運命
=数時間後:名古屋=
俺は和真の場所へと向かっていた。
「やあ、和真」
「もう帰ってきたんかい。どうだった?」
「京都は堕ちたよ」
「知ってるわ!!聞きたいことはそうじゃなくて、なんでそんなに早く堕ちたのかだよ」
「警察よりも強い能力者が警察に恨みを持っていて、一瞬で片づけてしまった」
「お前よりは」
「圧倒的に弱かった。でも、かなり厄介そうな能力だった」
「どんな?」
「あ~、空間系だと思う」
「空間系?」
「空間を捻じ曲げる能力だと思うが」
「そうか~。あ、そうだ。全国的に自警団っているじゃん?」
「お、おう。ずいぶん急な話題転換だな」
「悪いか?まあ、聞いて」
「わかった」
「どうやら各地で警察とぶつかっとるらしいんだわ。警察が嫌ってるっぽくてな」
「そうなのか」
「ああ。それでなあちこちで襲撃を受けたりと色々されてて、された側が仕返しをしようと企てとるらしいんだわ」
「はあ」
「それがな、場所が関西、四国、中国、九州と西のほうに集中しててな、自警団が勝ったら戦争が起こりそうなんだよ」
「だからなんなんさ」
「とめてきてくんね?」
「は?」
本当に何を言ってるんだろうこいつは。
「あのな、京都はあまり強い能力者がいなかったからすぐに落ちたが全部が全部弱いわけないだろ?それに京都のことがあったばかりだすぐに対策が取られるさ」
「・・・そうとも言い切れない」
「へ?」
「今、京都のことがあってから、各地で似たような行動が多発している」
「まて、まだ、数時間しか経ってないぞ?」
「ああ。フィストと多分同じ考えなんだろうけど」
信じられなかった。わずか数時間でここまで大ごとになるとは。そうこう考えていると外が騒がしいことに気付いた。俺は急いで外に向かったのだがそこには、同じ見た目、同じ顔、同じ体つきをした人間が道をふさいで、どこかに向かっていた。
「なんだ、あいつ」
「知らないのか?奴は“アバター”と名乗る男だ。ネット界隈で最強と名乗ってるらしいぜ」
「アバター、分身か」
「そういうことだ。でもあの方向に進んでるってことは」
「県警か」
「だろうな」
そして、スマホに一通のメールが来た。
≪一葉、あなたにコードネームを与えます。WHOLEあなたのコードネームです。あなたは
今から日本防衛軍です。あなたに拒否権はありません。
WHOLE、どんな手を使ってでも、県警を死守しなさい。
日本防衛軍総司令官CN[ZEUS]≫
「誰からだ?」
「日本防衛軍、聞いたことはある。しかし、あまりに発足が早すぎた。元から作る予定だったかのように」
「まじかー。やんなきゃやべーじゃん」
「自警団、お前らの力借りていいか?」
「あたぼうよ」
「サンキュー、じゃ、さっさと片づけますか」
俺は、アバターという男たちの前に立ちふさがった。
「俺はWHOLE、日本防衛軍の者だ。」
「それがどうした、数が正義、単騎で俺を倒せるはずねえだろ」
「今すぐとまれ、言うことを聞かないのであれば、こちらも相応の対処をさせてもらおう」
俺は不服ながらもこの仕事に就いた。流石に世界を敵に回したくはなかった。しかしまあ、どうやって俺の能力を知ったんだろうか。
「ふん。ごちゃごちゃうるさい。」
そういって奴は、一気にスピードを上げ突っ込んできた。
「はあ、自警団。十秒時間を稼いでくれ」
「十秒でいいんだな?任せろ」
自警団とアバターが衝突し交戦が始まった。俺はその間、両腕に脂肪を回し筋肉に変えていた。そこに、オーラをまとわせ、地面を強くけった。
「な、なんだ!?」
俺は最前列にいたやつのみぞおちに一発こぶしを入れた。
「ぐぼわっ」
そいつは血を吐いた。
「バスター」
そう呟いた瞬間、大きな太い光線が奴らを貫いた。
=愛知県警・指令室=
