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幻影の町

 漫画だと思ったが、読んでみるとなるほどと思う


 「これが魔法少女ってもんなのか」


 そこには授業で出て来たことのほとんどが載っていた、後から聞いた話だと元魔法少女が書いた漫画で魔法少女としての全てが詰まった入門書なのだそうだ。


 「へぇー、こんな事考えなきゃダメなのか」


 勉強にはなるが、やっぱりよく分からんな

 うーんうーん唸っていると


 「教えてあげようか?」


 瑞樹が話しかけて来た。


 「お、おう頼めるか?」


 コクリと頷き瑞樹は俺の隣に座る。


 「何処が分からないの?」


 おどおどしながらも瑞樹は俺の疑問に丁寧に答えてくれる。優しい子だと思う。


 「愛の力ってのがな」


 「愛は難しい、でも修復の魔法は壊れる前のイメージを強く持つといい、魔法はイメージ力が強い人が強い」


 「イメージは分かるけど、やってるんだけどな」


 「多分細かく考え過ぎてる、アバウトな方が上手くいく」


 「えっ! そうなのか?」


 それは意外な言葉だった。だって細かくイメージした方がいいだろう


 「細かくイメージすると本物と少し違うだけで、違う物と判断してしまう。違う物と判断したら発動しない」


 「それはそうだけど」


 「車ってイメージするのと、車種を細かく決めて排気量から何から完璧にイメージするのは難しい」


 なるほどと思う、確かに車種が違えば違う車だ。車とイメージすれば出来るものを車種まで指定しなければならないなら膨大な知識量がいる。


 「だからアバウトな方が上手くいく、もっと言えば魔法でやれば直るって強く思う方がいい」


 「強く?」


 「魔法の力を信じた方がイメージが固まりやすい、出来るって信じるそれだけ」


 「なるほどね」


 そこで下校時刻のチャイムが鳴る


 「私もう帰らなきゃいけない」


 立ち上がる瑞樹に


 「ああ、今日はありがとな」


 コクリと頷き最後に小声で


 「バイバイ」


 そう言って去っていく瑞樹に


 「ああまた明日な」


 俺は初めてのクラスメイトとの交友に少し嬉しくなりながら帰路につく、その帰りしな不思議な事に巻き込まれる。


 「うにゃーん!」


 「うぉ! 猫か」


 帰宅するときは既に日が落ち、辺りは真っ暗だった。


 「すっかり遅くなったな、腹減ったし飯食ってくかな」


 そんな事考えながら、ふと路地裏から不思議な物体がフヨフヨ浮いていて俺の目の前を横切る


 「な、なんだ!」


 この世界、大抵の不思議な事はスーパーブラジウムで説明できるようになり、魔法の国の存在まで確認されて国交まで結ばれている。異星人だって確認されてるし、たまに侵略にも来る。

 でも不思議な物は不思議だった。


 「あっ!」


 フヨフヨしながら物体は路地裏の奥に行ってしまう。好奇心が勝ったのか腹を空かしてるのを忘れて追いかけてしまう。


 「何処まで行くんだ?」


 不思議な物体を追いかけて路地裏を進むが、進めども進めども終わりが見えない、近所にこんなに長い路地あったけ? そう思いながら進んで行くといきなり目の前が光に包まれ


 「うわ!」


 目の前に俺の全く知らない街が存在していた。


 「なんだここ?」


 「幻影の町かな?」


 「知ってるのかミミティ」


 「多分幻影の町だと思うよ、人の狭間の世界に存在する町、それが幻影の町」


 「ほーん、入っても平気か?」


 「大丈夫だけど、悪の組織の隠れ家とかあるから気をつけてね」


 「えっ、そうなのか?」


 「幻影の町は人が認識するには特殊な力がいるからね、闇に近いと言えばいいのかな、そういう人ほど見つけやすくてね、悪の組織はそういう人材に事欠かないからね」


 その時ふと思う、あれ俺闇なのか?


 「うーん、多分違うと思うけど、別に闇だから悪というわけではないよ。どちらかと言うと光の方が多いくらいさ」


 「そうなの?」


 「だいたい悪の組織を作る奴らの目的は世界征服、そんな人達の最終目標は世界平和なんだよね、で性質光ってのも珍しくないんだ」


 「なんでそんな奴らが」


 「思想犯なんてそんなもんさ、自分が絶対に正しいと思ってるんだよ」


 「ミミティはそんな奴らと戦ったのか?」


 「僕はあまり、今の魔法少女のエースのマスコットが同期なんだけど、よく愚痴ってるんだよね」


 ミミティはやれやれといった感じで喋る


 「人はよく分からないよ」


 彼らマスコットは人に近いところで生活していても、やはり人とは違うんだろうと考えてしまう。


 「まあこの街に幻影の町があるのは知らなかったけど、見学してけばいいよ、ただし注意してね」


 「あ、ああルールがあるのか?」


 「そう、幻影の町のルールは争い事の禁止だよ、暴力反対ってやつだね」


 「違反したら?」


 「次元の狭間にポイされるのさ」


 「そうなったら?」


 「永遠に出られないよ」


 「マジかよ」


 「まぁ、だからこそ絶対に安全だとも言えるけどね」


 「もしかして悪の組織の隠れ家も」


 「見つかっても捕まらないのも理由の一つかもね」


 「なるほどね」


 とりあえず幻影の町とやらを探索する、住人がちらほらいるが人間? だとは思うが地球人かは分からない住人ばかりだった。


 「ちょっと待ってリョウ」


 歩いているとミミティが止まれといってくる。


 「どうしたミミティ?」


 「まさか、そんなここにあったのか?」


 ミミティは俺の声が聞こえないのか目の前の、多分飯屋に釘付けになっていた。


 「ミミティ?」


 「はっ、ごめんよリョウ、ここにあるとは思ってなかったから」


 「えーとこの店が有名なのか?」


 「この店は【魔導堂】魔法に関わるものにとっての聖地さ」


 「聖地?」


 「魔導プリンが有名でね……」


 そこからマシンガンの如く喋るミミティに


 「入ろうぜ」


 「そうだ行こうリョウ!」


 魔導堂に入っていくのだがミミティは終始テンション高めだった。

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