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猫と猫CAFE主人  作者: 零月隼人
〈第二部〉
7/23

一 【CAFÉ連合会議編】

軍隊の襲撃から、1週間後。(これ、サクッと言っときながらなんだけど、けっこうヤバイことだよね?)

拓人のけがも完治した。

とはいえ、さすがにまだY市の猫CAFÉに居座っていた。拓人の店は、瓦礫の山と化しているからね。

この店には、もとから住んでいる猫もいて、S区の僕らも来たため、けっこう窮屈ではあるが、でも敵の攻撃がないというだけで安心である。

あと、なぜか小波基地司令が、拓人が来てから上機嫌だが、その理由は不明である。

とまあこんな感じで、僕ら猫が平和に暮らしていると。

拓人のもとに、連絡が届いた。

ちなみに、拓人は、他の全国の猫CAFÉ、およびその他の仲間と連絡を取り合うときは、独自の端末を使っている。

電話を使うと軍に傍受される、手紙を出すと軍に検閲される、伝書鳩を飛ばすと軍に撃墜される、直接出向くと軍に居場所を察知される・・・・・・だそうだ。


「――――はい、私のけがは無事治りました。S区基地は崩壊していますで、今はY市基地に滞在しています。私はこれより、そちらに合流します。事態の説明と今後の対策ですね。分かりました、生田連合総司令。」


おやおや。

拓人は一人でどこかに出かけるのかな。

そう思って聞いていると、拓人に話しかけられた。


「権太、俺が今から行く場所は、CAFÉ連合総司令部だ。そこで、各CAFÉの司令官が集まり、重要な会議がある。それで、提案なんだが・・・・・・君も一緒に来ないかい?君はこないだの戦闘で、仲間達の指揮を取ってくれた。ぜひこれからも、活躍してもらいたい。

CAFÉ連合会議のルールとして、一名までなら、自分のCAFÉの子か、副官を連れていってもよい。俺は今まで、一度も連れていったことはなかった。だが、今回、自分のお気に入りとしても、副官としても、君を連れていきたい。・・・・・・駄目、かな?」


そこまで言ってもらえるとは・・・・嬉しすぎる。

もちろん僕は、一緒に行くことにした。

それにしても・・・・・・小波基地司令の嫉妬の目線がイタイ。

ちなみに僕は、人間の言葉を理解することはできないし、人間の目線を感じることもできない。



CAFÉ連合総司令部、連合会議場。

厳粛な雰囲気に包まれたこの場所には、多くの司令官が集まっていた。

僕は後から拓人に聞いたのだが、各CAFÉの種類とその司令官の名前は、このようになっていた。



猫CAFÉ司令 上東 拓人

犬CAFÉ司令 犬井(いぬい) (はじめ)

鶏CAFÉ司令 (とり)西(にし) (らん)

豚CAFÉ司令 太形(ふとがた) 豚子(ぶたこ)

牛CAFÉ司令 牛島(うしじま) (こう)()

羊CAFÉ司令 館山(たてやま) (ひつじ)

猪CAFÉ司令 猪田(いのだ) (ゆう)()

魚CAFÉ司令 川魚(かわざかな) 海鮮(かいせん)

鴨CAFÉ司令 芹沢(せりざわ) (かも)

鳩・烏CAFÉ 共同司令 鳩山(はとやま) 一夫(かずお)烏丸(からすま) 光也(みつや)

コアラCAFÉ司令 木眠(きみん) ()亜羅(あら)

カンガルーCAFÉ司令 (かん)() 流之(るの)(すけ)

カエルCAFÉ司令 ()() ()()()

カブトムシCAFÉ司令 (ほむら) (かぶと) 

クワガタCAFÉ司令 鍬形(くわがた) (あい)

セミCAFÉ司令 瀬見(せみ) 音鳴(おとな)

ゴキブリCAFÉ ()() 成彦(なるひこ)

蚕CAFÉ司令 (みなもと) (ほたる)



