里です。はっきり言ってここまでで、既に消耗しきってます。まだノートの半分も読んでないけど、毒がキツすぎてメンタルやられそう。性格悪いのは知ってたけど、まさかこれほど腐っているとは。我が姉ながらぞっとする。


 でも、まずは謝らせてください。柴崎さん、本当にごめんなさい。ありえないよね、姉のやったことは犯罪だと思う。その後の受験とかどうなったのかなと心配だけど、今となってはどうしようもない。



 そして柳瀬くん、とんでもないのに目をつけられて気の毒に。まさかちょっと人助けをしただけで、勝手に崇拝者に認定されているなんて、思いもしないだろう。しかも尾行されたり家まで特定されたり、キモいことこの上なし。おまけに彼女まで攻撃されて、ほんと柳瀬くんもごめんなさい。



 ていうか、愛についての概念、意味不明。アガペーやエロスの解釈は、キリストが聞いたら生き返って両面ビンタされるレベルの曲解だと思う。しかし姉はそれをすこぶる気に入ったようで、それ以後の行動すべてがその考えで貫かれている。あまりに独創的過ぎて、私からすると「ちょっと何言ってるかわからない」のだが、要するにこういうことが言いたいようだ。



 ・私は誰よりも美しく魅力的である。

 ・だから周りの女より私の方が格上。

 ・当然、全ての男は私のことが好き。

 ・柳瀬は私にアガペーを捧げている。

 ・だから柳瀬は私の所有物。

 ・ついでに竹下も私の所有物。

 ・私の所有物に手を出すのは許さぬ。

 ・邪魔者は潰してかまわないよね。



 どこの国の独裁者だ、お前は。自己肯定感が強いのは良いことだと思う。でも、あまりにも現実とかけ離れてない? 確かに姉はすっごい美人だけど、世界征服できるほどのレベルではない。


 それに、どんなに美人であろうが男が必ず靡くとは限らないし、ましてや性格の悪い女なら、そのうち男が気づいて離れていくものだ。それが姉にはわからないのだろう。母親が誉めそやして育てたせいで、客観的に自分を判断する能力が失われてしまったのかもしれない。



 あと、むちゃくちゃ腹が立ったのが、マスコットの件。おのれ、やはりわざとやったんだな。私があのとき、どんなに傷ついたか。しかも自分では手を下さずに、母親を仕掛けて意地悪をするなんて、どれだけ根性が悪いんだ。


 しかも、あれだけ自分を甘やかしていた母親のことも、内心では「くそばばあ」と思っていたらしい。手駒としては便利だったのだろうが、そのぶん干渉も尋常ではなかったので、成長して知恵がついてくるにつれ鬱陶しくなったようだ。


 まあ、あの母がくそばばあなのは、まぎれもない真実である。幼いころも普通の母親と違うなと思っていたが、大人になって異常性を確信した。叔父曰く、娘時代も思い通りにならないと、泣いて叫んで大騒ぎだったらしい。医者に診せればきっと何か病名がつく。それくらい母には精神的な歪みを感じる。




 ちょっと面白かったのが、柳瀬くんの彼女が履いていたルーズソックスにムカついているところだ。世の中では、お嬢さま学校の制服の方が憧れの対象だと思うのだが、16歳の少女は流行に乗りたかったのだろう。携帯電話を欲しがる気持ちもわかる。ただ、あの姉にそういうツールを持たせると、間違いなく悪いことに使ったと思われるので、結果的に買い与えなくて正解だった。



 高校時代のわずか一年ほどの日記で、一生分の胸糞案件を読んだような気がする。もう、ここでノートを閉じて忘れてしまおうかと思ったのだが、うっかり次のノートをぱらぱらとめくり、とんでもない記述を発見してしまった。姉の悪事は想像を超えてエスカレートしており、私は指の隙間から恐怖映像を覗くような思いで、それを読んで震えた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 毒親の威圧が姉の思考を歪ませた感がありますね。 執着して、爆走して、怖いー。 柳瀬君絡みの人に逃げる様に教えてあげたいです。 [一言] 姉の奇行はどうなっていくのでしょう?と怖い…
[良い点] 妹も大変ですな… よくまともに育ったものです!
[良い点] 全ての知識と経験を誰かを踏みつけるためだけに使うお姉様。 流石でございますわ。 [一言] でも誰かを踏みつけるのって、実は自分を踏みつけてるのと同じだから…… 冒頭の結果になってしまうのは…
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