カウントダウン
第4棟。高い天日窓から茜色の光が差し込む。
「ここら辺に置いとく『御影』?」
「いや、こっちに置いてください『冥土』」
木箱が倉庫いっぱいに積まれ、開けた場所に『白蛇』を置く。『冥土』が片手で持っていたコールドスケープの様子を伺う。
本来ならいるはず、だか全く見えない。漆黒の液体に包まれているようで、謎のまま。人らしき影も液体のおかげで見えない。気泡が見えない……呼吸をしていないのか?
観察する俺に『幽冥』は口をだす。隅っこの方で黙りこくってたので、まだいらいらしてるのかと思ってた。
「あまり見ねぇほうがいいぜ」
いつもよりも低いトーン。やはりちょっと、怒ってるのか?『再開発』に騙されてたことよほど根に持ってんな………。
「戒に…………『幽冥』、どうゆうことですか?」
「あー、ほら『白蛇』つーのはな」
風を切った。
先程まで手を伸ばせば届く距離にいた『冥土』が一瞬で、『幽冥』の目の前に移動していて殺意むき出しにタガーナイフを首に当てていた。1ミリでも動かせば、動脈が切れ出血するだろう。
「『幽冥』?」
言うな、とあの偽物の笑顔で『幽冥』を見ていた。否、睨んでいた。
「ちっ、めんどくせぇ。守秘義務なんざ、この任務を請け負った時点で変わんねーだろ」
「それでも、駄目」
ああ、ますます機嫌が悪くなってくる。逃げたい……怖い。
「おい『御影』」
殺意剥き出しの『冥土』に怯むことなく、語るのを辞めない『幽冥』。目線を俺へと移し替える。かと言って『冥土』も微動打にしない。
「『白蛇』つーのは何を連想させる」
「白蛇………………蛇?」
俺の後ろに立つ『逢瀬』へと目配せ。一緒に考えてもらうことにする。
『残り一分』
『冥土』の端末より『再開発』からの言葉が入る。残り一分でこの話は終わるのかは定かではない。けど、俺と『逢瀬』は脳味噌をフル活用し考える。
『白蛇』。蛇は蛇でも白色の。
白蛇は縁起のいい生き物として有名で、かの弁財天の使いであったとも言われていた。神様の使い……。
「神様の使いとか言われてますよね?」
「そうさ。縁起のいい生き物と有名だぜ。神様の使いっつうことは神聖な、汚してはいけない存在なんだぜ」
まあ俺様は知ったとことは無いが、と『幽冥』は嘯く。
「汚してはいけない、神様……………」
「まあ、わからなくてもいい事だからな。『冥土』なんざの脅しでビビるわけねぇからな。今度また教えてやるよ」
「そんなことはさせない。私が一生、『御影』のそばに居るんだから」
怖い怖い。俺はどっちを選べばいいんだ……じゃなくて!どっちも嫌だ。
よく恋愛漫画の三角関係でどっちを選べばいいの?!ってなる癖にこうゆうシュチュは望んでいない。
『残り十秒』
『再開発』によるカウントダウンが始まる。
『冥土』はタガーナイフを下ろし、背中に携える弓を構える。
『九』
『幽冥』はその辺に落ちてある鉄パイプを肩にかける。
『八』
俺も背中に携える薙刀を構える。
『七』
『逢瀬』は考え込んでいたが、ハッとして大刀を構える。鞘をつけたまま。
『六』
「……………!!」
すると、『逢瀬』は肩をビクリと震わせる。
『五』
「どうしたんだ、『逢瀬』?」
『四』
「ま、さか………」
『三』
「白蛇って…、」
『二』
「あの人のこと、なの?」
『一』
「それって……」
『ゼロ』




