おじいちゃん
「特になにも……………ないことは無いけど」
「え?なに?もしかしてプレゼント買いに?彼氏いるの、刀願さん?」
からかったり、照れたり、笑ったり。その場その場で最も適切な受け答えをする都合のいい彼女が私は苦手だった。しかも美人。
「プレゼントってなんのこと、です?」
「えー、誤魔化さなくていいのに!あ、よかったら私がおすすめの教えてあげよっか?」
勢いでズバズバ聞いてくる。ついていけない。
「なら、即断即決!すぐに行動に移さなくちゃね!行こう、刀願さん!」
手を握られ、引っ張られる。小走りで走る日笠さんに合わせて、私も走った。どうにでもなれと、やけくそに。でもすぐに止まってしまう。
「あっ、それとなんで和服なの?似合ってるけどね!」
「あ………」
すっかり着替えるの忘れてた。これじゃ目立って仕方がない。今更だけど。
「きっ、気分転換だよ。ははは………」
苦笑いでの誤魔化す。日笠さんはふぅんと少し考えるも、すぐに笑って走り出す。
それから、服のブランド店をいくつも回った。その中で私は気になるものを見つけた。
「なにみてるのー?」
「ピアス」
私は手に取ってみせる。銀色に赤の装飾が施されたピアス。御坂さん右耳にピアスの穴が空いていたのをちらりと見えたことがある。
「もしかして彼氏って年上?」
「そうだけど…………って彼氏じゃないから」
日笠さんに流されそうになった空気を無理やり止めようとはする。いつまでこの話題続くんだろ。でも、なんで年上だってわかったのだろう。
「年上のおにーさんってピアスしてそーなイメージじゃん?私の兄貴もしてるよ?」
「お兄さんいるんだ、日笠さん。私はお兄ちゃんもいるけど、お姉ちゃんがいたの」
「いた?いる、じゃなくて?」
「遠くの方にこしたんだって。そう聞いたよ」
「お姉ちゃんに?お母さんに?」
「んー、おじいちゃんかな?」
おじいちゃんは元党首で、今はとこに伏せっていて病を患わっている。今の刀願家の党首は私の従姉妹にあたる刀願鏡子さんだ。
私と五つ離れていて、私のおじいちゃんに代わり、家を仕切っている。普通なら鏡子さんではなく、私の兄である『神殿』なのだがつい最近死んだと聞いたのだ。
身内なのにこんな他人事のように思ってしまう自分がいて、そんな自分が嫌になる。
私は『神殿』、兄とは仲が悪い所が、全く会ってもいないし話してもいない。ふぅん、で終わってしまう。それだけ、私には関係の無い出来事でしかなかった。次男である『狐』の存在は隠匿されていて、一族の中でも少数しか知らない。てっきり、『狐』が党首になると思っていた。
「おじいちゃんかぁ、おじいちゃんと言えばさ!私の爺ちゃんから聞いた話が不思議だったんだぁ」
「どんな話?」
「愛の話!」
「帰るね」
「なんで?!」
私はピアスを取り、会計しようと歩き出す。それに焦ったように日笠さんは横を歩く。
「ごめん、なさい。急いでるからです」
「なら今までどうして付き合ってくれてたの!刀願さん、お願い最後まで聞いてっ!」
涙目になりながら、すがりつく日笠さんに負け喫茶店『やえ』にて話を聞くことにした。




