表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
三章 『鳥居』と『逢瀬』
33/63

もう。逃げない

それからお姉ちゃんはまた変わらぬ笑顔で私に接しました。あの日以来、どこか距離を置かれているような気がして日に日に話す回数は減って行ったのです。


それから剣術や教育により熱心に取り組むようになりました。あの日のお姉ちゃんの弱さを、脆さを理解した時助けてあげたい。けど、力不足で無知な私は同時に、私に足りないものも理解しました。だからできることを一生懸命して……………。


そして、月日が流れて2年後。おじいちゃんからある話を聞いたのです。


「『逢瀬』が逝ってしまった」


「どこに行ったのです?」


家で見かけるお姉ちゃんの姿はこの頃には少なくなってて、この前大怪我をして入院したとかも聞きました。また病院なのでしょうか?


おじいちゃんは困ったような顔をして、空を見上げて言いました。


「…………お前の姉は空の彼方に行ったんじゃよ」


「それって遠いところです、おじいちゃん?」


その時私は縁側でおじいちゃんの隣にすわって話を聞いていました。空を見上げるおじいちゃんの横顔は少しやつれてて、それでも強いまなこでじっと見つめていた。


「ああ、遠いさ。わしもいずれ行くところじゃ」


「おじいちゃん………?」


目を細めて、おじいちゃんは俯いてしまう。


「ごめんな、恤。お前を巻き込むことになってしまった。『逢瀬』もお前も、まだ子供なのに」


「………………」


頭を抱え、申し訳なさそうなおじいちゃんは突然謝りだしたのです。私は戸惑って、どうしていいか分からなくて。


「大、丈夫です。私はおじいちゃん、お姉ちゃん、お兄ちゃんも大好きなのです!みんなの為なら頑張れるです!」


私は精一杯の笑顔で、言って見せた。大好きを伝えるときっと嬉しいはずです。私も言われると嬉しかったから。


おじいちゃんを喜ばせたくて、笑顔にしたくて。


「……………ありがとな、恤」


それでもおじいちゃんは悲しそうに笑ったのです。





殺し屋として本格的に始動したのはまた更に2年後。『御影』ーーーーーー御坂さんと組んで始めたのです。


「初めまして、です。刀願恤です」


「俺は薙灘御坂だ。よろしく」


2年ぶりの再会。

御坂さんは知らないけど、私は知っている。この人は一件人に冷たそうに見えるけど、無愛想なだけでとても優しい人だということを。

お姉ちゃんの甘えや弱さを受け止めてくれた、お姉ちゃんにとって大事な人なんだとわかっていたから。上手くやっていけたのです。


それにこの頃、おじいちゃんは病を患い、下半身不随となり、明南お兄ちゃんも家を空けることが多くなったのです。相変わらず、お姉ちゃんは帰ってこないけれど。余計に、上手くやっていかないとと自分をおいつめていたのかもしれません。


「『鳥居』、大丈夫か?」


「はい……………平気です」


初めて人を殺した日は気持ちが悪くて。

気持ちがぐちゃぐちゃになって。

これに慣れなくちゃいけない、そう思うと気がゾッとして。ひたすら精神だけが削られていくのが辛かったです。泣くのを我慢して、弱音も吐かないで。強がってたのです。けど、御坂さんが助けてくれたのです。


「恤」


「なんです、御坂さん?」


「無理してないか?俺が今日一人で」


「大丈夫です!私はできます」


お姉ちゃんが守ってくれていたことを知った。弱く脆くて、それでも強く優しかったお姉ちゃんが遠いところで見守ってくれてるはずなのです。


だから、1人でも大丈夫なことを証明しないといけないのです。


「…………疲れてるんだから休め」


「疲れてなんかっ!!」


御坂さんは頭を撫でてくれました。


「え?」


「恤は優しい女の子だよ。だから、殺すことに慣れなくてもいい。躊躇してもいい。けど、その命の重さを知って殺せばいい」


命の重さを知り、殺せと。殺し屋に就く以外に選択肢はない。この運命からは逃げられない。けど、受け止めて、進むことは出来るのだ。殺すことには変わりない。けど、殺すことの罪を知っていなきゃいけないのです。


私は泣きじゃくりました。涙で目を赤くし、鼻水も沢山出て。とても嬉しかったのです。


「俺はもう堕ちるだけだから。恤はまだ間に合うよ」


何年ぶりだろうか、誰かに頭を撫でられたのは。あたたかくて、人の気持ちが伝わってくる。それは錯覚とわかってても思わずにはいられなかった。御坂さんは私のことをちゃんと見ててくれて、それでも距離は空いている。そうゆう人だと私は知っているのだから。


私は、ずっとこのままが心地よいと思っていたのです。変わらなくていいと、思っていたのです。けど、今はそれじゃダメなんだと思いました。御坂さんの弱く脆いところを見てしまった。

お姉ちゃんもそんなことがあって、どこかへ行ってしまったのです。


知らず知らずのうちに離されて、どこかへ行ってしまうなんて…………………そんな公開は二度としたくありません!だから、私はーーーーーー幸せになるための選択肢を選んだのです。


間違ってないことを信じて。




「恤?どうして、ここに……」


御坂さんが右往博士の言う通り明鏡高校に来たのです。その顔は後悔と懺悔が募った顔ではないけど、迷ってる顔。


「お話がしたいのです。聞いてくれますか、御坂さん?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