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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
五章 御坂と恤
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巣立ち

 繊細な金の装飾が施された白の壁と真っ赤なカーペット。高級感溢れる屋敷の廊下は障害絶対に歩くことはないと思っていた。思わぬ形であるとはいえ、『鳥居』の目を引いてしまう。


(この花瓶何円くらいするのです?それにこの絵も………海外の有名な画家が書いたもの……なんか見たことあるタッチです。すごい、です…………)


 それでも任務は忘れぬよう、先程『再開発』と連絡を取り居場所を教えてもらった。どうやら護衛の数名と、一族全員地下の隠しシェルターに籠城しているとのこと。助っ人である『幽冥』『冥土』が出口を塞いだのだろう。あとは追い詰めるのみである。


 廊下を進み、食堂へ入る。

 縦長の机には、蝋燭が建てられテーブルクロスの上にお洒落に並べられた食器が配置されている。その奥の中心、白のレンガで作られた暖炉の前へと立つ。

 しゃがみ、暖炉の一つ一つのレンガを押しながら違和感がないか調べる。すると一つだけ、緩みのある入れとじができるものがあった。


「ありました、『再開発』さん」

『押してみてご覧』


小さく頷き、押して見る。すると自動ドアのように一般的な大人一人分の高さの道が現れる。階段状になっており、先は真っ暗。どこまで続いているのかは不明だ。


 『鳥居』は唾を飲み、刀を構え暗闇を進むことにする。


(正直に言えば暗いところは嫌いです。おばけもそうですけど………………暗闇はお姉ちゃんを御坂さんを捉えて離さないから。嫌いです)



 『鳥居』もそうだった。

 おじいちゃん、お姉ちゃんが離れていって。


 一人取り残された私。


 言われた通りに育ってきた私は、人の言うことしか聞けなくて。いい子でいなくちゃ、痛いことをされるから。刀も殺しも、学校に通うことさえ全部誰かが決めたことだ。唯一自分の意思でしたことといえば、お姉ちゃんとおじいちゃんと話したことだった。


 別にそれが苦でなかった。


 褒められるのは嬉しいし、努力した分報われた気もする。だけど、自分というものが持てなかった。私のいえばのこと、個性とか特技とかそうゆうのが無かった。それが嫌だった。


 私に間違わないでというお姉ちゃんや御坂さん。

 間違えるよ何も、刀願恤という人間は人として何も成っていないのだ。


 心から笑うことだったり、泣いたりすることだったりの感情を無垢で誤魔化し、命を無視して生き続けてきた。お姉ちゃんが死んだことを悟っても遠くで生きていると信じるふりをして、初めて人を殺した時嘔吐することで罪を洗い流そうとした。自分はまっとうである、普通であり、人間なのだと。悩むふりもした。言葉が詰まるのは悩んでいるけど、どうすることもできないから。心が定まらない、ピントが合わない。いつもそうだった。 


 だからと自分に問いかける。


 もういいかい、まあだだよ。と。

 

 誰かに探してほしくて、見つけてほしくて、変えてほしくて。自分に自身が無かったから、他人に任せようとしたのだ。


 もういいかい、まあだだよ。


 だから、御坂さんの些細な言葉に何度救われたかわからない。一人は怖いことだと思い出した。命の価値を知り、仕事と向き合うことができた。弱さを知り、決心することができた。


 もういいかい、まあだだよ。

 もういいかい、まあだだよ。

 もういいかい、まあだだよ。


 御坂さんが私を見つけてくれた。いつも情けない私を引さっ張って導いて見つけてみせた。でも私から近寄れば、離れようとする。私が甘えすぎたから、だろう。


だから、だから。



「もういいよ、なのです。『御影』さん、私はちゃんと大人になるのです」



 長い長い階段を抜け、開けた空間へとつく。重厚な鉄の扉の前、見覚えのある群青を見た。

ストレートに伸ばされた群青の髪は仄かにつけられた手元の蝋燭に照らされ、美麗である。その顔立ちは既視感がある。


「………『冥土』さんですか?」


 声に応じ振り向く美女。弓矢使い、『御影』とよく似た群青の髪と雰囲気で分かる。『御影』の姉、『冥土』。


「君は『鳥居』だよね。『御影』は一緒じゃないの?」


「『御影』さんは怪我して動けないです。だから一人で来たのです」


 そう、一人で。

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