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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
四章 『御影』と『逢瀬』
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二人の舞踊

「それで、なにか聞きたいことはあるか御坂?」


コードネームじゃない、ならばプライベートか。相変わらず、緊張感ないんだな。それでも仕事は仕事だし、『冥土』の置いていった端末の『再開発』ともつながっている。ついでに折れの集中力も切れてしまう。


「任務中です『幽冥』」

「別にいいじゃねーか。任務に関することなら黄泉もいねーことだし何でも話せるぜ」


呆れながらも集中するべく無心に頭で任務のことを考える俺にとどめを刺したのは『再開発』だった。

『いいじゃないか。『白蛇』のこと知りたくないのかい?『逢瀬』くんは感づいてたようだけどね』

 確かに気になることはいくつがある。が、それでも今相棒と姉が戦っている中、俺は守るだけ。守る=待つというのは楽なように思えてしまう。


「………………………………………………………………………なら一つ」


「何でも聞くんだぜ!」『何でも聞き給え!』


このテンションでか………やりにくいな。


「………………『白蛇』は何者なんですか?」


 だから、率直に聞くことにする。


「この戦争の主犯者だ」

「……………………………そんなはっきり答えてもいいんですか?」


 逆に不安になってくるぞ……


『君は頑張ってくれてるからね。私の信頼は稼げているので教えてあげても構わないねーっと思っただけさ』


 信頼を築くねぇ………意識はしないけど、そこまでか。あまりいい気はしない。肩をすくませようとした時、低く威圧するような声が端末越しに聞こえた。


『それともう一つ。中身は本物だが外見は偽物でしかないのさ、『白蛇』は』


「………?」


 どうゆう意味を持つのか全くわからなかった。そして不意に『白蛇』が眠るコールドスケープに目をやる。なにか違和感を感じ、上を見ると崩れた天井から覗き込む茜の逆光を浴びる女性の影を発見する。『幽冥』も同様、そして俺に向けて叫び背中の裾を力強く引かれる。よろけて転けそうになり、文句の一つでも言ってやろうかと思ったがそんな余裕はなかった。


 目の前からコールドスリープが言葉のとおりサイコロ切りに無残な姿をしていた。中の漆黒の液体が漏れ出て、中には人がいたはずだがその形がない。見えるのは中身がない革のみが切られた遺体と言うべきか否かのもの。血も臓物も全くない。空っぽの遺体。空っぽの痛い。


「はぁ………はぁ……はぁ……」


呼吸が荒くなるのを感じる。もしも、あの時『幽冥』が引いてなければ、この惨劇に巻き込まれていただろう命の危機に。しかも、この綺麗な切断面は見たことがある。鮮やかで音もなく忍び、殺す殺人糸『錬紡糸』使いの殺人鬼、まごう事無き『傀儡』苦綯白羅である。


「任務完了、ばいばい」


「逃がしませんよ、殺人鬼さん」


 何事もなかったことように吐き捨てた言葉と共に、早々と退場しようとする殺人鬼を颯爽と現れた『逢瀬』により阻まれる。頭部を狙ったその刀身は糸により防がれるがその勢いのまま糸を切り地面を崩す。足場をなくした殺人鬼は下へと落ちていく。勿論、『逢瀬』もだが。


「物々しいね、殺し屋」


「こっちにとっては騒々しいですよ、殺人鬼さん」


 向かい立ち会う『逢瀬』と殺人鬼。殺人鬼の足元には『白蛇』だったものが散らばっていた。普通に踏んづけてるし、死んでしまったのだろうか?


「おい、『逢瀬』。外の敵は!」


「問題ないといえば嘘になります、『幽冥』」


『幽冥』の叫びに答えたのは神出鬼没な『冥土』だった。あちらこちらで急変する現場に目が回りそうになるが、自分のやるべきことをまっとうするべく『逢瀬』のもとへ参戦する。


「どうゆうことだ?」


「外の敵、及び爆弾は排除されていました。どれも切断面が鮮やかで瞬殺のようでしたし、傀儡殺人鬼の仕業と考えていいです」


 『幽冥』と『冥土』のやりくりを耳に入れつつも、殺人鬼との攻撃を開始する。二人係で攻めている為相手は防戦一方だが、余裕そうだ。相手は糸使いで、強度も自由に変えられるらしく、変則的に変えられ見分けもつかないので、弾き返された際に反撃を食らいそうになるもどちらかがカバーできれば問題はない。本来の任務である『白蛇』の保護を失敗した今ではそれに見舞う成果がほしいところだ。かの傀儡殺人鬼の首でも手に入れば、バツも軽くなると思いたい。


 薙刀と刀の連携技は舞のように美しい。線が弧を描き、中を薙ぐ。斬撃は鋭く空間を研ぐ。ワルツのように軽やかなステップで避け、空を切る。靡く髪も連動し、絵になる。


「はへぇ、綺麗なもんだ」


「二人の舞踊……みたいです」


『あれま、てっきり『冥土』くんは嫉妬すると思ってたんだけも予想が外れたね』


「嫉妬?そんなことはしません。だって、御坂嫌じゃなさそうだもの。私は御坂が幸せなら、いいの」


 殺し屋として生きることは幸せではない。むしろ忌むべきことだ。だけど、殺し屋として生きる中で御坂なりの大事なものを見つけてほしい。私ならば御坂という愛しき弟のように。


「思っているのに伝わんねぇってのはキツイよな」


「…………なんのこと?」


 相変わらずの作り笑顔に『幽冥』は呆れる。


「俺も知らねぇよ。ほれ、補助に行くぞ」


「大人数でも困ります。だから、後方からの援護が最適です。だからその鉄パイプを持って、危機に貧したら助けてあげてください」


「くどくどくどくど言われなくても分かってるに決まってんだろ。要は割込めってことだろ?」


「はぁ……」


 こうして自分勝手で格好いい兄も私の大事なもの、なのかもしれないと心の底で思ったことは内緒にしておくことにした。


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