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翡翠楽士・紅榴兵器2-3

「……ごちそうさまでした」


「私の奢りかコレ……次の戦闘の時はこのことを考慮してもらうからな傭兵」


「……考慮する」


彼女は食後のコーヒーに口を付け、一息つく。


「しかし、ふむ……そういえば、それなりに付き合いは長いが名乗っていなかったな。私の名はクリファ・イス・サファイア、好きに呼んでくれ」


「……分かった」


「お前のことも何時までも傭兵と呼ぶのもなんだからな、ついでお前の名前も教えてくれないか?」


傭兵がふむと口許に手を当て考え込む。一口二口とクリファがコーヒーを飲み、漸く傭兵は口を開く。


「……マリリン」


「は?」


「そう……昔呼ばれたことがある……アンちゃんという、パターンもあった」


「それは……随分と個性的な呼び名だな」


陰鬱な雰囲気を漂わせている傭兵をそのように呼ぶのはクリファには天地が引っくり返っても無理だ。それが分かっているのか、傭兵は口を閉ざす。


「……じゃあ、これまで通り傭兵と呼ぶことにするぞ」


「うん……それでいい」


「あー……前に、私の頭を撫でたのは何故なんだ傭兵よ」


「……女性が泣いていたら、慰めるのが……男の甲斐性だと思うが……?」


「泣くことになった原因に慰められるのも中々に困るのだが……」


「そうか……最近は、そういうものか」


傭兵が黙り込む。沈黙による重い空気が辺りに流れ始めた。


「えっと……お、お前が女性相手にそういう甲斐性を見せるとは思わなかったな、正直驚いたぞ!」


「…………」


沈黙。


「そ、そういう甲斐性は大事だ。うん、きっとモテるぞ傭兵!」


「…………」


沈黙


「…………」


「……無理に……話しかけなくて……いい」


目を逸らしながら傭兵が呟く。


「そ、そうか……分かった。うん」


「……私に、気を使わなくて……いい。どうせ、雇い主と傭兵……金の関係だ」


「それではあまりに淡白過ぎるだろう。別にもう少し仲良くなってもいいだろう」


「そして、あわよくば……私を軍に、引き込む?」


「そうだ、いずれはお前を帝国の一員に……ハッ!?」


「……あなたは企むのは……あまり、得意ではなさそうだ」


ほんの少しだけ口角を上げ、傭兵は店を後にする。




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