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春の訪れを感じる季節になり、いよいよ卒業パーティが近づいてきた。
ということはカンデラアカデミーの学友との別れも近づいていた。
いつものサロンでいつもの女の子3人がお喋りしている。
「もう少しで卒業パーティだね」
エマが紅茶を飲みながら喋った。
「もう準備は整った?」
サッシャが2人に聞く。
「だいたいね。私の所はパーティなんて初めてだから、お母様が気合い入れてるのよねぇ」
ルーナが苦笑しながら言った。
「パーティだから格好はどうするの? 控えめにするの?」
エマが首をかしげながらルーナに聞いた。
「最後の日だから着飾るつもり。着飾ったみんなに紛れるだろうし、もしシャーロット様やカトリーヌ様に見られても逆に誰だっけ? ってなるんじゃない? まぁ会わないでしょ〜」
ルーナは大人しく生活するのもやっと終わりだ〜というように、ソファの背もたれにのけ反るように倒れて両腕を伸ばした。
卒業パーティは王家主催で行われる。
盛大なもので、生徒はもちろんその親たちも参加する。
ほぼほぼ高位貴族たちの社交の場だ。
だからパーティ会場は王宮内から庭園まで広大な範囲で行われる。
王宮内は貴族たちの社交の場で庭園はそこまで格式ばらないフランクなパーティだ。
カンデラアカデミーには一般市民も通っているので王家なりの配慮だった。
Cクラスのみんなは庭園でいるんじゃないかな??
二つの場所は特に隔たりがなく自由に行き来が出来るようにはなっており、卒業生たちは基本自由に過ごして良かった。
「それにしても……」
サッシャが紅茶を飲みながらしゃべりだす。
「エマが1番に婚約が決まるなんて……」
「えー勇気を出して気持ちを伝えてみたんだよ」
エマがモジモジしながら言う。可愛い。
サッシャもニヤニヤしている。
エマは同じく医学専攻している地方の貴族の三男を好きになったらしく、思い切って告白していた。
すると両思いだったらしく、話しがトントン拍子に進んだのだ。
結婚後は2人で診療所を開くらしい。
「そう言うサッシャもジーク様といい感じよね?」
エマがお返しにと言わんばかりにサッシャに聞き返す。
「……別に私とジークはそんな感じじゃないわよ」
サッシャが照れてそっぽを向く。
ツンデレだ。可愛い。
学園ではいつもケンカしているが、休日に一緒に出掛けたりしているのをルーナとエマは知っていた。
「……2人ともいいなー」
ルーナがため息をつく。
「……ルーナは本当にテオ様とそれでいいの?」
サッシャが神妙な顔をして言う。
「……うん。テオ様から特に何も言われてないし。私も淑女教育受けてないような田舎の領地の八女だもん。学生生活限定の淡い恋だったなぁ〜って」
ルーナが苦笑する。
「卒業パーティで一緒に踊ろうって言われてるから、その日をいい思い出にして最後かなぁ」
ルーナがそう言いながら机に突っ伏した。
「……」
サッシャとエマは互いに顔を見合わせていた。
「……テオ様のことだから、何かあると思うんだけどなぁ……」
「私も、このままじゃ終わらない気がする……」
サッシャとエマが口々に言い合った。
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卒業に向けて慌ただしく日々が過ぎ、あっという間に卒業パーティの日が来た。
「フェニスお兄様!」
ルーナは久しぶりに会った1番上の兄に抱きついた。
「ルーナ。綺麗になったね」
フェニスお兄様は14歳年上だった。
もうそろそろお父様からマクシミリア領主の座を譲り受けるであろう。
今日は貴族同士の社交もかねて、ルーナの卒業パーティに参加してくれる。
お兄様が乗って来た馬車に侍女も数名乗っており、ルーナのドレスアップを手伝ってくれた。
お兄様たちは王都の一流ホテルに泊まる予定をしていた。
ルーナももう寮の荷物は引き上げており、卒業パーティのあとは一緒にここに泊まって次の日にはマクシミリア領に馬車で帰るつもりだ。
「ルーナ様、出来ました」
「わぁ! ありがとう!! すごく綺麗」
ドレスアップしたルーナは、手伝ってくれた侍女たちにお礼をのべた。
白をベースにシルバーの糸で刺繍されたドレスで、薄っすら光り輝くような上品で素敵なデザインだ。
エメラルドどダイヤモンドで作られたネックレスとイヤリングがアクセントになっている。
シルバーとグリーンでルーナカラーだ。
髪も巻かれてゆるく編み込んだハーフアップにしてくれた。
そこに植物をモチーフにしたヘッドドレスをつけてもらう。
肌も侍女によってピカピカに磨き上げられていた。
「いってらっしゃいませ」
侍女たちが笑顔で送り出してくれた。
完結まで毎日1話づつ夕方更新を予定しております。
32話で完結予定です。




