能力
「っぶねぇ!」
「なんだてめぇ」
俺は襲いかかってきたやつに問う。
「俺は、田中太郎。よくわからないが、植物を生やして戦えるようになった」
「そうなんだ。じゃあ、俺には勝てないな」
「は?俺のが強えに決まってんじゃん」
俺は頭の中で思考を巡らす。
(恐らく俺の与えられた能力は、物体変化。もしくは、状態変化。だが髪に着火したことを考えると、物体変化のほうが正しそうだな…どうやって火を点ける?)
そうこう考えているうちに、枝らしきものが目前に迫った。
(これだ!)
俺は枝を掴んだ。
「和真、離れろ」
「一葉お前は大丈夫なのか?」
「見ておけ、これが俺の考えた技」
「放せ!」
「フリクションバーン!」
俺は手を奥から手前になるべく速く引いた。想像通り火が点いた。
「あ、熱い!熱い!」
木の男、田中太郎はあまりの熱さに狼狽えている。
俺は手を振った。想像通り水が出た。
「さーてと、なんで襲ってきたのか聞かないとなぁ」
「ヒィっ!ゴメンナサイゴメンナサイ、月が散り散りになってから能力がついたから試したくなったんです。俺の能力が一番強いと思ったから」
(人は力を持つとこうなってしまうのか…)
「で、でも、貴方の能力は強すぎます」
「は?どこがだよ」
「その複合的能力がです」
思い返してみれば火と水が使えた。この男の言う通り、複合的能力になるのか。ということは他にも別の能力があるのではないか?
(それはそうと、一体何が起こっているんだ?)