光が消えた後、まるで何事もなかったかのように、街に変化はなく、アバターっという男だけが倒れていた。いや、桐なんたらも倒れていた。腕がひどく腫れている。攻撃の直前に肥大化させていたけど、色味が違う。とても赤い。このままほっとくとあおじになりそうだわ。
コンコンコン
「どうぞ」
「失礼します、FATE様。先ほど、防衛軍から連絡が入り、桐一葉を防衛軍に入れたとのことです。」
「コードネームは?」
「はい。WHOLEだそうです。」
「そう。NEXUS、あなたは彼のことどう思う」
「とても信じられないような強さです。それに、何の関連性もない能力を複数持っていることから、とても良い戦力になるのではないでしょうか」
「私もそう思うわ。でも、彼は何かを企んでいるように思うの。あまりにも感情を隠しているから、怪しいと思ってるの」
「しかし、今はとても重要な戦力になります。そして、謀反を起こしてからでも遅くはないでしょう」
「そうね。考えすぎてたわ。ZEUS様から何か指令はきてない?」
「え~、はい。きていますね。愛知県警に“神田樹里”を捕らえろとの指令が」
「その人は何をしたの?」
「何もしておりません。しかし、能力が戦闘向きではないのに、恐ろしく危険な能力を持っているからだそうです」
「家族構成は?」
「両親は他界、姉と二人で生活しています」
「姉?そっちは?」
「はい。神田青海さん、17歳で、能力者です。能力は“適応”で、どんな環境にも適応することができます。あ、樹里さんのほうは10歳で、能力は“樹海”で、自分で能力をまだ操ることができないと判断されたためだそうです」
「そうなのね。編成はどうするの?」
コンコンコン
「誰かしら?どうぞ」
「失礼します」
「WHOLE君だっけ?見てたわよ。恐ろしい能力ね」
「そうですか?俺的には結構使い勝手が悪いんですけど」
「そう。あら?あなた両腕怪我してなかった?」
「治しました。能力で」
「え?なんなのあなたの能力は?」
「俺に言う義務はないですよね?なので言いません」
「あらそう。そうだ。あなた今日私についてきてくれない?」
「別にいいですが。何をするんですか?」
「NEXUS、教えてあげて」
「はい。今日夜中に神田樹里という少女を捕らえに行きます。それに付き合っていただきたいのですが」
「え、あ、はい。別にいいですよ。防衛軍の指令ですよね?」
「ええ、まあそうね」
「あ、でも今日か・・・もう俺疲れたんで、やっぱやめていいですか?」
「え?だめよ」
「いやいや、待ってくださいよ。朝京都まで行って、さっきアバターとかいうやつと戦って、今夜捕らえに行くんですよね?労働基準どうなってんすか?」
「関係ないわそんなもの。いいから来なさい」
「いやです。俺は寝たいです。」
「いいから、来なさい」
「絶対に行きません。」
「ごちゃごちゃ言ってなくていいから」
「行かねぇっつってんだろ!?」
「え、」
「俺は行きません。絶対に。帰ります」
「あ、そ、そう。さようなら」
彼が出て行ったあと。
「NEXUS、奴も捕らえなさい」
「よろしいんですか?」
「ええ。いいですか、ZEUS様?」
ピコン
「いいですって」
「わかりました。先にWHOLE、次に神田樹里で行きます。」
「任せたわ」
「行ってまいります。」
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同時刻:京都府
京都府警を全て落として、京都の支配権を得た。それから数時間で大阪の自警団やらいうやつから、協力の要請来た。おんなじことを考えてるらしおす。ほんで立て続けに、和歌山、滋賀、奈良、兵庫の各県の自警団からの要請来た。わしは、大阪の自警団に
≪明日向かう≫
