彼女と初めての同居生活
そして僕は廊下に行って急いで善文に電話をした……が、出ない。忙しいのかな?
「誰に電話かけているんですかっ?」
「わっ!」
後ろを振り向くと彼女がニヤリと笑いながら、僕の背後にいる。
「ベ、別に……?」
「また兄に頼ろうとしているんですかー? 駄目ですよーっ、そんなことしちゃ~っ」
「わ、分かっているよ」
僕はリビングに戻ると彼女も付いてくる。それにしても気になるな……。
そろそろ飯の時間か。外に食べに行くかと思い、僕は玄関へと向かう。
「? どこに行くんです?」
「ん? 食べに行くんだけど」
「まさか外食ですか!?」
「一人暮らしだし、そうだけど?」
「あまり外食ばかりだと塩分取り過ぎになりますよ?」
「そうかな?」
「分かりました。では私が料理を作りましょう!」
「え?」
彼女は腕まくりをして、ふんと鼻息をたてる。
「いや、しかし……」
「何ですか? 私の料理を食べるのが不服なんですか?」
「いやいや、そうじゃない。料理作るの大変だろう? それに君は監視役で来たんだからそこまでする必要ないだろ?」
「そうですね~いや、そんなことないですよ。先輩が家に居てくれた方が私は監視しやすいですし」
「そうなのか?」
「はい!」
こうして彼女はリビングに戻って行き、直ぐに僕の所に戻って来た。
「冷蔵庫の中が空じゃないですか!?」
「そりゃあ、料理作らないから……」
彼女はため息を吐き、
「分かりました。一緒に買い物へ行きましょう」
「え? 何で?」
「監視を兼ねて家で料理を作る為です」
そして仕方なく彼女と近くのスーパーに行って、買い物をした。今日はとりあえず無難なカレーになった。お互いの大丈夫な食べ物が何かまだ分かっていないのと、料理が早く出来るからだ。そして家に戻り、彼女は鼻唄を歌いながらキッチンで料理を始めた。僕の家はキッチン付ダイニングになっており、僕は監視目的で部屋でなくダイニングに居らされ、仕方なくスマホをいじる。
(とりあえず善文にラインを送っておくか)
そして漫画を読みながら待っていると、良い匂いがしてきた。
「良い匂いになって来たなー」
「ふふっ、ありがとうございます♪」
そして皿にカレールーとライスを乗っけて二人分の料理を机に置く。
美味しそうだ。
「あ~っ、腹減った。いただきま~す」
「いただきます」
そして口の中に入れると、豊潤なカレーの味が拡がる。野菜の出汁が出ているのだろうか。自然な甘さが口の中を喜ばす。
「美味しい!!」
「ふふっ、ありがとうございます♪」
「加藤家だといつもこんな美味しい料理を食べるのかい?」
「母には及びませんが、よく手伝っているのでこれくらいの料理ならいつでも作れますよ」
「凄いなぁ。美味しい美味しい」
直ぐに皿の中が空になり、おかわりした。
「あ~、お腹いっぱいだーっ」
「綺麗に召し上がり感謝です♪」
「いやいや、美味しかったから」
そして彼女は洗い物をした後、急いで洗面所へ向かう。
「やっぱりこんなに洗濯物を溜め込んで!」
「え?」
「家事が苦手と聞いていたから気になってたんです。やっぱりこんなになって!」
「溜めてから一気に洗濯する方が楽だから」
「洗濯は週に3回はしないと大変ですよ」
「しかし……」
「しかしもかかしもありません! 仕方ありませんね、私がしときます!」
「そう?」
「さっ。リビングに行った行った」
そして僕がリビングに向かって座るとハッと思い出す。
(僕のパンツも入ってるんだ!)
そして急いで洗面所へ向かうと、彼女はびくっとしながらこっちを向く。
「どうかしましたか?」
「いや、僕のパンツが入っているんだ。やっぱり僕が……」
彼女ははぁとため息をして、
「それくらい大丈夫です。兄ので見慣れていますから。お気遣い無用です」
行った行ったと手で彼女に払い除けられて僕はリビングへと戻る。しばらくして洗濯機の回す音が聞こえて来て、彼女はリビングに戻って来た。
「お疲れ様っ」
「全く。多過ぎです多過ぎ」
「済みません」
「まぁ、お陰で堪能……」
「え? 何て?」
「いえ、別に?」
そしてしばらくくつろいだ後、風呂に入ってゆったりしていると、突然風呂のドアが開く。
「失礼しま~す♪」
「え? え!?」
彼女がタオルを巻いてお風呂に入って来たのだ。
「ちょっと可憐ちゃん!? 流石にそれは……」
「何を恥ずかしがっているんですか? 子供の頃一緒に入ったことあるのに♪」
「それは子供の頃の話でっ!」
そして彼女は湯船の中を見て、
「可愛い♪」
ニヤけながら言った。
(何がだよ!?)
そして、じゃーんとタオルを外した。
「わーーーーーっ!! え??」
彼女は水着を着用していたのだ。
「何を期待してたんですか先輩?」
ニヤニヤしながら僕の方を見る。いや、別に期待なんかしてないけどね? 期待なんかして……期待なんか……。水着姿でも十分エロいな!?
「何で風呂に入って来たんだよ!?」
「先輩が何か良からぬことをしないか監視です」
「すっぽんぽんの状態で何をするんだ!?」
ふむと彼女は考えながら、確かにと答えた。
(先行き不安だ……)
「まぁ、確かにそうなんで、一緒に風呂へ入るのは時々にしますね」
まだ一緒に入るのか!?
そしてそこで彼女と一緒に入るものだから気を使いすぎて僕は軽くのぼせた。
彼女に拭いてもらい、リビングまでふらふらになりながら行き横になる。
(エアコン、涼しい……)
そして僕はそのまま暗闇の中へ向かって行った。
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