反逆
=数か月後:愛知=
「はぁ、のどが渇いた」
俺は、久しぶりに外に出ていた。外はもう夏ですっかり暑くなっていた。俺はどうやら全国指名手配犯になったらしい。ということは街に下りてきたときに気付いた。というのも俺は、ずっと山奥で独りでいた。クマやらシカやらに襲われたが、倒してしまった。俺は、俺は死ねない。俺は自分の能力を誤解していたのかもしれない。俺の能力は、
「おい、あいつ、桐一葉じゃねぇか?」
「そうだな、早く捕まえようぜ」
めんどくさいことになった。俺は逃げようとした。しかし、影から何かが現れ、俺の足首をつかんだ。そいつは忍者のような恰好をしていた。
「ようやくしっぽを出したか」
「誰だ・・・お前は」
「今は名乗る必要はない。少し付き合ってもらおうか」
「断る」
そういって、振り払おうとしたが、影が自分に巻き付いていてどうにもならずに、俺は影に飲み込まれた。そして、気づいたら、周りには偉そうな人たちがたくさんいた。
=数時間後:某所=
そこには、FATEやあのFATEともにいた男もいた。そして俺を捕まえたやつもいた。
「ようやくお目覚めか。」
「誰だ、てめぇら。」
「言葉遣いがなってないですね。我々はあなたの上司に当たる人間です。あ、申し遅れました、わたくし、ZEUSと申します」
「ZEUS・・・。ああ、俺を無理やり日本防衛軍に入れたやつか。そんなかしこまった言い方してもきめぇだけだぞ」
「おい、ZEUS様になんてこと言いやがる」
「まあまあ、構いませんよ、NEXUS。」
ゼウスといえば、全知全能の神。本当にそれだけの能力があるのならとても勝てない。と思う。
「それで、俺をどうするつもりだ」
「ここにいる者たち全員と戦ってもらおうか。WHOLE」
「断る。」
「なぜだ。」
「俺が勝てることは決まっているからだ」
「けっ。よく言うぜ。」
「てめぇは自分の能力を過信しすぎだぞ」
「なんとでも言え」
「まあ、NEXUS、FATE、相手をしなさい」
「・・・はい。」
「お任せください」
俺は、戦うなんて言ってないし、戦う気もない。
「ホントに、戦意がないんだねぇ。まぁ、戦わないのなら、お前の大事な人を殺すだけだ。」
「出来っこねぇだろ。表向きは警察なんだから。」
「いいや、できる。警察だから」
「ああ、そういうことか。なら、俺も本気で行かないといけないということか。」
冤罪、隠蔽、国家権力。ああ、考えるだけで怒りがわいてくる。
「そういうことだ。さっさと準備しn・・・」
俺は地をけりNEXUSの顔面に一発けりを入れた。そして祈りに入った。
(誰も死なない。俺の大事なものは誰も死なない)
「な、なかなか、いい蹴りでしたね。FATE、私の強化を」
「わかったわ」
そういって、祈りに入っていった。
「悪いが眠ってくれ」
はっと、顔を上げたがそこには以前会った時のような余裕はなかった。
「お前を解放してやる。だから、だから、眠ってくれ」
そういって俺は、彼女の首に手刀を打ち込んだ。彼女は抵抗することなくそのまま倒れた。
「さあ、これで一対一だ。ここにいるということはそれなりに強いんだよな?」
「あ、ああ。見せてやるよ。俺の本気を。これでもくらえ」
そういって石を投げてきた。正確には碁石だった。
「震えて眠れ」
そういって、奴は手を握った。すると、碁石のようなものから光の矢が飛び出してきた。
「は、はは。ざまあみろ。これでは立ち上がれまい。」
「気をつけろ。まだ来るかもしれない」
=同時刻:同所=
私は、薄目で戦いの光景を見ていた。それを見ながら私はずっと考えていた。なんで私は自分の能力を使いこなせないんだろう。何のために警察のトップになったのか。何のために父親を犠牲にして戦ってたんだろう、と。