と返事をした。他県は一日ずつずらして行くと返事を返した。
「あんたら、京都の駐屯軍と大阪に行く、援護軍に分ける。ああ、そうや。京都の自警団との連携決まったさかいよろしゅうな」
わしは、フィストのメンバー全員を集めて、そう伝えた。ほんで、駐屯軍と援護軍を分けた。
「アバター、わしの分身を作りなはれ」
「はいはい。そういえば、愛知に送ったぱちもんのわしの軍団がたった一人に負けたらしおすわ」
「ほんまかいな。一体誰や」
「WHOLEとかいうやっちゃな」
わしは心底驚いた。たった一人で、あの量、ざっと100人はいたであろうアバターを瞬殺するとは。
「いつか、愛知にも攻め込むで」
「かりはきっちり返さな気済まねえし」
そしてわしは、二人に増えた。
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数時間後:愛知
「い、いない。一体どこに逃げたんだ」
すぐ近くで、あの男の声がする。俺は街で警察にあった。そしたら追いかけられる。意味が分からない。取り敢えず、茶臼山まで逃げ込んだ。
「いたぞ!覚悟しろ桐一葉」
「は、ははは。」
俺は乾いた笑いをした。そして、なるべく冷静に努めて、
「お前は、俺にかなうと思っているのか?」
「一人では無理だが、お前はもう囲まれているからな。」
「それは違うぜ。」
俺は、ぶっ倒したアバターから聞いた方法で自分を増やしていた。
「何を言っている。強がりか。数はこっちのほうが圧倒的に多いんだ。」
「それが間違いだっつってんだろ」
「は?」
「見せてやろう」
俺は、忍者のようなポーズを取り、自分に触れた。俺の影から何かが、自分が出てくる。
「は、お、おい。後ろを見ろ」
「な、なんて数だ」
「ざっと1000はいるが?それでもなお、俺にたてつくというのか?」
「っく。か、かかれ!」
「俺は、攻撃する気はない」
そういって、俺はほかの奴に紛れて逃げた。
「全員を攻撃しろ!一定のダメージを受けると消えるからな!」
「お、応!」
俺は、一番に下山した。しかしそこには。
「わかってたわよ。ここに来ることは。私は、雪野ジュリー。CNはFATE」
「FATE、運命か。お前は俺をどうする気なんだ」
「とらえる。力づくでも」
「そうか。じゃあ、俺は抵抗する。運命にも抗おう」
俺は、そういって。指から木を生やした。
「WHOLE、すべて。どういう意味での全てかはわからないけど、私には勝てないわ。」
「だといいいな」
そういって、指をFATEにむけて振った。しかし、何かわからないものにはじかれた。
「そういうことか。もう俺はどうなっても知らないからな。」
そういって俺は分身に攻撃の指令を下した。山のほうから、悲鳴が聞こえる。使い方を聞けと指令を出した。
「これで一対一だな。」
役目を終えた、分身たちが俺の影へと戻ってくる。覚えてきた能力を見ていた。
「お前の負けだ。召喚:雪野正弘」
俺は手を合わせて、ゆっくりと開いて、地面に手を付けた。すると、魔法陣ができ、そこから雪野正弘が現れた。
「能力解除」
「ぐ、うぅ」
俺は、彼の能力を解除した。
「え、う、嘘でしょ・・・」
「親父さんがいないと、何もできないんだろ?」
「そんなことはないわ」
そういって、彼女は何かに祈りをささげるようなポーズをとった。俺は、躊躇することなく、木を振るった。しかし、また何かにはじかれた。
「私は、最強だもの!負けるはずはない。」
運命を操ってるのか。俺が負ける運命かな。
「そうか。」
俺も、祈るようなポーズを取り、俺は祈った、俺が負けないようにと。
「何?私の真似をしてるの?」
「ああ、運命を変えた。じゃあな。」
そういって、俺は逃げた。それから俺は、数か月間、隠れ続けた。