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駄親方が!! 

 伝説の剣は異世界に勇者と去り、私だけが残された。


 残された私は、新たなる伝説の剣を求め、鍛冶屋にとばされるのであった。

鍛冶屋……


 この世界の多くの場合、鍛冶屋は、石造りの建物の中に、炉や金床があり、腕の太い筋肉質な男数人が槌を振るっている。


 この鍛冶屋も例外ではない。


 そこに神によって突然飛ばされたサヤを、鍛冶屋たちはキョトンとした目で見ていた。


「神様から事情は聞いてますよね?」


 すると、そのうちの一人が話しかけて来た。


「ひょっとして、今奥で親方が聞いてる話のことか?」


「ああ多分それです。」


 私を親方のところに連れて行こうと手を伸ばした。


 その手は職人らしく炭や油に汚れゴツゴツとしていた。


「あっ、ちょっと待ってくれ、手を洗ってくるから」


「余裕があるんで急がなくてもいいですよ」


 そうそう、キチンと神が話をつけてくれれば、なんの問題もないはず…


 そう思いながら、奥から聞こえてくる声に耳を傾ける。


「はぁ?何言ってんだ!無理だって…いやだから、素材がないんだって!!」


 なんだか不吉な予感しかしない。


「あのな、伝説勇者が命がけでとってきた素材を、熟練の職人数人がかりで鍛え上げたとして、出来るかどうかわからないんだぞ!!」


 なんだか楽には出来ないようだ…


「だーかーら!!もう素材自体も取ってきようがないし、剣を打った職人の内一人が死んじゃってんの!!どう考えてもすぐには無理だろ~…」


 あわわ、もう二度と作れないかもしれない…


「そこを何とかするのがプロの職人だろう?ふっざけんな!!素材がねぇっ…あっ逃げやがった。」


 手を綺麗に洗って職人が戻ってきた。


「じゃあ親方のところに運びますね」


 白い布を使って両手で私を優しく持つと、親方の方に運んでくれた。


「親方~これ、さっきの話の鞘じゃないですかね?」


 その部屋は、注文書などの書類や鉱石の精製などのレシピなどが壁に張られ、机には剣の柄の部分が置いてあり、それに合わせた書きかけの設計図などが置いてあった。そこに座って親方は不機嫌そうに考え込んでいる。


「どっどうも、メロウスです。」


 私の声にハッとした親方は、気を取り直して、丁寧な態度で話しかけて来た。


「あんたがメロウスかい、災難だったね」


「お話し聞いてました。どうも出来ないみたいですね?」


 最悪の展開だが、鍛冶屋に罪はない、仕方ない。


「すまないが、作るとしても、かなりの準備と時間がかかる。それにおそらくは、作ることは不可能に近いだろう。伝説級の剣だ、二度と出来ないかもしれん」


「ですよね~」


「一応、代変えとして別の刀身なら用意できるけどどうする?」


 う~ん、ないんじゃどうしようもないしな~、鞘だけってのも変だし~


「えーと、私、魔法が使えるらしいんで、最低それに負けない中身じゃないと」


「確かにな、中身がしょぼすぎたら、中身を使わないなんてこともあるかもな」


「それ困ります。」


「うーんでもな、あの伝説の剣以外で凄い剣って言ったら魔法剣になるぞ?」


「そうなるか〜でもな~、魔法使い二人みたいになるな〜」


「じゃあ違うか〜」


「ですよね~、魔法剣を魔法が使える鞘に納めてても意味が薄い気がするし、なんかキャラかぶりですよね~」


「じゃあ属性をサヤと刀身で変えて見るっていうのわどうだろう?」


「あっ、属性で個性を出す…でもな〜」


「なに?いいじゃねぇか属性で個性出す。」


「自分の属性知らんな〜」


「え?自分の属性なのに?」


「自分の属性なのに……」


「そんな自分の属性なのにわからないなんて、なんの性癖もないウブなネンネと、常識人だけだ!!」


「常識人!?」


「普通に常識人してれば、ワザワザ自分の好きな属性なんて考えないんだよ!そんなん考えんのは、性癖が歪み始めたか、オ○ニーのしすぎ!!色々オカズにしすぎて傾向に気付いてしまうんだ!!!」


