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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
三章 『鳥居』と『逢瀬』
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弱さ故に強くあれ

「話が脱線してしまったね、それで何の用だい?」


右往博士は腕を組み、ヘラーっと笑っている。先程までの、愛おしげな慈しむような、母親のような右往博士はどこにいったのです?それでも切り替えの速さはありがたいです。話しやすいから。


「お願いがあってきたのです」


「お願い?いいともさ、どんなものだい?」


目を鋭く走らせ、こちらを観察している様子の右往博士。妙な緊張感があり、こちらも反射的に強ばってしまう。手はより強く握られ、冷や汗をかいてきた。

落ち着くのです。右往博士の目をちゃんと見ろ、です。

自己暗示、そして深く息を吸い高鳴る鼓動を収める。


「仕事を見つけて欲しいのです」


「ふぅむ、どうゆう事だい?君は今殺し屋という職業についてるじゃないか」


「あ、いや、違くて。殺しの、暗殺の仕事をしたいんです。うちは護衛仕事が主ですから」


「…………」


「…………どうしたんです?」


沈黙する右往博士に少し戸惑う。私は右往博士の顔前に手をヒラヒラとさせる。


「いや、すまないね。君が自分から殺しをしようとは意外でね」


確かに私から言い出すのは初めてかもしれないです。いつもは嫌々していたのですから。


「こちらにも事情があるのです。それで簡潔に答えてください、です」


とにかく今は時間が惜しい。一分が、一秒が無駄になってしまうような気がして。じっとしてられない。


「勿論、仕事を探すことは可能さ。けれども、少々手こずるかもだね」


右往博士が弱音を吐くのは初めてです。なにか厄介事でもあるのです?


「翠鎌家に交渉が必要だ。頭が固いからね、面倒なのさ」


「私、翠鎌家の人一度もあったことないです」


「そりゃそうだろうね。先程君が言ったように翠鎌家は暗殺部隊さ、滅多に見かけないのも気配が消すのがうまいのさ」


暗殺ですか…。私も気配を消したり、足音を立てないなどの訓練は受けたけど、もっと厳しいのはずです。


「そうだね………翠鎌家について少し話そうか。情報は多くあっても困らないだろう?」


「ですけど、なんで今なのです?」


「まだ時間はあるようだからね」


右往博士は私の後ろの壁にかけてあると時計を見る。時刻は午前12時。個室で窓はないけど、真っ暗なはず。


ここに来るまでの道のりはスマホのライトを使ってきたので真っ暗なはず。熊や猪が出るのではないかと警戒したけど、何事もなくたどりつけた。


「翠鎌家で有名な人物と言ったら誰だと思うかい、『鳥居』くん」


「…………党首様である『睡蓮』さんですか?」


「そうさ。本名を翠鎌大和、今年で72歳でもう50年以上党首の座に君臨する強者さ」


「22歳で党首の座にです?すごいです………」


私のおじいちゃんは確か30代頃と言っていたです。そして年老いて、病にかかり、『能面』ーーーーーー鏡子さんへと党首の座を渡した。鏡子さんも20歳、我が家に伝わる名刀『心集』を受け継ぐことにより着任した。そう考えると、党首になるのは実力者。当たり前だけど、鏡子さんにとってはこれからが大変なはずです。


党首の座に着くのは決して簡単ではないです。 けど、本当に大事なのは君臨し続けること。

この【戦争】で生き残ること。


歳を取れば、体も衰えるし、病を患うこともある。それが党首引き継ぎの、次の世代に家を託す時です。まさにそれが私のおじいちゃんにあたるのですから。


「でも、強者であり続けることは大変なのですよね」


「そうなのだよ、『鳥居』くん。だから『能面』くんのこと、しっかりと支えてあげなよ」


「でも私なんか……………力になれるです?」


刀願家では私は落ちこぼれ扱い。他人に勝っている点は特にないし、御坂さんにも迷惑かけてばっか。

再び俯く私に右往博士はより一層強い言葉で言う。


「私なんか、なんて言ってたら前に進めないさ。それに自分が弱いことを自覚できるのは素晴らしいことさ」


「………………」


だから私はなんにもできない。私は弱いです。御坂さんも、日笠さんも助けられない。けど、どうにかしたいって。助けたいって。絶対に思ってる。


この気持ちは胸を張って本物だと言える。

偽善なんかじゃないって言える。


「大事なのは弱さゆえの向上心だからね。罵倒されて、打ちのめされて、泣いても。負けてやるもんかと何度と立ち上がるんだよ」


それに、と右往博士は


「君が愛用する刀は何度も叩き、磨かれることで立派な刀になっているんだよ。だからね、『鳥居』くん。自分を責めてもいい、叩いてもいい。ただ、進み続けて、強くあり続けてね」


どうしてこんなに右往博士は私が1番聞きたい言葉を言ってくれるのです? 込み上げてくる気持ちが溢れて、目が熱くなって……………子供のように泣きじゃくった。


私の周りの人は私の駄目なところをダメと言って諦めて、落胆させるばかりだった。けど、右往博士は駄目なところをだめといって強くあれと、期待してくれる。


右往博士の言葉は私に勇気をくれたのです。


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