いつもどおり
護衛の胸ポケットの裏に全員備え付けられていた時限爆弾稼働時に稼働し、大爆発を起こした。強烈な熱風を自家で浴びぬよう、反射的に和服の袖を盾にした。
皮膚に熱が伝導し、肉の焼ける匂いがした。
熱風に十メートルほど押され、壁にぶつかった。
それらの痛みに顔をしかめるも、煙が充満し、焦げ臭い半壊した玄関を『御影』は立ち上がり見た。
死体が跡形もなく消え、鮮血に壁が染まっているのだ。
「容赦無し、危機一髪つてとこかな」
痛む右手は手首から肘あたりにかけて皮膚が剥がれ、酷くやけどしてしまい、爆風により飛ばされた衝撃で壁に勢いよくぶつけ、背骨が何本か折れたようだ。
激痛だが我慢できる。無事な反対側の袖をちぎり、やけど部分を縛った。
「こっちは大丈夫だ。『鳥居』は無事か?」
「勿論です。『御影』さんは直撃でしたけど本当に…………」
「大丈夫だ。いこう」
立ちくらみ、壁に手を置く。かろうじて立ち上がった『御影』へと近寄り、『鳥居』は肩を押した。よろけ再び、地に腰をつく。睨む『御影』に対し、『鳥居』は真剣な顔と声をして言う。
「『御影』さんは大怪我をしていますのでここで休んでいて欲しいです。フラフラで歩けてないです。このままの状態でも任務もできません」
確かに右手は動かすたびに激痛が襲う為動かせない。満足に戦えないけど盾くらいになれるだろう。でも足を引っ張るのは確実だろう。
『御影』は火傷した右手を一度見て、俯いた。
「………………………分かった。だけど、絶対あとから合流する」
「……はい!」
ただ一人、『鳥居』は刀を持ち篠宮幸太郎を探し走っていった。
ーーーーーーズドォォォン!
巨大な爆発が起きた同時刻、群青の長髪をもつ和服の殺し屋が動いていた。
『御影』と『鳥居』がいる正面玄関の真逆。
屋敷裏門へとつながる扉の一階フロアにて、殺し屋は殺戮していた。裏門はこの屋敷唯一の逃走経路であり、待ち伏せしていたのだ。予想通り、一度はターゲットの大半はここに来たのだが、邪魔な護衛たちの相手をする羽目になってしまった。
他の脱出経路は『葬儀』の協力の元、瓦礫や火などで塞いでいる。時間稼ぎされるのみで、追い込めば無事に任務を完遂することができる。
一人は寝癖の強い長髪、半裸に和服を着崩したトンファーで戦う男。髪をなびかせ、愉快に笑い発砲する護衛に対し、猛突進し次々と倒してゆく。弾はトンファーにより真っ二つにされ、流れ弾が他の護衛へと向く。
猛追する男の死角から地に伏せた護衛が発泡しようとしていた。が、一本の弓が護衛の頭を貫いた。
「余計な世話だっつうの『冥土』!俺様のダブルキル奪うんじゃねぇよ」
「……文句言われる筋はないですよ」
男ーーーーー薙灘戒こと『幽冥』はその声の先へと目線を向ける。
二階の柱に隠れ弓を放った気丈に振舞う、同じく腰まである長髪を持つ袴の女がいた。女ーーーーー薙灘黄泉こと『冥土』もそれに答えつつも弓を放つは護衛の脳天へと器用に貫通させる。
「それよりも早く殺してください。もう少しですよ」
女はそう言うが、まだ数は30ほどいる。
「こんなのへでもねぇが……面倒だなっ!」
警戒しこちらを睨む護衛に囲まれながらも、トンファーを投擲し、立ち上がろうとしていた護衛に見事直撃する。そして大きくため息をつき、舌打ちする『幽冥』。
様子の変わった『幽冥』に動揺する護衛の一人が発砲する。『幽冥』はそれを素手で受けた。もちろん手を貫通したが、貫通した先にいた護衛の脳天へといく。
「ああ、クソっ!性に合わねぇことするんじゃなかった。トンファーなんて要らねぇよ」
髪をかみむしり、トンファーを投げ捨て果敢に猛突する『幽冥』。無謀にも見えたその行動は全く逆の効果を促すことになる。標準を合わせまばたきのその一瞬、視界から消え背後を取られたのだ。片手で首を鷲掴みし、締める。
その腕からは筋肉の筋が浮き出て、数秒後には白目に泡を吹いた。
「やっぱ俺様にはこれがあってるな。おらぁ、かかってこいやモブ共!」
「せっかく『再開発』に貰ったのに………まあそっちのほうが強いなら問題なし、か」
暴れ笑い殺す『幽冥』の姿はまるで“死”を具現化したような存在だった。護衛はそれに恐れ、慄く。そして二階の支柱の影からその“死”を見つめる『冥土』。薄く笑みを浮かべ、相変わらずな兄を見て安心するのであった。
「おい『冥土』!ここは俺に任せろや。コイツラぶっ殺してやっからよぉ、逃げ隠れしてるインチキ野郎を殺してこいよ!!」
「了解よ」
『冥土』は弓を片手に、耳につけた端末へと連絡をやる。
「『再開発』、ターゲットを追います。居場所はわかりますか?」
連絡を重ね、居場所を把握。迷わず目的地の最短ルートで目指す。大丈夫だ、完璧にこの屋敷の構図配置は暗記済みであるから。




