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そうだ、お酒を飲みに行こう!〜お酒大好きアクティブ令嬢と偽り身分の王子様〜  作者: 雪月花


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26/32

26:卒業パーティ


 王宮の卒業パーティ会場である園庭で、ルーナはエマにあったので声をかける。

「卒業おめでとう!」

「おめでとう! わぁルーナ綺麗だね!」

「ありがとう。エマもとっても可愛いね! サッシャは?」

 ルーナはキョロキョロ会場を見渡してサッシャを探した。


 フェニスお兄様と一緒に来たが先ほど別れて、ルーナは学友たちのいるガーデンパーティの会場へ来ていた。

 辺りは薄暗くなっていたが、王宮の園庭がライトアップされ良いムードの会場だった。


「サッシャはあっちでお菓子の品定め」

 エマがサッシャのいる方を指差す。

 ガーデンパーティの会場では、フランクな立食パーティになっており、お菓子と飲み物もビュッフェスタイルだった。

 エマはもう好みのものを取っていた。

 ルーナも「王宮のお菓子とお酒だー」と言いながら取りに行った。

 

 それからCクラスの友人たちと、食べて喋って、卒業パーティを楽しんだ。

 もう最後なんだなぁとしんみりしながらも、今夜をめい一杯楽しもうとルーナは明るく笑っていた。

 



 パーティが始まってしばらくすると、王宮内のパーティ会場が騒がしくなった。

 ルーナたちもそちらの方向を思わず見る。

 王宮と園庭に続くドアや窓は大きく開け放たれ、中の雰囲気を知ることは出来た。


「国王様の挨拶が始まったみたい……」

 誰ともなしに呟きが聞こえた。

 王宮内は厳かな空気になっていた。


「国王様とか初めてみるね」

 エマが感激しながら言った。

 確かにこんな近くで見るのは初めてかもしれない。

 でもなかなか遠くでぼんやり見えるぐらいだが。

 

 しばらくすると王宮内で拍手が巻き起こり、緊張していた雰囲気も和らいだ。

「終わったみたいだね」

 ルーナがそう言いながらワインを一口飲んだ。

 さすが王宮のワイン!これぞ王道って感じで安定の美味しさだ。

 

 そしてまた談笑していると、王宮がまた少し騒がしくなった。

 その雰囲気が庭園まで移動してくると、庭園から王宮へと続く扉の所に金髪の男性が現れた。


「ルーナ!」

 その人になぜか呼ばれる。

 そしてルーナの目の前まで優雅に歩いて来た。

 続いてやってきたシャーロット様とカトリーヌ様が扉の所にいるのが、その金髪の男性の肩越しに見えた。


「テオ様? 髪の色変えたんですね」

 初めは目を開いて驚いたルーナだか、テオ様と分かると微笑んだ。

 

 テオ様の髪は金髪になっており長さも少し短くなって整えられていた。

 メガネもかけていないので澄んだ青い瞳が良く見える。

 正装をしたテオ様はめちゃくちゃかっこよかった。

 その姿にかガーデンパーティのみんなも、どよめきだす。


「……テ…オ??」

 後ろの扉にいるシャーロット様が怪訝(けげん)そうにつぶやく。

 それを受けてか、テオ様はルーナの方に真っ直ぐ向いたまましゃべった。


「テオ・アルザイックは仮の姿だったんだ。本当はエリオス・シュトラウスという名前だよ」

 テオ様はこの国の王太子様だった。




「……テオ様はエリオス王子だったんですね」

 ルーナは驚いて目を(またた)かせた。

 エリオス王子の名前はルーナでも知っていた。

「行こう」

 優しい笑みを浮かべたエリオス王子がルーナに手を差し出した。

「?」

 よく分からないものの、ルーナは素直にエリオス王子の手を取った。

「一緒に踊ろうって約束したでしょ?」

 エリオス王子はそう言ってルーナを連れ出した。


 驚いて青ざめているシャーロット様とカトリーヌ様の間を抜けて、ルーナは王宮内に入った。

「……わぁ」

 (きら)びやかな空間に目を奪われる。

 白とゴールドでまとめられた厳かな空間。

 キラキラ光るシャンデリア。

 色とりどりの着飾った人たち……


 テオ様は王太子様だったんだ。

 こんなに素敵な人なんだから納得だ。

 ルーナは並んで歩くエリオス様の横顔をチラリと見て頬を染めた。

 ルーナは舞い上がってしまい、自分が今1番目立っていることを忘れていた。


 2人が王宮のパーティ会場のホールの真ん中に辿り着くと、エリオス様がルーナと向かい合った。


「ルーナ・マクシミリア令嬢、僕と踊ってくれませんか?」

 エリオス様はそう言うと片手を胸にあて、片足を後ろに引きながらルーナに礼をした。

「……(つつし)んでお受けいたします」

 ルーナも両手でスカートを軽く持ち上げカテーシーをした。

 