いろいろ考えていると、桐なんたらがいた場所から光の矢が放たれた。それは、NEXUSが碁石から放ったものと同じだった。
「な、なんで。なんで、なんで、なんでお前は、立っていられる!!うぐっ」
「しゃべるな。傷が痛むぞ。ここを破壊する。」
「総員、WHOLEを止めなさい。」
「知ってるか?歴史は繰り返すんだぜ」
「何を言って、」
そういって、彼は一瞬で分身した。
「しゃべんな。かかれ」
勝負は、かなり一方的なものになっていた。ZEUS様以外は分身にすら勝つことすらままならない状態になっていた。分身は本体より弱くなるから。そのZEUS様はというと、本体であろうWHOLEと戦っていた。
「ふん。口ほどにもないな。さっきまでの威勢はどうした」
「まさかこれだけだと、思ってるのか。」
「お前を倒せばいいだけだ。死ね」
そういって、目を大きく開いた。目の黒目が赤く怪しく光る。
「の、能力が使えない・・・」
「消え失せろ、サンダー」
「あがががががががががが」
「雑魚が。本体がこれなら分身も大したことなかろう」
私の位置からは見えていたのだが、一人刀のようなものをもって天井付近まで跳んでいるWHOLEがいた。なんか説明がしづらいのだが、上からハヤブサのように突っ込んでいる。
「俺が雑魚だって?」
「な、本体を倒したはずじゃ」
「死ぬのはそっちだ、ZEUS!!」
「く、SHADOW!!なぜ、いないn」
「閃光・光の刃」
そして、あたりは激しい光に包まれて、私は気を失った。
=同時刻:同所=
俺は、誰も殺していない。気絶させただけ。取り敢えず、あいつのもとに行こう。
「FATE、後始末を任せた。」
そう言い残して、俺は窓から飛び立った。どうやら東京にいたらしい。東京スカイツリーがあった。
そして、30分ほどで名古屋に着いた。新幹線よりも断然早いな。俺は、すっかり暮れてしまった名古屋の街を歩いていた。そして、自警団とかかれた看板の前に立った。そしてその扉を開けた。
「おーい。和真?いるかー?」
「誰?お前。」
「そういうのは名乗ってからいうもんじゃないか?」
「あっそ。僕は零度。和真さんなら神田家にいるよ。護衛だとかなんとか」
「おお、有難う。」
「まって。名前は?」
「WHOLE、反逆者になりうるものだ」
そういって、俺は神田家に向かった。
神田家の真上ぐらいに着いた頃に、違和を感じた。今まで、感じたことのあるようなないような気配だ。取り敢えず俺は、光の刀を作った。そして、突っ込んだ。その気配を放つ者に。そいつは、こちらに気付いたのか、真剣で応戦してきた。圧倒的な力の前に俺はバランスを崩した。その時俺は死を感じた。
「お帰り。久しぶりだね」
その言葉に、安堵し地面に突っ込んだ。
「ああ。ただいま、和真。そして、青海」
「もう。遅いわよ。さ、和真君も一緒にご飯食べましょ」
「え、いいんすか?ごちそうになって?」
「いいわよ。」
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同時刻:京都
わしらは、この数か月間で、近畿、中国・四国の全ての府県を堕として、関西軍ちゅう風に名乗った。ほんで今、九州軍と手ぇ組むように向かってる。次は、東海を目指す。
「おい、檸檬。」
「なんや」
「日本防衛軍が負けたで。」
「は?誰にや?」
「WHOLEっちゅう日本防衛軍の一員に」
「たった一人に負けたんか。よええなあ」
「それがそうでもあらへんねん。そのWHOLEっちゅう男はアバターの能力を使えるらしいで」
「ほぉ。それは、面白うなりそうやな」