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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
一章 『御影』と『鳥居』
7/63

〘天女〙

〘天女〙。


イメージでは透き通った羽衣とか目に毒なくらいの美貌と容姿を構えるというのが恤にはあった。


だがしかし、この資料を見る限り想像がつかなかった。写真がない為、恤の拙い想像力で書いた絵も信用ならない。だって、こんな不気味なものがいるなんて信じられないから。


「︹天女︺と言っても名前だけがまともなんだよ。

名称は多分、その価値からつけられたんだと思う。

実際、見てみたらおぞましいったらない。

とにかく、今回の仕事は

その得体のしれない何かの目を奪うことだ」


 「目には、何か、あるの?」


 「資料の通り。︹天女︺は人間じゃない。化け物なんだよ」


 その目はすべてを予知する水晶の瞳。

 その鼻はどんなものでも掻ぎ分けられる。

 その髪はどんな宝石よりも価値があり、数億はくだらないほどの美しい髪。

 その声は人々を惑わす歌を歌う。

 その皮膚は鉱石よりも固く、肌触りが良い。

 その手は万物をいのままに操れる。

 その足は誰よりも早く移動できる。

 その血はあらゆる病を治す。

 その心臓は不死を与える。


 (嘘っぽい……………でも、本当なら。すごい)


 恤は資料を見ながら感心しつつも、恐怖を感じる。こんなものを持っていたのなら、誰にでも襲われるし奪われる。


体中のすべてが財宝で、四六時中命を狙われるのだ。その恐怖は計り知れない。それに、矛盾しているものだってある。


所詮は噂なのだろうか。


 「嘘みたいに感じるけど、本当のことなんだよ恤。だからこそ、俺達が頼まれたんだから」


 「でも、なんで、目なの?心臓、獲っちゃえば……全部手に入るんじゃないの?そもそもいつからいるの?誰にも他のパーツは撮られてないの?」


 「あー、一気に質問は辞めてくれ恤。一個ずつ答えるから」


 「あ。ごめん、なさい………」 


 謝られた。


 (いや、謝られても…………)


 資料から目を思わず離し、恤と目があった。すぐにそらしてしまったが。


 「…………色々話してないからね『再開発』は。目じゃなきゃいけないのは戦争に役に立つから。金とか今で十分みたいだしね。それと︺天女︹は心臓獲ったくらいじゃ死なないんだよ」


 「不死身、なの?」


 「少し違うね。死ぬのは死ぬ。けど、条件があるんだよ。全身の血が全て抜けたら死ぬんだって」


 「血……………人の体に流れる血の量は体重1kgあたり、80mlだったはず………」 


 学校の保健で習ったの、と恤は付け加えた。御坂は感心しつつ、記憶を掘り起こす。


 「よく覚えているね。︹天女︺の体重は…………380って言ってたな」


 「!?」


 恤がものすごい勢いで御坂の方を見た。目が見開いてて、よほど驚いたようだ。


(380✕80……………………………………………………30,400!!すごい、けど…………そんな化け物、ホントにいる、の?)


 こんな反応を見たのは御坂にとっては初めてなので戸惑いつつも聞いた。


 「…………………どうした、恤?そんなオーバーリアクション初めて見た」


 「あの、えと………〘天女〙って化け物だって言ってたよね?なら、大きさというか………身長とかわかるんですか?」


 御坂は少し悩んで、言葉を濁しつつ恤の目を見ていった。


 「口で表現するのは難しいよ。それに党首から絶対に言うなと、それに見たほうが早いと思うし………………でも、恤」


 これは御坂の同僚や先輩が必ず〘天女〙を見た時行った言葉だ。御坂が前回見たときは危なかった。気分が悪くなって、吐きそうにもなった。だからこそアドバイスだ。



 「理解し得ないものは理解しなくていいんだよ」



 この言葉の意味を、恤はまだ知らない。


ただし、御坂は知っている。


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