海洋国家・マグダラ1-3
「あ、姫様!謁見は終わったみたいですね」
愛機の待つドックへと向かっていたボニーリードに少女が声を掛ける……が、一瞥もくれずにすたすたと歩き去ってしまった。
「……ちょっとぉ!姫様、無視しないで下さいよ!」
コンパスが違うからか小走りの少女はそれでも必死に追い縋る。
「無視してねぇ。早く【トライソウル】の所に行きたいから急いでただけだ。お前に返事する時間が勿体ねぇ」
「それを世間一般じゃ無視するって言うんですよ姫様!」
「うっせぇな……で、何か用かラカム」
少女__ラカムは漸く構われたことが嬉しかったのか満面の笑顔を浮かべ、話し始める。
「えっとですね、【トライソウル】の改修のプランなのですが【Maria】を二丁にし、近接用のサブアームも追加しようという案が出ていますが……」
「あー……サブアームはこれ以上要らねぇ。寧ろ減らしてくれ、【Maria】を二丁持ちするなら、これ以上武装を増やすと沈むからな。シーフレームが海に沈むとか冗談にも程があるだろ」
「分かりました!本国の方にそう伝えますね!」
「おう、任せる。っと、ついたな」
二人の歩みが止まる。目的地についたのだ。
左半身は大破、武装も同じく。右半身はまだましという風情だが、動かすのは無理だろう。
ボニーリードのマシナリー【トライソウル】はスクラップも同然の状態であった。
「本当に運が良かったです……姫様が無事で良かった」
「良かねぇよ……本当にボロボロだなぁ、ええ?【トライソウル】」
いとおしげに【トライソウル】の潰れた左腕を擦る。愛すべき相棒の無惨な姿、何の感情も浮かばない筈がない。
「……次は、絶対に勝つ。お前と一緒に、絶対だ」
【用語説明】
何もない(´・ω・`)