寝ぼけ
しかし横になってみたものの……、
(寝れねーーっ!!)
意識し過ぎて寝れない!! 昨日はのぼせて意識せずそのまま寝たから良かったものの、今日はそういう訳にはいかない!!
ドキドキして眠れないから可憐ちゃんの方を見たが寝息は聞こえてこない。
(寝てるか分かんないな……)
寝れないから反対側に向きスマホをしばらくいじっていると、後ろから寝息が聞こえてきた。振り向くと、彼女がすやすやと寝ている。
(全く、こっちは寝れないから困っているというのに、羨ましいなくそーっ!)
こんな感じでむしゃくしゃしていると、彼女の寝言が聞こえてくる。
「えへへ、お兄ちゃん……」
(寝言か……夢の中まで兄のことを思うとは、彼女はひょっとしてブラコンかな?)
眠れない序でに何を言うか面白そうだから気になって耳を澄まして聞いていると、
「……えへへ、ついに手に入れたよ……」
彼女は嬉しそうに言う。
(何を手に入れたんだ?)
「絶対逃さな……むにゃむにゃ」
これ以上の寝言はなかった。そして月明かりが窓際に拠った頃、僕も睡魔の世界へと入っていった。
そして朝になり一応起きたが、眠い……。寝不足だ……。そしてうとうとしながら彼女が寝た布団の方を見ると、もう既にいなかった。時間を見ると7:30を過ぎていた。一階に降りると廊下辺りから、味噌汁の良い匂いがしてくる。キッチンの方を見ると彼女は制服に着替えエプロンを着て鼻歌を歌いながら料理をしていた。
「おはよう……」
「あ、おはようございます♪」
「朝早いな……」
「早く起きるの慣れていますから」
「そう……なんだ……」
「何ですか? まだ眠たいんですか? もう少しでご飯出来ますから、机の方に行って下さいっ」
「うん……」
そしてうとうとしながら机の方に行って座った。朝ご飯を食べた。美味しいが眠たさが優先してあまり感動しない。
「美味しいですか?」
彼女はワクワクしながら訊いてくる。しかし、うん……旨いよ……と僕は返事をするのが精一杯だった。彼女は少し心配そうに、
「何ですか~っ、元気ありませんねーっ。大丈夫ですか?」
「大丈夫。ふあっ……、眠たいだけだから……」
「全くー、夜中まで起きてHな動画でも見てたんじゃないですかっ?」
彼女はむくれて言った。誰のせいだ……誰の……!?
そして制服に着替え、廊下に向かうが、彼女が僕を止める。
「そ、そんな頭で行くんですか?」
「どんな頭になってんだ?」
「寝癖凄いですよ?」
「歩くと自然に直る。心配するな……」
「いや、それにしてもひどすぎます。ちょっと洗面所に来て下さい」
「えーっ、大丈夫だよ……」
「駄目です! こっちに来て下さい」
半ば無理矢理洗面所に連れて行かれ、彼女は僕の髪を軽く濡らし、櫛でといてくれた。
「良いのに、別に……」
「いけません。身だしなみは大事です!」
そして一応それなりに収まったので、
「あ、ありがとう……」
「いえいえっ♪」
「さぁ、行くか……あっ」
「あ、危ない!」
僕は足が絡んでしまい躓いてしまって、彼女は僕の腰辺りをぎゅっと抱きしめたが、流石に体重差でこけてしまった。
「わっ!?」
「あたっ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「ゴメンゴメン、そっちこそ大丈夫か?」
「えぇ、私は幸せ過ぎ……いえ、普通に大丈夫です」
「寝ぼけて、足が絡まってしまった」
「全く、しっかりして下さいよ~っ!」
「ゴメンゴメン」
「えへへっ」
「それよりさ……」
「はい?」
「いつまでこの体勢なの?」
彼女はずっと僕に抱きついたままだった。胸が……柔らかい胸がムニッと腰に当たってる……。
「あぁ、済みません。助けるので夢中になりすぎて忘れてました」
「分かったから離れて」
「あ、はい……。分かりました」
彼女は少しショボンとして離れたが、僕は気にしないようにそのまま玄関へと向かい、そして僕達は家を出て学校へと一緒に行く。
「また一緒に行くのか?」
「今日は先輩がふらふら歩いているからそちらが心配で」
「うん……」
歩いていると足元がおぼつかないから、ついよろけてしまい彼女が支えてくれる。
「大丈夫ですか? もうしっかりして下さい!」
「ゴメンゴメン……」
しばらく彼女は静かにいたが、妙案を思いついたのか、あっと声を上げる。
「分かりました! こうしましょう!」
彼女は僕の片方の腕に自分の腕を絡ませて僕を支えた。
(おい、しかしこれって……)
「これはただの腕組みじゃないか!?」
「違いますー。先輩を支えてるんですーっ」
「分かった分かった! 目が覚めてきたから許してくれ!」
「駄目ですよ! 怪しいからクラスまで連れて行きますっ」
それは勘弁してくれーーっ!!
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