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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
五章 御坂と恤
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ホントノココロ

「君は『鳥居』だよね。『御影』は一緒じゃないの?」

「『御影』さんは怪我して動けないです。だから一人で来たのです」


 ああさっきの爆発か、とボソリとつぶやき意識は一瞬で『鳥居』から逸れた。


(そういえば……『冥土』さんの話は聞いたことがあっても実際に会うのは初めてです。見た目もですけど………雰囲気が御坂さんに似てるです。あれっ…でも御坂さんから聞く『冥土』さんの性格とかはあまり似て……ない、です?)


 そういうところはやはり姉ということなのか。

 『逢瀬』と刀願邇亜は全くの別人と捉えるように、『冥土』と薙灘黄泉は違うと考えていいだろう。


『御影』とともに居る『逢瀬』は甘えん坊で恋人みたいだった。恤といる邇亜はお姉ちゃんでヒーローのように思えた。


 ならば『冥土』はどうなのだろう?


 今度、御坂に聞いてみることにする。思いを胸にとどめ、任務を遂行することにする。おそらく、『冥土』さんはここの奥にいる人たちを殺しに来たはずだ。だが突入する気配がない。鍵は壊されているようだし、単純に押す扉で力が足りないとか?は馬鹿にしすぎか。


「あの…」

「黙って」

「はい………」


 数分後、何を思ったのか『冥土』は蝋燭を消した。そして、耳を塞ぎこちらへ目配せしてきた。何となく、刀を持ったまま真似した。


 途端、号圧な扉の隙間から閃光が溢れた。耳をふさいでいても分かる、耳を指すような高音波。反射的に目を瞑るが、手に持つ刀は絶対に離さない。同時に、目の前の『冥土』が走り出していく姿が霞む視界に写った。白光に隠れて、中のターゲットを打つというということらしい。

『鳥居』もそれに続く。


「何だ!?」「侵入者だ!」「護衛は何をしてるんだ!」


 混乱に常時、ターゲットを殺し切る。白に塗れまぼやけた視界の中、始めこそ感覚で刀を振っていた。危険だが、体の輪郭は見える。的確に首を狙い、心臓を一指しにと淡々と殺す。


 ここは地下室。壁の材質なだけにターゲット達の悲鳴や怨嗟がよく響き、耳に障る。『鳥居』の苦手なあの声だ。


(……気にしてる暇ないです。だって、『御影』さんの代わりにここで立って、戦ってるんですから…………っ!!)


 もう覚悟は決まっているのだ。迷いは、ない。

 この時の『鳥居』はそう思っていた。


 

 光が徐々に薄まっていく中、『鳥居』と『御影』の本来のターゲットの姿を目視した。混乱する地下空間の端っこに、頭から学ランの上着をもう一人と共にかぶり、抱き合うように居た。


 すぐに向かおうと足を運ぶも、不意に思う。『冥土』は無事なのだろうか?


 別に舐めているわけではなく、任務のことが気になったのだ。今回の任務、篠崎財閥の壊滅、血筋全員殺人とハードなもの。護衛+で地下室に集まるターゲットは計り知れない。『鳥居』が結構な数を殺っても半数以上残っていた。ひいては『冥土』は弓使いで、効率が悪い。


 加勢したほうがいいのかと振り向くと、頬を弓矢がかすれた。そして『鳥居』の背後の敵を射抜いたのだ。


「……………すご、いです」


 『冥土』は群青の髪をなびかせ、空気を薙ぐ。

 飛躍することで銃撃や体術を靭やかに交わし、空中で弓矢を射る。

 空中でも安定し、脳髄に貫通させる百発百中の腕。逃げ躱すように見えて、減る弓矢を素早く回収し射る。

 その単純作業の繰り返しのハズが、見ていて飽きないし何より美麗な舞のようだった。華麗に切れのよい、見惚れるほどの。



 ハッとして、自らの頬を捻り、気を持ち直す。


 自分の責務を全うするべく、篠崎幸太郎と誰かへと近づいていく。刀の射程距離内に入る直前に、『鳥居』に気がついた。


 『鳥居』を見つめる瞳には戸惑いと恐怖が植え付けられていたが確かな強い意志を感じた。裏社会に通じる会長の息子と聞いた時、もっと傲慢で自尊心が強いんだと予想していた。


 だが、実物は曇りなき瞳で誰かを守ろうと強く意思をもつ温厚な人物のように見えた。


 守ろうとしているのはーーーーー隣で肩を震わせる篠崎幸太郎の妹だ。『鳥居』と相対し、妹をかばうように両手を広げている。震えて、いるのに。怖いはずなのに。


「…………………っ」


 ゆら、    ゆら、   ふら、 ふら。


 揺 らぐ、揺  らいだ、心が  、脳 が。


 ズキ  ン ズキン、どく んどく  ん、ガンガン。


 締  め  つけ、握ら れ、叩 れる。


 扉が、    箱が、     開いた。

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