20:収穫祭
※王子視点
「マクシミリア領へようこそ!!」
馬車を降りるとルーナが歓迎してくれた。
と言ってもみんなと同じ馬車でルーナも移動してきたのだが。
ルーナたち一行は、ルーナの実家であるマクシミリア城に着いた。
マクシミリア領で行われる収穫祭に参加するためだ。
今回の旅のメンバーはルーナ、サッシャ、エマのCクラス3人組と、テオ、レオン、リリィの委員会3人組だった。
リリィは新参者だったが、行きの馬車が女子たち4人チームだったのでワイワイおしゃべりし、サッシャとエマとも仲良くなっていた。
年頃の女の子のようなことをするのは珍しいのでリリィはとても喜んでいるようだ。
「初めまして。ルーナの兄のファーレです」
マクシミリア家の玄関扉の前に男性が立っていた。
「ファーレお兄様!」
ルーナが駆けていって抱きつく。
「兄姉にまで嫉妬しないでよ」
レオンが不機嫌な顔をしているテオにコソッと言った。
「ルーナも久しぶりだね。……何かしでかしたの?」
ファーレがおどけて聞いていた。
「何もしてないよ。収穫祭に遊びに来てもらったの」
ルーナはニコニコ笑顔で答えた。
マクシミリア城は立派な石造りのお城だった。
お客専用棟があり、家族の居住スペースとは完全に分離されていた。
来た初めにルーナのご両親がちょっとだけ挨拶に来てくれたが、その後はテオたちだけで自由に過ごさせてくれていた。
部屋を案内してくれたり、食事を一緒にとったりはファーレがしてくれていた。
優しくて気さくな人だった。
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みんなで収穫祭の会場であるマクシミリアの城下町に来た。
屋台がたくさん並んでおり、それに負けないぐらいの数々のワインが用意されていた。
辺りはガヤガヤ賑わっている。
もう夕暮れ時だった。
ワインを飲んでる人、屋台の食べ物をほうばっている人、集まって談笑している人……とさまざまだ。
「準備があるんで、先に行ってて下さい」
ルーナがそう言って準備をしに一旦テオたちと離れた。
案内役の従者をつけてくれる。
テオたちは城下町の活気だった様子を見ながらゆっくり進んだ。
しばらく歩くと、城下町のメインステージの近く、座り心地の良さそうなソファとテーブルがたくさん設置されている所に案内された。
野外に家具を置いており、今日のために運んだのだろう。
あらかじめルーナに場所振りをされており、6人用のテーブルとソファに案内された。
少しすると給仕の人が来て、食べ物のメニュー表が渡される。
見ると貴族用の食べ物のメニューになっており、店ごとに分かれて載っていた。
注文すると給仕が各お店に取りに行くスタイルだった。
「おまたせー!」
マクシミリア領の民族衣装を少しアレンジした服を来たルーナが現れた。
白いブラウスに膝下までの黒いワンピース。
スカートのフチに赤い花柄の刺繍。
胸下には赤い編み上げのリボン。
髪型は編み込んで片側に流していた。
「可愛いですねぇ!」
リリィが歓声をあげた。
「でしょー? ありがとう。収穫祭に参加するマクシミリア領の女の子達はみんな同じ格好をするんだよ」
ルーナはそう言いながら、持ってるお盆のグラスを配りだした。
「みんなのお口に合うかな?って私が選んだワインです。召し上がれ」
ルーナは1人1人違うワインをテーブルにおいた。
「じゃぁちょっと挨拶まわりしてきまーす」
ルーナはそう言って違うソファ席へとむかった。
ここにあるソファスペースには、全てルーナが呼んだ貴族や繋がりの深い商社のお客様が座るらしい。
学園に来る前から馴染みがあるお客様、学園に来て新しくできたお客様。
ルーナはその全てのお客様に合わせてワインを選んで提供していた。
全ては美味しいワインを広めるためにーー
「あ、これ飲みやすくって美味しい!」
「私のは甘ーい」
サッシャとエマがワインを少しずつ飲み、美味しい食べ物に舌鼓をうっていた。
「僕のはスッキリしてる」
レオンはルーナからのお誘いを断るためにお酒が苦手な設定になっているから、とても軽く飲みやすいワインだ。
「ルーナ様よく分かってるぅ! 私のは酸味が美味しいやつぅ」
リリィが勢いよくワインを飲む。
「僕のは何だろう? ライスワイン? 白ワイン?」
テオのワインは珍しい味だった。
豊かで深みのある……
「美味しい」
テオはゆっくりワインを楽しんだ。
日が暮れて薄暗くなるとメインステージに楽器が持ち込まれジャズが流れだした。
みんなほろ酔い気分に雰囲気の良い音楽、心地良かった。
「楽しんでるー?」
挨拶周りが終わったのか、ルーナが戻ってきてテオの隣に座った。
ソファは3人用が2つで、1つに女子3人が座りもう1つに男子2人がゆったり座っていたため、ここしか無い。
「このワインも美味しいねぇ!」
「こっちのお菓子も!」
「ルーナ様、誘って下さってありがとうございますぅ」
女の子たちは相変わらずキャッキャしている。
「あれ? 酔ってないね?」
テオがルーナの様子を見て言った。
「収穫祭の責任者ですから」
ルーナがこぶしをギュッと握った。
「楽しそうだね」
奥からレオンが言った。
「はい。みんなで美味しくお酒を飲むのが大好きなんで!」
ルーナがニコニコ笑う。
「そういえば、僕に出してくれたお酒は何だったの? 美味しかったけど」
テオがそう言うと、ルーナが目をキラキラ輝かせた。
「良かった! あれは赤ワインの酵母で作ったライスワイン。いわゆる2つを融合させたものです。味が豊かで深みが出るんですよ。初めて上手く作れました。私の大好きなお酒なので」
「……そうなんだ」
テオは微笑みながら答えたが、違和感を感じた。
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