『家族』集結
ふと、考えてみた。『家族』とはなんぞや、と。
切っても切れない関係で、
流れる血は全ておなじで、
何らかの共通点があって、
この世に何人かとしか存在しない、
いなくてはならない存在。
否、いなくても困らない存在である。言い換えれば、いれば嬉しいものもしくは辛いもの。
俺にとっては後者。いては辛いものである。
それは圧倒的才に恵まれる兄や姉を妬んでの嫉妬で、無償の愛情を注がれる不快感。それらが俺を苦しめる。
勝手に期待して、失望して。それが怖いから、臆病になってしまう。俺は俺を信じられない。
圧倒的才能に埋もれた小さな才能は芽生えても踏み潰されそうで、成長出来ない。変われない。
だからこの状況を、俺は最悪だと思うとと同時に少しだけ安心していた。もし俺が失敗しても、償ってくれる人がいて俺は1人になれる。
幸せになれるのだから。
「…………………………」
愕然とする俺と『逢瀬』に対して、『幽冥』は文句をぶつくさ言っていた。
はっ、とした『逢瀬』が真剣な眼差しで聞く。
「増援ってどうゆうことですか、『幽冥』」
「ん、ああ。お前らふたりじゃ心配だろうって、この俺様が来てやったんだぞ、こら。なんか文句あんのか」
「それは誰からの命令ですか?」
「マッドサイエンティストに決まってんだろ」
マッドサイエンティスト。その言葉を指すのはただ1人、『再開発』のみだ。
「戒兄さん……………なんでトラックの荷台なんかにいたんだよ」
「荷台じゃねぇよ」
「え?」
「俺様がいたのはあのー、あれだ。車の車体の…………下だっつーの」
下?まさか、トラックのタイヤとかついてるあの僅かなすき間にしがみついてたのか?あの猛スピードで?
「なんでそんな所に………」
「初めは荷台の上のところいたんだけどよォ、加えてた飴落としちまってな。それで取りに行ったら、いきなりスピードがあがりやがって上がりづらくなって面倒くさくなったからだ」
「スピードがあがった?誰かそんなことを………」
『幽冥』と『御影』が話す様子を見守る『逢瀬』。
海の方を不意に見る。なんの意味もない。何となく見ただけ、なのに……。
その一瞬、『逢瀬』は見た。衝撃が、波乱が治まりつつある会場で浮く物体が1つ。棺桶のような、コールドスリープの機械みたいなのに手がしがみつき、海藻を被った何かを。
「『御影』…………あれ?なに?」
恐る恐る聞く。俺は目を細めてよく見る。けど、よく分からない。その時にはなにかは既に水中を移動していた。海面が揺らぎ………
「……………………?」
そのなにかはまた消え、こちらへとだんだん近づいてくるようで。『逢瀬』は俺の後ろに隠れる。
「幽霊じゃないよね?まさかァ………………別に幽霊信じてるとかじゃないからね?!」
「わかったから落ち着けって…………」
何も出来なかった。戒兄さんも不思議そうな顔していたし、敵意は感じなかったから。
「肝心なところを説明してませんよ、『幽冥』」
「あ?忘れてたわ、『冥土』。すまんすまん」
こちらもまたよく知っている女だった。群青の長髪に真紅の眼、濡れた喪服のような漆黒の和服は彼女の体のラインをきらびやかにしていた。
御坂の姉であり、党首の左腕『冥土』薙灘黄泉だった。




