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第三話 ガントロ洞窟へ

エルフの森を守るため主人公達は村長さんの息子がいるであろうガントロ洞窟を目指す。

栞ちゃんなんて声出してるんだ。これじゃあ僕が栞ちゃんを襲うオークじゃないか。


「昨晩はお楽しみのようで。朝ご飯の用意ができました。準備ができたらお越し下さい」


村長さんが壁越しにそう言いながら笑っている。村長さん相当楽しんでいるな。


まぁそろそろ起こさないといけないけどどうやって起こす?

こんな体験始めてだけど、そういえば栞ちゃんもさっき初めてはどうとかまぁいいか。


ここは紳士的に布団越しに体を揺らすことにしよう。そう言って僕は栞ちゃんの肩を揺らす。

「あっ柊君だから激しい、って夢か」


「栞ちゃんおはよう....朝ご飯の準備が出来たようだよ」


「おはようございます。あっそうか昨日は一緒にえっと先に言っててください」


栞ちゃんは恥ずかしそうに顔を隠している。栞ちゃんに言う通り先に村長の元へ行った。


「おはようございます。村長さんは僕と栞ちゃんのことを勘違いしています。栞ちゃんと僕はそのただの友達でそういう関係ではありません」


「だけど昨日は一つの布団で寝たんじゃないのかい。そしたらもうそういう関係と言ってもねぇ〜」

「そっそれは寒かったからで布団の中でも何もなかったし....」


そこに顔を真っ赤にした栞ちゃんが現れた。どうやら村長さんとの話を聞いていたようだ。


「この話もう終わりー!オークからどうやって身を守るのか話しましょう」


強制的に話を変えさせてもらった。オークからこの村を守ることができないと元の場所に帰れないのだから。


「守ると言ってもねー村の男は年老いたものしかいなくて、戦うと言っても歯が立たないし」


「村長さんの息子さんとか他の去っていったエルフは、頼れませんかね」


「私も会いたいよ。もし生きているとしたら山の奥の洞窟なんかにいるのかもしれん」


山の中の洞窟か。僕達は、オークに襲われて、村に飛び込んだから、回りの地形なんかは把握していないな。


「そうですかその洞窟の場所を教えてください」


「まさかあんた行くんじゃないだろうね。外はいつオークに襲われてもわからないよ。」


「襲われるかもしれないけど、村を守るには、一縷の望みにかけるしかありません。たとえ襲われたとしても柊君がついています!」


「えー僕何にもできないよ。だけど僕が、守るよ栞ちゃんって栞ちゃんも行くの?」


「お二人暑いね。よし分かった洞窟の場所を教えよう。洞窟は山の真ん中辺りにあってまぁいけばわかるさ」


え、説明雑じゃない?でも物語を進めている感じはするし、前進あるのみかな。


そして僕達は準備をした洞窟に着くまでには一日はかかるかもとその分の食料を持たされ、村でもわずかな若い人達も同行してくれるそうだ。


「これはお守りです。エルフ代々伝わる精霊の加護がついているとかなんとか」


ちょっとそこ適当じゃない?少し抜けてるなこの村長さん。

「スピリチュアルですよ柊君」


彼女が可愛いかったからこれはこれで。精霊の加護より栞ちゃんの加護の方が僕にとって効き目がある気がする。


「この度同行させていだだきやす、サイと申しやす。村のためにわざわざ危険をおかしてわすからもお礼をさせて頂きたく同行しやすぜ」


「ありがとうございます。サイさん洞窟までの案内お願いしますね。」


サイさん達エルフの若い男達が前を歩き僕達はその後についていく感じで目的の洞窟を目指す。よく見るとエルフのアンちゃん達ガタイいいな。僕と大違いだ。運動音痴の僕は他の面で栞ちゃんにアピールしなきゃ。


