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隻眼聖騎士と神裔の王女  作者: 六条 甘太
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二つに隔たれた世界と冒険者の少女


 サンフレア王国が混沌の闇へと支配されてから、5年。

 隣国である2国、発明や商業を司る神ヘルメスを崇拝するディベロ王国、戦いの神アレスを崇拝するシュラーハト王国は、支配されてしまった。


 残りの4国

 雷光を司る神ゼウスを崇拝するバレーノ王国。

 海の神ポセイドンを崇拝するアクエリア王国。

 知恵の神アテナを崇拝するディアブレリー王国。

 月神アルテミスを崇拝するルーナティア王国。


 この4国は、混沌の闇に支配されてはいないものの、混沌の闇に支配された3国より放たれた魔獣の襲撃により、王国内は混乱状態に陥っていた。


 この緊迫した事態に、混沌の闇にすべく、四つの王国での連合国が建国された。


 そして、連合国は、混沌の闇への対抗として、魔獣討伐を目的とした冒険者制度を設立した。

 クラスに応じた魔獣を討伐する事で、相応の報酬を貰える制度で、下級クラスであっても、一般市民の年収の3倍程の報酬を貰う事が出来る。


 金に目のくらんだ力自慢達が、こぞって冒険者になっていった。

 しかし、魔獣に対する知識や戦闘技術を1ミリも持たない冒険者の多くが、無念にも血を流し倒れていった。


 それでも、その報酬の大きさに、冒険者の志願者は減っていくことは無かったのであった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ここは、ルーナティア王国、辺境の都市セレーネ。

 セレーネは、混沌の闇から支配された国々からは最も遠くの場所に位置し、そのせいか下級クラスの魔獣しか出現しない。

 そのため、自分の力を磨くために、多くの新米冒険者が集まる「始まりの都市」と呼ばれている。


 セレーネの冒険者ギルド。

 換金所には、多くの冒険者が列をなしていた。


「次の方どうぞー」


 換金所の受付に座るウサギの耳が愛らしい兎人の女の子が手を挙げ、こちらへと案内する。


 すると、一人の少女が誇らしげな顔をして、受付の前へとやってきた。

 150センチ程の華奢な体で、毛先をふわりとさせたきれいな赤髪のショートボブ、目がクリッとした可愛らしい少女であった。

 少女の右手には、先端に楕円形の赤い宝石が埋め込まれた木製の長いステッキを握りしめている。

 華奢な彼女には、何とも不相応な印象であった。


「はぁー、またですか、リーベルさん」


 兎人の女の子は、大きくため息を着くと、呆れた表情でリーベルを見る。

 しかし、リーベルはそんな態度にも屈しないかのように、堂々とした態度で、着ていた白のローブのポケットからパンパンになった小袋を受付のテーブルに置く。

 そして、小袋のリボンを解くと、豪快に小袋を逆さまにし、中に入っている物をテーブルに出した。


 テーブルには紫色の小さな正八面体の結晶が10個程散らばる。

 兎人の女の子は、またかと言わんばかりの呆れ顔で、散らばった結晶をテーブルの中心へとかき集めた。


「また、鳥魔獣バルドの魔晶ですか」

「そうよ!昨日は、9個しか取れなかったけど、今日は12個よ!ヘヘーン、すごいでしょ!」


 リーベルは、鼻をこすりながら自慢気に兎人の女の子に答える。

 しかし、兎人の女の子は、唖然とした表情を浮かべている。


「リーベルさん、何回も言いましたけど、バルドは、魔獣の中でも最下級の魔獣ですよ。一般の市民でもボウガンさえあれば仕留めれますよ」

「うっさいわね!つべこべ言わずに早く換金しなさいよ」

「はいはい」


 そう言うと兎人の女の子は、小型のルーペで一つ一つ魔晶の状態を確かめる。

 数分後、全ての魔晶の観察が終わると、2個の魔晶をテーブルの端に避けた。


「使いものになるのは、この10個だけですかね。後は、とこどころに傷や欠けている箇所があって使いものにならないですね」

「ちょっとどういうことよ!私の保管状態が悪いってわけ!」

「保管状態というよりも、あんなに乱暴に魔晶を放り出したら、傷が付くのは当然でしょ」


 正論を言われ、口籠るリーベル。

 恥ずかしいのか顔を真っ赤にさせている。


「とっ、とにかく!いくらになるのよ」

「えーと、バルドの魔晶10個で、2ガリウスですね」

「ちょっと待ってよ!昨日と全然変わらないじゃない」

「そりゃそうですよ。最下級の魔獣の魔晶なんて、1つ増えようが値段は一緒ですよ」


 そういうと、兎人の女の子は、銅貨二枚をテーブルの上に差し出した。

 すると、リーベルは"チェッ"と舌打ちをし、荒っぽく銅貨を手にすると、不貞腐れた表情で受付から去っていった。


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