駄攻略が!!
新たに仲間を手に入れた勇者は、無事マトモな冒険が出来るのか?
新たな仲間と契約してしまった勇者のりくんとメロウス、遊び人りえぞう・遊び人から転職したばかりの賢者ロイ、世界のあらゆる武術取り入れた舞踏家かえりん、四人とサヤ一本、ウメルダの酒場をとりあえず出発することになった。
「この辺りは温泉地なのか?」
辺りを見回しながら、勇者のりくんが質問してきた。
「そうよ、ウメルダの酒場も私とリリンで作った頃には、地面には埋まってなかったの」
遊び人りえぞうがそれに続ける。
「この辺は、もとは火山活動が活発だった影響で、温泉が湧き、地殻変動で酒場自体が埋まってしまったが、大賢者メロウスの加護で、1000年以上の時を昔の姿のまま維持してる。」
駆け出し賢者ロイも続く。
「街自体も火山の裾野にありますし、その火山は数百年前に活動をほぼ停止してますからね」
舞踏家かえりんも続く。
「大賢者メロウスこと伝説のレフトハンドソード様とクエスト攻略だなんて」
「今はメロウスでお願いしたいわ、なんせ抜けない以上、剣としては活躍しないんだから」
街を出て少し歩くと、山頂の見える場所にでた。
「じゃあ、あの山頂が最初の目的地だから~」
メロウスはやる気なく答えた。
「ほほう、そうか」
勇者のりくんが見上げる先には、5000メートル級の火山がそびえている。
「はっはっはっ流石の勇者様も、この高さに加えモンスターも出るんだ、簡単には…」
りえぞうが軽く談笑しながら歩いていると到着した。
「あれ?ついた?どうやって?」
三人がざわつき出すのをメロウスは冷静に見ていた。
「ちょっとなんなの?何が起きたの?」
「これってメロウス様の転移魔法か何かですか?」
「違うわ、勇者の能力で移動を端折ったのよ」
『端折ったぁぁぁぁぁああ!?』(一同)
そりゃ驚くよねぇ…魔法とかじゃないんだもん。
言うなれば、そういう法則を世界に存在させる事が出来るみたいな、無茶苦茶な能力。
「とりあえずここまでの話をしとくわ、斯く斯く云々」
ここまでの経緯と端折り具合を説明した。
「ほとんど無敵じゃないですか…冒険とかの意味がわかんないんですけど?」
りえぞうはあきれ顔で答えている。
「私もそう思う、ブレイバーアーツに限らず、間合い支配は、武術において究極の技術…それを無視…」
かえりんもあきれ顔をしている。
「なんだかパーティー組んだ意味がわかんないですね」
ロイも困惑の色を隠せないが、勇者はマイペース。
「それよりここからどうするのだ?素材とやらを取るのだろう?」
「もちろんそうですけど、勇者様なら、ここからでもいけるんでしょ?」
「おいおい待ってくれたまえ、僕の力はそんなに都合のいいものじゃないぞ」
「遠近感無視すれば行けそうですけどね」
「フッ…見えてないのに捕まえられないぞ」
「あ~なるほど、対象を捉えてないと無理なんですね」
それなら無茶苦茶だけど絶対と言うわけじゃないか…
「りえぞうさん、アレでいけるんじゃないです?」
「アレか?」
「そうそうお得意のあれですよ」
「それならお前のアレも使えるんじゃないか?」
「ですな〜、フッフッフッ」
「ですよな〜、ハッハッハッ」
「フッフッフッフッ」
「ハッ〜ハッハッハッ」
二人は謎の高笑いのあと、勇者に耳打ちした。
「なるほどな、なんとか行けそうだな!」
メロウスは、イヤな予感がしたが、感じなかったことにした。
「光は波動、光は粒子、光の精霊よ、我が魔力と交換にその姿を操らせよ、透過魔法セント☆カミエール」
山頂の温泉をたたえた乳白色の湖は、見る見る内に透明に変化していった。
「なにこの魔法?大賢者と言われた私すら知らない!?」
突然かえりんが解説を始めた。
「あれは、光の精霊との契約により、普段人が見ることができない光まで操り、透明にする魔法、おそらくは、パーティー以外の人間には、いつも通りに見えているはずです!!」
「パーティー以外には、何がおこっているかわからないってこと?」
どうりて知られていないわけだ、しかもただ威力を追究した魔法より、ずっとシビアで繊細なコントロールがいるはず!!
