『白蛇』の存在
「やあやあやあ、仲睦まじく恋人のようだねぇお二人さん」
「「うわぁっ!!??」」
二人の間をわって入ってきたのは白衣姿の『再開発』だった。気配もなく、急に背後に現れたのだ。驚くに決まっている。それに、『再開発』が外を出る時なんか滅多にないのだ。
「来るのが遅くて心配になってねぇ。迎えに来たんだけど………お邪魔だったかね?」
「別の意味で邪魔されましたよ。でも遅くなったの仕事が増えたせいですから。そこのとこの説明はしてくれますよね」
本音で話せて、和やかな。久しぶりの心地がいい空間だったのに。水を刺されて、俺はちょっとムッとする。
「それも踏まえて、今回は呼んだのさ。さあさあ、『逢瀬』くん、『御影』くん我が研究所に来たまえよ」
「また散らかってますよ、『再開発』さん」
部屋に着くなり、『逢瀬』は呆れたように呟く。ダンボールが山積み、部屋の半分が埋まっていて、床の半分が書類で埋まっている。いつもこうだが、世話焼きな『逢瀬』が週に2度ほど掃除に来ているらしいが……………このザマである。
「私はニートだからね。家にいる時が多い分、荒れてしまうのさ。今回のように急ぎだったら迎えに行くさ」
「自分でニートって言うなよ………」
『再開発』は早速椅子に座る。向かい側には2つ椅子がある。そっちに座ればいいだろう。
いつもは茶々な雑談から始まる『再開発』だか、今回は初めから真剣である。その表情はどこか強ばっていて。
「それで、だ。急ぎの案件があるんだ。」
「「なんですか?」」
シンクロする2人に、思わず『再開発』は微笑する。
「君たちは物分りが良くて助かるよ」
『再開発』は床下においてあった山積みの資料のひとつを渡す。
「急な仕事でね、明日の仕事全部キャンセルしといたからこの任務に集中して欲しい」
「24時間体制での護衛…………………対象者は『白蛇』。誰だ?知ってるか、『逢瀬』」
「知らない………」
資料には写真も乗ってなく、詳しい場所と時間、依頼内容だけ完結に書いてあった。
「………あ、これって依頼主党首様なんですか!?」
資料に目を通している『逢瀬』が驚く。俺も思わず、『逢瀬』のもつ資料を覗き見る。
「そうさ。党首様直々の依頼なのさ」
「そんな依頼………俺と『逢瀬』が請け負っていいんですか?」
「勿論さ。2人にとって大出世のチャンス到来さ。頑張りたまえよ。君たち2人が『白蛇』に指名されたんだからね」
となると、『白蛇』とは面識があるのだろうか?
でも聞き覚えがない。なんか疑わしい…………裏があるんじゃないのか?
「別に裏はないさ。そこは安心してくれ。ただ、それだけこの護衛任務は過酷だ」
「??」
益々疑問が浮かぶ。それは、体力的にと精神的にか。俺と『逢瀬』の手に余らないか。そもそも『白蛇』から指名されたのだ。
ある程度の面識はあるはずなのだが…………
「ちなみに君たちと『白蛇』に面識はないよ」
「………………もしかして、『狐』みたいに隠匿されてる存在ですか?」
『狐』は翠鎌家の次男で存在が隠匿されている人物。知っているものはごく少数。
俺だって『逢瀬』から聞いただけだし。
「大正解、『逢瀬』くん。見事だね」
『再開発』は大袈裟に反応し、拍手する。笑顔から一変、目を細めて人差し指を口に添えて、
「私からの守って欲しいことはひとつ」
『白蛇』の存在をばらすな。
バラしたら、君たち死ぬよ?
と、凶悪に笑った。かの殺人鬼のように。
か




