2分24秒
片手に海藻をとりながら、反対の手で『冥土』がもつコールドスリープのようなものは背中にかかえられ、地に着くなりどすんと音を立てておく。
「酷いです『幽冥』。私たちが増援に来たのも、元はと言えばこの『白蛇』を届けるためなんですから」
『冥土』はコールドスリープのようなものを叩きながら不満げに言った。
それが『白蛇』だというのか?
「それよりよぉ、俺様が下に飴を取りに行ったときにスピードが上がったのはなんでだ?」
「そこ気にするんですね。はい、私です。ちょっと意地悪がしたくなりまして」
「ギャハハハ!俺様じゃなきゃ死んでたな」
「本当にっ、死ねばよかったのに」
この会話怖い。『逢瀬』も呆れ、俺に話しかけてくるくらいには落ち着いたようだった。
「で、本当にこれが『白蛇』さんなの?」
「そうだぜ、俺様が運んできたやったんだからな。丁重に……………………ってめぇ!あの野郎!マッドサイエンティストめ!あいつが準備したトラックに乗ったらこれだ!くそ、思いついたらムカムカしてきた」
やばい。『幽冥』の感情の起伏が大きすぎる………。急に大声出して怒鳴るわ、驚いてしまう。
怒る『幽冥』背後には『冥土』が電話をしていた。俺と目が合うと、スマホの電話をスピーカーにし、こちらに向けてくれた。
『やあやあ、『幽冥』くん!どうだったかね、トラックの乗り心地は!』
こちらも、『幽冥』に劣らずのハイテンションでの一言目。
「どうもこうもねぇよ!最悪だよ!」
『はっはっは!『白蛇』はどうだい?傷ついてなかったかい?そこが私は心配でねぇ……』
「大丈夫ですよ、『再開発』。傷一つありません、実験成功ですね」
実験?実験っつったか?
まさか、このトラックの大爆発も『白蛇』が入っているコールドスリープのようなものの強度実験だってのか?イカれてる…………
『良かった良かった!』
「俺様そんなこと聞いてねぇ!」
『『冥土』にしか言ってないからね』
電話越しの『再開発』に怒鳴り散らし続ける『幽冥』はどこが面白くて、笑うのをこらえてしまう。
『まあ。急ぎだったから、手頃にあるトラックを改良して自滅確定のスポーツカーにしたよ』
「急ぎ?いそぎってどうゆうことですか?」
黙って聞いていた『逢瀬』が口をだす。俺の場合、最近、急ぎっていう言葉をよく聞くから見逃しそうになった。
『急遽、『白蛇』をねらう輩が増えてしまってねあと2分24秒後に来るからね。1分前になったらまた電話するから安心したまえ』
そこで電話は途切れる。2分24秒後に敵がくると、『再開発』はいったか?
「と、言うことなので第4棟に『白蛇』を運びましょうか」
「だな」
何故、2人は納得し、信じ、行動をするのか。意味がわからなかった。突如伝えられた今の状況を伝えられ、『再開発』の言葉を信頼して動ける『冥土』と『幽冥』が俺にはわからなかった。
俺は自分が危機に陥った時、どうしていいのか分からない。信じられないし、納得できる説明が欲しい。それこそ、長年の経験を積んできたふたりが正しいはず、だけど俺は信じられない。
これが俺の役目だと思ったことは無い。いつも、何となく、削られていく精神に、堕ちていく心に無関心で……………
「!」
「私も同じ…………けど、やらなくちゃ」
立ち止まる俺に『逢瀬』は肩を叩く。その手は『逢瀬』は、震えていた。
「ああ。それが俺がやるべきことだ」
吹っ切れてはいない。まだ心につっかえたまま。
けど、後悔だけはしてはいけない。
「やって後悔しないが1番だからな」
責任は俺と『逢瀬』にある。1度決めたことを貫け。
「その意気だよ。私も後悔しない」
先輩である『冥土』『幽冥』と共に第4棟へと『白蛇』を運んだ。