「う〜ハッ!う〜ハッ!」
りえぞうが、部族の舞のような踊りを始めた。
「今度は何?」
「りえぞうは、元々シャーマンの家系の天才児、お硬い家柄を嫌って遊び人になったが、一族で唯一、滅びし種族、『ドラゴン』『トロール』『エルフ』の根源と契約し、その力を自分やパーティーに付与できる!ショーマンにして最高のシャーマン!!」
「じゃあシャーマン継ぎなさいよ!!」
この世界は困った奴等しかいないの?
「遥か昔滅びし巨人族よ、その根源の力と契約せし我に、その力を示し給え!!」
りえぞうの眼前に、光の玉が現れた。
「勇者さま行きますよ!部分巨躯魔法!メガフェイス!!」
光の玉が勇者のりくんを包み、巨人のちからを宿す!
「ほほう、コレが巨人の力」
「顔だけでっかくなっとるやないかい!?」
メロウスは突っ込んだ!
「巨人の目は、遠くを見る能力に長けます!透明な湖の底の目標を捉えられるはずです!!」
メロウスは、やや疑問を感じながらも納得した。
「なっ、なるほど、でも、湖の中央に行かないと、角度的に、みえないんじゃ?」
「…」(一同)
りえぞうがつぶやいた。
「うッわっ考えてなかった…」
「なら私の出番ね」
しゃしゃり出るかえりんに、顔がでかい勇者のりくんが喋った。
「躍りでどうなるんだ?」
「私はあらゆる状況で踊る術を編み出してきた…もちろん、水面でもね♪」
足先に魔力が集まっていくと同時にステップを踏み出す。
「ウンディーネの地団駄、これで私の近くに居れば水面を歩けるわ」
立ち位置から、一定範囲に波紋が幾重にも立っている。
「ほほう波紋の範囲なら、普通に立てるな」
ロイが鼻水を垂らしてプルプルしている。
「早くしてくだしゃい!レベル1だから魔力が少ないんです!!」
「おおスマンな」
舞踏家と二人で、湖の中央辺りまで行く。
「見えた!!そぉ~~い!!」
巨大な二枚貝をいつの間にか手に持って掲げている。
「そのままこっちにきて、街の広場に戻りましょう!」
「了解」
街の広場、様々な人々が行交う憩いの場、その中心には、湧き水を湛えた水場がある。
ふと気が付くと、そこに巨大なシャコ貝と、顔だけデッカイ男がいた。
「えっ?なに!?あんなのあった??」
「顔でっか!アレって巨人になるの???」
「っていうか、さっきあんなのあった?」
日常の中に、突然、音も無く二つの巨大な存在が現れたことによりざわついていたが、音がしなかったので、建物内にいた人や、そちらを見ていない人は、気づいていなかった。
しかし徐々に騒ぎが大きくなってきた。
「ココの湧き水は飲めるのか〜〜〜!!」
勇者の声がデカイ、叫んでいるのか?いや、顔がデカイからや。
街がいよいよざわつき出したとき、のりくんは言った。
「りえぞう、俺たちに今できることは何だ?」
「フッ…決まってるぜ勇者さんよぉ!」
りえぞうは既に何かの魔法の準備を済ませている。
「ドラゴンの根源よ!契約に従いその息吹を宿したまへ!!ブレス・オブ・フレイム!!!」
ドラゴンの息吹で、巨大な貝が浸かる水場が沸きたち、貝の重さで栓をされ、さながら巨大なべ状態になった。
貝は開き、出汁がでて野菜もぶち込まれ、武闘家は踊り、賢者は遊び人と芸に励む勇者が謎の神輿に担がれ…なにあれ?
『わっせ!わっせ!』
「ハッハッハッ俺が勇者だよ~~~~」
巨大貝汁が振る舞われ、街の人々は酒を持ちより、最高の芸とダンスで場は最高に盛り上がっていた。
確かに貴方たちは(宴会)仲間として最高かもしれない…
でも…でも…
攻略の内容と言ったら…
「この駄攻略が!!!」
水場の空に、メロウスの声が響く…
酒に酔った勢いで、契約更新をするりえぞう達、次に向かうのはダンジョンの奥にある特殊なとり。
ダンジョンならば端折ることはできないはずと、マトモな冒険になると期待するメロウス、はたしてどうなるのか?
次回 駄ダンジョンが!!