また、これらとは別に、CAFÉ連合総司令部の総司令として、 生田(いくた) (ひょう)()という人物がいた。つまり、日本のCAFÉ社会のトップだ。

生田総司令が拓人に声をかける。


「お~、上東。君がパートナーを連れてくるとは珍しい。よほどのお気に入りか?」

「はい、この権太は、先の大戦で他に類を見ない活躍を成し遂げ、仲間の指揮をとったのです。」

「そうか、それはなにより。それでは、皆への状況説明、頼むぞ。」

そう言うと、生田総司令は、真ん中の席へ座った。

「各CAFÉ司令の諸君。今日はよくぞ集まってくれた。さて、まずは猫CAFÉ代表の上東より、報告がある。」


こうして、拓人によって、先の大戦について報告された。



「―――以上のようなことがあり、我が基地は甚大な被害を受けたのであります。」

このことに、場内はざわついた。

「まさか、軍がそこまで圧力をかけてくるとは。」

「他の基地とて、油断はできんぞ。」

「しかし、幸いなことに、軍の大半を上東司令が打ち取ったおかげで、今他に動かせる部隊はないのでは?」


拓人の説明が終わり、議題は今後の対策に移っていた。


「まずは、各基地の防御システムの拡張だ。防御が破られたら、話にならん。」

「こちらからの攻撃手段も必要なのでは?主砲とミサイルの配備を。」

「はたして今動かせる軍がないか気がかりですね。もし、今の状態で攻められたらおしまいだ。」


ここで、猪田司令だったか、好戦的な発言をした。


「逆にここで、全CAFÉが一斉に蜂起し、軍を攻め落とすというのは?」

「しかし、確実に打ち破れる保証はないぞ。」

「そうです。最悪返り討ちに合う可能性も!」


司令官たちは、手詰まりという様子だった。

すると拓人は、僕に小声で話かけてきた。


「どうやら議論が行き詰ったようだ。君からも何かないかい?もし、意見があれば遠慮せず発言してほしい。」


そうは言ってもな・・・・・・司令官という有能な方々ですら、苦悩しているのに、僕が何か名案を思いつくなんてこと・・・・・・

ちなみに僕は人間の言葉を理解することはできないし、話すこともできない。

あ、でも。


「先の大戦での一番の問題点は、数の圧倒的差にありました。幸い、拓人は人間離れした戦闘能力があるため、敵一万を一人で殲滅しましたが、どこのCAFÉでも同様とは行かないでしょう。先ほど話に上がった主砲やミサイルも、自動砲撃では当たりませんし、砲撃手が必要となります。また、人員の確保がなされた場合、司令官不在の時に敵が襲ってきても、防ぎきることが可能でしょう。先の大戦では、もし拓人がいなければ、為す術なく我々は全滅していました。そういった事態を防ぐため、戦闘員の増強は必要です。しかし、やみくもに数を増やせばいいというわけでもありません。もし、数攻めで勝とうとするならば、敵一万に対し、十万は必要でしょう。それよりも私は、質を上げるべきだと考えます。願わくば、拓人のような戦闘員を、あと100人ほど、各CAFÉに常駐させられることがベストではないでしょうか。そのための一つの手段として、基地の削減を提案します。確かにこれにより、敵に的が絞られやすくなり、より大戦力に狙われやすくなるというデメリットはありますが、一方で、防御に回せる人員の確保ができます。また、先ほど話題になった主砲やミサイルも、一つの基地により多く搭載できることとなるでしょう。」


この発言に、拓人が付け加えた。


「権太の言うとおり、実際、数の少なさは、我々の大きな課題です。そもそも我々は、生き物を食べるという世の多数派の意見に反発して集結した少数派の団体です。人員を増やすというのは、同時に我々の考えを一人でも多くの人に共感され、少数派が、より多くの人数をもつ少数派となることでしょう。」


この、僕と拓人の意見は、場内にいた司令官達の心に響いたようで、多くの賛同を得た。

生田総司令が立ち上がる。


「それではこれより、CAFÉの一大改革を始めることとする。各CAFÉはここにいる司令官の所有する基地以外を放棄し、同時に自基地の拡大と設備の増強を測る。そのとき、放棄された基地は取り壊さず、そのままにしておけ。敵の目を欺くことができる。人員の確保は、総司令部の方から行う。派遣は適宜連絡する。以上!」


こうして、CAFÉ連合会議は終わった。


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