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猫と猫CAFE主人  作者: 零月隼人
〈第一部〉
2/23

吾輩は猫である。

いや、この始まりはよくないな。何かよく分からないが、身の危険を感じる。まあ、読者には、僕が猫だということは伝わっただろう。

さて、僕は今、食肉工場のレーン上にいる。

そう、悠長に文章を考えている場合なのではないのだ。もうすぐ、殺されるというのだから。

だがしかし、人間とは恐ろしいものだ。

我ら猫を、煮て食うとは。

しかし、僕に今、ここを脱出することは、極めて不可能だと思われる。

まず第一に、この工場のあらゆる所に監視カメラがついていて、上で人間が画面上でくまなくチェックしているからだ。もし、少しでも逃げ出そうという素振りを見せようものなら、大量の人間に四方八方から包囲され、行き先を阻まれるからだ。

また、それ以前に、このレーンの塀を飛び越えることすら、猫の身体の大きさでは不可能だ。

そう、今僕は、絶体絶命危機的状況だということだ。

さて、とりあえず・・・・・・念仏でも唱えるか。

南無阿弥・・・・・・


「侵入者だッ!!」


ん?下界の民が、何か騒がしいな。

いやいや、僕はまだ死んでないから。

とにかく、工場の人間が騒いでいる。


「くそ、今すぐ捕まえろ!」

「泥棒か、それとも・・・・・・」


その時、一人の青年の声が工場の中に響いた。


「今すぐ、この工場で捕らわれている猫達を解放しろ!」


すると、工場長だろうか、とにかくお偉いさんらしき人の声が、聞こえてきた。


「我々はこれで商売を成り立たせているんだ。渡せと言われても、素直に渡せるわけがない。」


ふむん。とりあえず、解放するなら早くしてくれないか。もうすぐ僕の番なんだが。

運よく僕の後ろのヤツは助かって、僕は肉塊になるのはごめんなのだが。

こうしている間にも、猫がたくさん殺されていく。もはや僅かな猶予も許されない。


「しかたがない。強引にでも、俺ができる限り助けることにしよう。」


そう、そうしてくれ。そして僕を助けてくれ。

青年は、人間の制止を振り切り、僕らのところまでやってきた。そして、最初に体を抱きかかえられたのが・・・・・・僕であった。

えッ・・・・・・まさかとは思ったけど、本当に僕が最初?

ふふん。他の者より一歩優位にたったぞ。

・・・・・・って、そうじゃない。そんなことより、早く、より多くの命を救ってくれ。

こうして、青年と工場の人間との攻防が始まった。


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