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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
四章 『御影』と『逢瀬』
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焦りと苛立ち

昨夜9時。漆黒の空に散らばった星空の下、二人は山道を登っていた。山道は険しく、獣道を行く形となっていて、その上雪も降っている。冷気が肌に触る。


深緑マフラーと手袋、厚手の明解女学院の制服の上から、ベージュのロングコートを着用した完全防具の『逢瀬』は白い吐息を吐く。


「寒いね………今年初雪だね『御影』」


隣を歩くのは水色のマフラーと手袋、楼明中学校の学ランの上にグレーのコートを着用した長髪の少年ーーーーーー『御影』である。


「なんで俺達はこんな真冬の夜に山道を歩かされてるんだ…………………」


「党首様直々の命令だから仕方がないよ。『再開発』はこんな山奥に住んでて不便じゃないのかな?」


「ニートだから」


「あははっ、それあるかもね」


俺と『逢瀬』の会話の流れはいつもこう。

近況報告と雑談。たわいもない話をして、徐々に仕事の話に変わっていくのだ。初めこそ、その流れに違和感を感じたが、今では自然と言葉が出てくる。


でも今日は違った。


いつもと変わらず笑う『逢瀬』の頬が固く感じる。ぎこちなく、微笑んでいる。


俺は心当たりがないか記憶を辿る。いつも通り、刀願家の門前にて『逢瀬』を待ち、仕事へ行く。その時からだ。じわりじわりとくるナニカに脅え、急かしているような。


「あはは………どうしたの、『御影』?」


不思議そうにする『逢瀬』の顔を俺はがしりと掴み、じっと見つめる。


「え?なになに?」


顔を赤らめ、恥じらいを見せる『逢瀬』。

俺は『逢瀬』の顔の様子をよく観察する。目元にはくまがあり、メイクで誤魔化していた。それに白目が充血している。貧血か?


「お前………無理してないか?」


『逢瀬』の顔が硬直し、動揺が見られた。


「し、してない……」


「嘘をつくな『逢瀬』。俺は知っている」


「な、なにをかな………?」


『逢瀬』は目が泳ぎ、冷や汗を垂らす。分かりやすく動揺する『逢瀬』に俺は追い打ちをかける。


「俺と一緒にする仕事以外に、睡眠時間削って仕事してるだろ」


「ぐっ!」


ただでさえ重労働なのだ。

しかも最近は特に、朝昼晩毎日仕事で埋め尽くされている。【戦争】の状況に大きな異変もなかったし、殺人鬼や呪術屋にも変わった動きはない。

おそらく、殺し屋の方が慌ただしく何かの計画を企んでいるようなのだ。


『再開発』に探りを入れてみるも見事にはぐらかされて、党首様の方にも嫌嫌聞いてみるも成果なし。でも、どの家系も仕事が増えているのは確かだった。

翠鎌家、朱鎌家は5割も、薙灘家は2割ほど、刀願家は変わらず。なのに、『逢瀬』の仕事量が多すぎるのだ。


「しかも他の家系の………翠鎌家の。お前が嫌がる殺しの仕事を自ら請け負っているのはおかしいと思ったんだけど……理由があるのか?」


暗殺を主体とする翠鎌家。仕事量が1番増えているのも手助け………とかだったら、朱鎌家の仕事を受け終えばいいものの……。


「…………………………最近慌ただしいから、本家の方」


「俺もそのくらいわかる。仕事が増えて………学校にも行けやしない」


本当にイライラする。

学校には事故で怪我をし、入院中となっているが、日笠から送られるメールを見る度、胸がキュッとなる。


学校自体は俺は好きだった。友達も沢山いるし、勉強は面倒だけど運動するのは好きだ。学校にいる時だけは普通に生きる薙灘御坂という人間を好きでいられた。

けど裏で自身の手を汚し、精神を削られ、徐々に罪悪感が消えていって、慣れて、堕ちていくーーーーーーーーーーーーそれだけは絶対に嫌だ。


俺は俺が嫌いになる。


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