十年後
アリソンとニックは魔法学院を卒業してすぐに結婚した。
その後、男の子と女の子の二人の天使を授かり、忙しいながらも幸福な生活を送っている。
その間、国王は譲位することを決意しアランが後を継いだ。その時、彼が正妃として選んだのはなんとリズだった。
仕事でも私生活でも彼女は一番頼りになるパートナーで、即位後も抜群のチームワークを見せている。
アランとリズにも男の子が二人いる。
アリソンたちとは家族ぐるみの付き合いで子供同士も仲が良い。
ニックは将来アランをサポートする宰相となるべく、現宰相の下でビシバシと鍛えられている。
ノアは相変わらず最強の騎士団長として大人気だが、いまだに独身でこの高嶺の花を射止める女性はいるのかと国民の間でも話題になっているくらいだ。
ローガンは教会の代表として多くの慈善事業を促進し、イケジイも元気で彼女を支えている。
アンジェラは数年後に修道院から出ることが認められ、なんと平民になったドミトリーと結婚した。
二人でレストランを開業したという。アンジェラは前世の料理の知識を活用し、珍しい食事が楽しめる店として大繁盛しているらしい。
ランカスター王国はフィッツモーリス帝国だけでなく他の諸国とも国交を開き、貿易や交流が盛んになった。
多くの外国人は魔法が使えるというランカスター王国に興味を持ち、観光客だけでなく移住する人も多くなった。
髪色は様々な色が混じり、これから白や三原色を維持することは難しくなるだろう。
それでまったく問題ない。
どんな髪色でも、みんな同じ人間だと、そういう価値観が広まることは素晴らしいことだと思う。
どんな外見でも、どこの出身でも、どんな信条があっても、誰もが一人の人間として尊重され、差別されない、そんな世界になればいいな。
そんな世界に子供たちは住んで欲しい。
アリソンは三人目の生命が宿るお腹を撫でながら、隣にいるニックを見上げた。
愛おしそうにアリソンを見つめる彼の眼差しは十年経っても変わることがない。
「アリー、俺と結婚してくれてありがとう。毎日君と一緒に居られるだけで俺は幸せだ」
ニックがアリソンの額に口づけを落とす。
「私も。毎日幸せよ」
アリソンが彼の胸に顔を寄せると、ニックは彼女を腕の中に抱き寄せた。
*これで完結になります。読んで下さった皆様、評価、ブクマ、感想、いいね、誤字脱字報告を下さった皆様、心より感謝致します。作者にとって何より創作の励みになります(*^-^*)。
*二話完結の短い物語をアップしました。軽く読める短編なので、興味のある方は是非お立ち寄り下さい。→『不運すぎる悪役令嬢の婚活事情(https://ncode.syosetu.com/n0491hr/)』