 その瞬間あたりから(ざわ)めきが起こったが、こんな貴族だらけの大舞台で緊張して舞い上がっているルーナの耳にはもちろん入ってこなかった。

「ありがとう」

 エリオス様は今までにない満面の笑みを浮かべた。


 


 それから音楽が始まり、2人は踊り出した。

 ルーナは淑女教育を受けてはいないが、お姉様たちがダンスの授業を受けてる時によく参加していた。

 自分が楽しいと思うものしか勉強しないタイプだった。


「ご卒業おめでとうございます。エリオス様」

「ありがとう。ルーナもおめでとう……本名で呼ばれるのまだ慣れないね」

 エリオス様が嬉しそうに笑った。


「ルーナ綺麗だね。本当は誰にも見せたくないな」

 そう言いながらエリオス様がちょっと照れながらルーナを見る。

「エリオス様も金色の髪も似合いますね。相変わらずカッコいいです」

 ルーナもお返しにと思ってることを素直に伝えた。


「目、頑張って開いてます?」

 そして気になってることも聞いてみた。

 テオ様の時より瞼が少し上がっている。

 見開いているわけじゃないが、頑張ってちょっと開いてる感じだ。


「あーうん。いつもの表情だと威厳がないって言われるからね」

 そう言うと力を抜いたのか、少しトロンとした優しい眼差しのいつものテオ様の目になった。

 2人は思わず笑った。

 素敵な王子様と舞踏会で踊る、ルーナにとってお伽話(とぎばなし)のような夢のような時間だった。


 


 エリオス様はルーナと一曲踊り終わると、シャーロット様と踊り出した。

 ルーナはせっかくだからと王宮の広間のワインを給仕にいただいて適当な所で飲んでいた。

 

 というか宮廷パーティのルールとか分からないから飲んでいいのだろうか?

 とルーナは内心汗ダラダラだった。

 ガーデンパーティに帰っていいのだろうか??


 するとレオン様が声をかけてくれた。

「ルーナ様、卒業おめでとうございます」

「レオン様! ご卒業おめでとうございます」

 2人は挨拶がてら小さく乾杯をした。


「テオ様がエリオス王子で驚いた?」

「そうですね。でも今思うとレオン様が常に一緒に居て補佐してたことも、剣術があんなに強いのも納得です」

 ルーナはワインを一口のんだ。

 このワインもめっちゃ美味しい!!

 なんて言う銘柄だろ……

 ワインの美味しさに思わず思考があさっての方向に飛んでいく。


「僕はエリオス王子の側近なんだ。これからもよろしくね」

「?? こちらこそ、よろしくお願いします」

 ルーナはニコッとして答えた。

 

 これからも?社交辞令かしら。

 

 ルーナは踊っているエリオス王子を見つめた。

 3曲目はカトリーヌ様と踊っていた。


 


 最後に本当に素敵な思い出をくれたなぁ……

 

 王子様かぁ。住む次元が違いすぎるよね。

 

 エリオス王子の隣に立つのはきっとシャーロット様やカトリーヌ様のような人なんだろうな。

 


 ルーナはそう思って見ていたが、本当はエリオス様がテオとして学園生活でシャーロットやカトリーヌから受けた仕打ちを嫌味ったらしくほじくり返しているだけだった。

 



「ルーナ、おいで」

 そろそろガーデンパーティに帰ってもいいよね?と思っていると、エリオス様に呼ばれた。

 近づくと腰に手を回され隣に立たされる。

「??」

 ルーナが不思議に思っていると、高位貴族の(かた)がエリオス様に喋りかけてきた。


「エリオス殿下、おめでとうございます」

 そうしてお喋りが始まる。

 これは何?

 困惑しながらもルーナは笑顔を貼り付けた。


 入れ替わり立ち替わり、いろいろな貴族が挨拶にくる。

 ルーナはだんだん暇になってきたので、同じく暇そうにしているご主人についてきただけって感じの奥様に声をかける。


「ナターシャ様がしているとても素敵な毛皮はアルバリス領特産のシャドーフォックスですか?」

 こんな風に初めの挨拶で覚えた名前から領地の話しをベースに声をかけた。

 Cクラスの生徒たちに始め声をかける時に行ったことと同じだった。


「えぇ、そうなんですよ」

 ナターシャ様が嬉しそうに微笑む。

 そうしてルーナはちょっとずつ、いろいろな人と会話をしていった。




「サンラフナ領の珍しい貝の話しが聞けました! 気になってたんです!」

 しばらくすると喋りかけてくる人もなくなり、ルーナはエリオス様に興奮気味に話した。

 

 おそらくサンラフナ領にある貝はウニだ。

 あぁ久しぶりに食べたいな。

 

 そんないつも通りのルーナを見て、エリオス様は優しく微笑んでいる。

「疲れたでしょ? ちょっと休憩しよっか」

 エリオス様はそう言ってパーティ会場から離れ、王宮内を案内してくれた。


 


 

 

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