6年1組 01番 相川鉄郎
学校教育において『日記』というものは、非常に便利なシステムだと思う。
なぜなら単純な国語力だけでなく、児童の人となりや私生活をごく自然に知ることが出来るからだ。
新学期を迎え、生徒の人となりを知るべく僕は、用意した日記帳に日記を書くという課題を新クラスの児童に行ってもらう事にした。
出席番号1番の子から順に日記を書き、僕に提出してもらう。帰りまでに僕が確認して、次の子に渡す。その繰り返しだ。休日はこの流れが出来ないのを考慮すると、回り終わるのは来月になるだろう。
そして今日、記念すべき一人目の児童の日記が目の前にある。僕は不安と期待を胸に日記帳を開いた。
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6年1組 01番 相川鉄郎
昨日は、宿題をしたあと、友達の良介と遊びました。良介は最近出たゲームを買ってもらっていたので、良介の家でゲームをして遊びました。
夜雨が降るという天気予報だったので、暗くなる前に家に帰りました。また遊びたいなぁと思いました。
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「ほうほう、計画的で感心だなぁ」
宿題もちゃんとやってるし、ちゃんと暗くなる前に家に帰っていて偉い。僕は日記の下に【先生のひとこと】と書き、短いコメントを書いた。
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【先生のひとこと】
計画的な毎日を送っていて良いですね!
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次の子に渡す日記にコメントなんて書いても当の本人には伝わらないのだが、日記に付いたコメントを見る口実で日記帳を持つ子に話しかけたりして、新学期の交友を深めてくれれば幸いだ。
明日からの日記に期待しつつ、僕は日記帳を閉じた。