海洋国家・マグダラ1-9
「……以上が顛末だ」
「お前とあの女の子が何か企んでいるなーと思ったら……はぁ」
「……これは依頼ではないので、報酬は要求はしない」
「したらキレるぞ、私」
「……そうか」
デスクに突っ伏した彼女が何を呪っているのかぶつぶつと怨嗟の声を上げるのを傭兵は何の感情も感じていないような顔で見下ろす。
「……回収した、マシナリーの頭部は引き渡す。メイスは貰う」
「あーあー、もーいー……すきにしろ」
「……分かった」
怨嗟の声が涙混じりの声になり始める。そのまま退室するかに見えた傭兵だが、何を思ったのか彼女の元に引き返す。
「なんだ、まだなにかあるか」
「…………」
何も答えない。ただ、突っ伏したままの彼女の頭をぽんぽんと音がするかのように優しく撫で叩く。それを行うと、今度こそ傭兵は無言で部屋を出る。
「…………………………は?」
わけがわからないと言いたげな彼女の声が部屋に響いた。
ーーーーー
「お土産ありがとうねー!!いやー、これいいねぇ!」
端末を指で叩き、ラットはくるくるとその場を回る。
「振動停止による凍結かぁ、面白いこと考える人間もいるよねぇ。色々便利そうだし、パクっちゃおうかな」
「…………」
「形状はどうする?」
「……任せる」
「任せるという名の何でもいいだね!そういうのが普通は一番困るんだよねぇ……アタシは普通じゃないけど!」
フンフンと鼻歌を歌いながら、ラットは倉庫の奥へと歩き去る。残された傭兵は何も言わず、隅に寄って座り込み、ラットが戻るのを待つのだった。
【用語説明】
なんもないよ(´・ω・`)