「栞ちゃん疲れていないかい?山道なんてあんまり歩いてないから疲れちゃうよね」


「いいえ私こう見えても、高校の時は陸上部で体力に自信があります!ですが一度も大会とかには出たことが無くて....」


それは体力に自信あると言えるのか。まぁでも僕もこう見えて週に一度はランニングしてるし、いざとなったらオークなんてやっつけちゃうぜ。多分死ぬ。


太陽が沈み夕暮れ時になってきて山を進むには心細くなってきたときまっすぐ行った先に洞窟があった。


「よっしゃー目的の場所についたぜ。いやぁもう暗くなってきたし心配だったんだよ」


「シュウの旦那、あれはわすらが目指してる洞窟ではなくて、目的地はもう一つ先の洞窟ですぜ。まぁですが今日はこの辺で野営しましょうか」


目的の場所じゃないのかでも休めるな。今日はオークに襲われなくて全員無事でよかった。洞窟の中はあんまり大きくないけど、全員が入れるくらいのスペースがあった。


「おい、サイこれを見てみろ!誰かがここに居た形跡があるぜ、それとこれは文字か?」


そこには、焚き火の跡や何かを食べたり飲んだりした後があった。そして僕達には読めない文字で何かが書かれていた。


「サイ、これはなんて書いているんだ」


「これは、我々、エルフ九名はエルフの村長の息子マルクを筆頭にこの先のガントロの洞窟にいるだろう。其方らの動きは、仲間のエルフの能力で把握済みである。我々に協力してくれるというのなら、その洞窟の先の滝の下を潜りこの洞窟へ参られよと書いていますぜ」


どうやら、村長さんの息子は生きていたようだ。この形跡からみてここを出てから一週間も経っていないだろう。


そのエルフ達の力が借りられれば、オークをなんとかできるかもしれない。


「柊君、今日は休みましょう。なんだか疲れているみたいですよ。昨日も寝てないみたいだし」


「あれ、昨日寝てないってなんで知っているの?」


「あ、柊君、寝れないようだったから、私が寝た振りをすれば眠れるかなと思って、そしたらつい眠ってしまって....」


「旦那、今日はわすらが交代で見張りをするんでぐっすり寝ていいですぜ」


そうだな、さすがに二日寝ないのはきつい。本の中だっていうのに、リアリティーはある。さすが父さんだな。


そしてテントを張り寝ようとするが、彼女とまた二人っきりで寝ることになった。


後から考えてみて、年頃の男女が、一緒に寝ることは、恥ずかしいかもしれないけど、何が起こるかわからない場所で彼女を一人で寝せるわけにはいかないと思った。



床についてそんなにしないうちに事件は起きてしまった。


「旦那、悪いが起きてくだせー奴らが来るかもしれねーぜ」


その時、オークの叫び声のような声が洞窟の中まで聞こえた。それに驚いたように寝つきのいい彼女も起きたようだ。


辺りは真っ暗進むにはとてもじゃないくらい足場が悪い。だけど、行き止まりの洞窟の中でオークに見つかっては、手も足も出ない。


とにかく予定を変更してマルク達がいるガントロ洞窟を目指すことにした。


運がいいことに、オークの叫びが聞こえたのは村の方からでもガントロ洞窟からでもないそうで、なんとかオークと鉢合わせる可能性は低いらしい。


けれど、見つかれば最後、オークは容赦なく襲いかかってくる。そこから息を殺して進むことにした。足場が悪いので彼女の手を取りながら慎重にかつ出来るだけ速く進む。


そのあとオークとは出会わず無事、ガントロ洞窟に着いた。着いたはいいが、そこには誰もいない。まさか昨日の夜にオークにやられたか。


「あなた方が我々に協力をしてくれる者たちですね。サイ、見ない間に大きくなったなそれでこちらの方々は」


「久しぶりでやすマルク兄さん、こちらは、エルナをオークから救い我々の村まで救ってくださるというシュウの旦那とシオリ嬢でやす」


「それはありがとうございます、さっそくで悪いのですが現状を話させてもらいます」


「はじめまして柊と申します。僕達はエルフの村をオークから守りたいのです何か策はありますか」


「そうですね我々は二年前オーク達と戦い十五人いた仲間も戦いで失い今は九人でなんとかオークから逃げています。村を守るには、村に戻り私が村の結界を強め、その後他種族の力を借りオークを退けたいのですが、私らは、村に戻ることができなくて....」


「どうして村に戻れないのですか」


「村の結界は今やオークを退けるための力しかなく私らが戻ると匂いを辿られ村の位置が知られてしまう可能性があります」


それを聞いて彼女は青ざめていた。彼女はこの世界に飛ばされたときに村の位置を知っていてエルナを助けるためにそこに逃げ込んだのである。


もう知っての通りそのときにオークに場所が知られてしまった可能性は十分にある。震える彼女をなだめつつ、僕はそのことを伝えた。


「なんということだ。今すぐ村に向かわなくては、そちらの彼女、あまり気を落とさないであなたの行動がなければエルナは救えませんでしたから。もう迷う必要はない、我らで村を救いましょう」


その言葉を聞いたとしても彼女の後悔の念が薄まるとは思わないが今は仕方ない。


僕達はガントロ洞窟を後にし、村に戻ることにした。道中オークの足跡のようなものがあったり木々が倒れているのを目にし、これはもしやと思いつつも、その足を緩めず、村へ急ぐ。


村に着いた時はもう遅かったとしか、言いようがない有様だった。





エルフの森は守れなかった。この後どうなるのか

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