三
そうこう思案しているうちに、また街のほうから轟音が聞こえてきた。
「めんどくせぇな。誰か治めてくれるやつはいないのか?」
「いないだろうな。恐らく警察も役に立たん」
「けっ。このままほっとくわけにもいかんしな」
「何が何だかわからんが、いくべきなんじゃないか?最強くん」
「俺は最強じゃねえ」
俺たちは急いでその現場に向かった・・・のだが。
「あらあら、その程度なのね」
「ぐ、うぅ」
「あが」
そこには一人の少女と先ほどまで暴れていたであろう二人の能力者らしき男がいた。
少女のほうにけがはなく、というか、確実にその少女が二人をボコったのであろう。男たちが地面に倒れこんでいた。
「て、てめ・・・なにもんだ・・・」
「私?私はね、ジュリー。雪野ジュリー。」
「おい!何をしている!」
どうやら警察の到着らしい。
「何を・・・そこのお二人が暴れていて危険と判断したので止めに入りました」
「は?貴女が?この二人を?一人で?」
「ええ」
警察を見てみると片方はとても筋肉質・・・おそらく無能力者、そしてもう片方は能力者。
これで俺の頭の中の突っかかりは解けた。
「今のうちに逃げるぜ」
「あ、待ちなさい」
先ほど喋っていたほうの能力者が逃げ出そうとしていた。
「おい、田中。」
「へ、へい?」
「お前の能力どうやって使うんだ?」
「ああ、体の先端に力を籠めるだけだ」
「おお、簡単」
俺は指先に力を入れた。そしたら、木らしきものに変わった。
そのまま俺はさらに力を籠めて逃げ出したやつの足をからめとった。そのまま上空に引き上げ拘束した。
「く、くそう」
「ご協力感謝します。もしよろしければ、治安維持のために我々に入りませんか?」
「いえ、結構です。自分よりも、こいつのほうがいいと思いますよ」
「は?お、おれ?」
「頑張れよ田中ww」
和真も笑っている。
「俺でよければやらせてください。俺は指先から木を生やせます」
「制圧力があるのでぜひ」
そして、田中は警察に入ることになり、暴れていた男たちは連れていかれていた。様子を見ている感じ、どうやらジュリーとやらも警察に入るらしい。
そのとき携帯に通知が来た。Yabooからで、どうやら国連が能力者・無能力者に関する国際条約を出したらしい。そして、それを全ての国が批准したらしい。
俺はそれを見て違和感を覚えた。
能力というものができたのが小一時間程度しか経っていないのに条約が作られ、全世界が批准した。まるで、これが起こることを予測していたかのように。
(これには確実に裏がある)
俺はそう思ってすぐにTweeterに投稿した。
≪名古屋で喧嘩があったんだが、なんかすぐに国連の条約に批准やらなんやらのニュースがあって何か裏があるんじゃないかと思った。2020/2/31/17:38≫
と。
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2020/2/31/17:38:京都
「はあ。なるほどね。」
わしん名前は檸檬や。高校生やけど今回ののこの能力の事件について調べてる。Tweeterを見とったら名古屋で暴動起こったらしおすな。ほかにもぎょうさんあるんやが、それだけが目に入った。なんでなら、同志を発見したさかいだ。
「いつか、会うてみたいな」
「檸檬、何してんねん?」
「いや、Tweeter見とっただけやで。」
「そうか。そういえば警察来たで。」
「あん?警察やと?」
わしは警察がえらい好かん。交通事故で親を轢き殺した犯人を捕まえへんかった。責任能力があらへんやらなんとか。
「それで、ここってスラムみたいな場所やん。ここに能力者がいーひんかを探しに来たらしおす。まあ、追う払うたけど」
「なら結構。絶対わしは警察には従わんし頼る気はあらへん」
「私もやで。檸檬、うちらで」
「ああ、頼むで相棒。麗愛」
「まかせろ」
わしが住んでるとこは孤児院から抜け出してきたような愚図の集まりが住んでるような場や。やけど、みんな優しい。たまに現れるホームレスのおっちゃんも優しい。せやけど、ここにおる奴ら全員に共通してることがある。そら警察になんかうらみがあるってことだ。
ほんで、わしがこのスラム的な場所のリーダーや。
「全員を広場に集めろ。」
「はいはい」
=全員が集まった広場=
「やあ。今こそ、警察に太刀打ちする千載一遇のチャンスや。今週中に能力を持つものも持たへんものも体を鍛えて、警察をぶっ潰すで」
「ぶっ潰してどないすんの?」
「わしらが警察に変わる組織になる」
「勝てる算段はあるんか?」
「大いにある。奴らよりも先にわしらが強なればできる。そやさかい、来週には府警を攻めるで」
ざわつく広場。そらそうや、いきなりそんなん言われたらこうなるのんは必然やろう。やけど、わしは決行する。
「あんたら、行くで!!覚悟を決めろ!!」
「「「「「応!!」」」」」
全員の意志を一つにすることができた。
「わしらは今日から、フィストや」
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2020/2/31/18:00:愛知県警
私はジュリー。能力は多分、奇跡。願ったことが全てかなうようになったからね。
そして私は今、警察のトップの前にいる。名前は、雪野正弘。私の父親だ。
「ジュリー。警察になりたいのかい?」
私の答えはもう初めから
「ええ。絶対になるわ」
そして、その座に就くわ。
「俺はな、お前には警察の頂点に立つ実力があると思っている。」
「そうかしら?」
「ああ。特にお前の能力なら、簡単だろ?」
「確かにそうかもしれないわね。ねぇ、あなたはなんの能力を授かったの?」
「俺は、護る能力を」
「そう。」
なら、役に立ちそうね。
久しぶり