「ウブなネンネは?」


「そっもそも!オ○ニせんのじゃあぁあ!!」


「私作られたばっかりだから、ウブなネンネなんじゃ?」


「じゃあ知らんか〜、じゃあ普通に考えたら光属性か?」


「でもそれだと、反対は闇属性だし、勇者の剣が闇属性?他の属性から苦情きそうです。」


「じゃあ違うか〜」


『私だ、話は聞いていたよ』


 突然、どこからともなく神の声が聞こえてきた。


『お前は全属性の魔法が使えます。持つ者の魔力の力も上乗せでき、闇属性すら使いこなせます。その上、その身に魔法を込めることで、魔法剣としても強力な威力を発揮します。もちろん、通常必要な魔法の習得や詠唱などもいりません。今現存する武器でいえば伝説の剣レフトハンドソード次は貴方が最高にして最強です。』


「それトンデモチート武器だ!?」


 鍛冶屋の親方は、机にあった書きかけの設計図を引き裂きながら叫んだ!!


「なんじゃそりゃぁぁあ!そんなしたらもうサヤという定義がおかしなる!!サヤはただ剣を収める為にあばイいの!そんなんもう伝説の剣以外は絶対に負けるやろがい!!」


 でもそうすると話はややこしい、なぜなら収める剣がないことになる。


 だって…


 上の武器は伝説の剣しかなくて、他の剣だと抜刀した瞬間に装備者が弱くなる?


「神様…せめて魔法剣の機能は無しで作って欲しかった…」


『だって伝説の剣が選り好みした挙句どっか行くなんて思わないじゃん』


「そうだけど~」


 落胆する私のを見ながら、親方が神様に言った。


「おい神様、魔法使えない普通のケバイ鞘に作り直したらどうだ?」


「そっそれだ!!」


 ケバイ?しかしいい案!普通はちょっとアレかもだけど、それならいい剣が見つかるかも!!


『その場合、今の魂は無に戻るけどよいか?』


「いいぜ神様」


 親方は親指を立てて肯定した。


「よかねぇぇぇぇぇぇ!!!!殺す気か!!!!!」


「いいじゃねぇか物なんだし」


 あっぶねぇぇぇ、それにしても道具の魂を考慮しないなんて、恐ろしい親方!!


「ならこういうのはどうだ?」


 机の上にあった剣の柄を手に取った。


「とりあえず、この伝説の剣の柄のレプリカを付けといて、代りの刀身が出来るのを待つ」


「おお~」


 それなら見た感じは何とかなる。


『なら、選ばれし者にしか抜けないことにすればいいじゃろ』


「おお~」


 それなら刀身がなくてもごまかせそう。


「ならその状態で私を宝物庫とかに…」


 喋ってるのを無視して手に取ると、いきなり柄を何かで引っ付けた。


「アチチッ…なにこれ?」


 痛覚ないのにアツ痛かったよ?


「絶対に取れない瞬間接着剤で付けといたから何とかなるだろ?」


 ……絶対にとれない?


「なにすんじゃぁぁぁぁい!!絶対に取れなかったら刀身出来たときどうすんじゃぁぁぁいい!!!」


「タッッッ分出来ないから大丈夫」


 親方は溜めて答えた。


『だってさププッ』


 神は失笑した。


 私は怒りに打ち震えながら叫んだ…


「こっの!駄親方がぁぁぁああ!!」

 刀身の無いまま、柄を付けられた私だけど…


 そんなのに負けない!!


 だって伝説のサヤだから!!


次回 駄ギルドが!!

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