図書館の出会い
入学して一週間、俺は学校中から変態扱いされている。
「ねぇあれ」
「本気なの?」
「うわぁー」
出来るだけ変身してろ、その言葉を撤回させるのに一週間かかったとも言える。
「魔藤、お前は実技の時間以外は変身するな」
全く遅いぜ、先生、おかげで俺はこの学校で彼女を作るのを諦めた。
しかし一週間授業を受けていて分かったが、どうやら俺は落ちこぼれらしい
「魔藤、もっと愛を込めろ!」
「魔藤、希望を無くすなバカモンが!」
「魔藤、ハートの強さだ!」
こう見えても中学では全国模試で1位になった事もある。言えば完璧人間と言われたもんだ、言われたもんだったよ……はぁ!
なんだよ愛って、精神論で強くなるならまだ分かる、授業を受けて魔法は精神に強く依存することは分かった、だから精神の強さが強さに直結するのは分かる、だが愛ってなんだよ、抽象的すぎるだろ、誰かを想う力だとか、守りたいとかなら分かるんだが、教師にそうなのかと聞くと「愛は愛だ、なんでわかんねぇーんだ、ポンコツ」と言われた。教える気あるのかクソ教師は
ちなみに破壊する魔法はそこそこ使える、だが周りの奴らみたいなみんなを癒したり、破壊した物を直したりする魔法は使えない、てかどうやってるんだ?
魔法少女の人気は高い、オタクや小さい子に人気なのかと思ったら、主婦に一番人気らしい、悪と戦った時に被害が一番少ないし、飴をあげたら美味しそうに食べるかららしい、飴?
トップの魔法少女ほど被害にあった街を元に戻す力が強く、見学に来たヒーローマニアなんかは特殊能力者や変身スーツを着込んだヒーローの方が派手で人気があるのだが、やはり住人からしたらアフターケアの優れた魔法少女の方がダントツなのだ。
だからこそ学校で元に戻す魔法を重点的に教える、この魔法を使う為に愛だ、勇気だと言うのだが、それがいっこうに分からない
仕方ないので図書室……いや図書館だな規模的に、この学園の図書館は蔵書数五千万、国立図書館を超える世界一の図書館になる、ヒーローとして世界を飛び回るから全ての国の本を集めてるらしい、でも名称はWSS学園図書室だ、アホなのか?
俺は地上三十階立ての図書館の魔法少女の本が集中している10階に来ていた。
俺はウロウロと修復魔法でいいのかな? その本を探していると、フッと視線を窓に移すとそこにクラスメイトだった。
「よぉ、確か同じクラスの【倉石 瑞樹】だったよな」
俺が声をかけたのは、クラスでいつも一人でいる女子だった。瑞樹はただ頷いて本から視線を外さない
「お前本好きなのか?」
頷く瑞樹
「そうか、あのさ修復魔法でいいのかな、それが詳しく載ってる本を知らねえか?」
瑞樹はクラスで唯一、俺を気持ち悪いと言わない、まぁ興味が無いだけみたいだが
「こっち」
「案内してくれるのか、ありがとよ」
「別に」
俺は少し嬉しかった、クラスの奴ら全員にキモいと言われて平常心を失わないようにしていたが、やはり凹むことは凹む
「これがいいと思う」
瑞樹が一つの本を指差す
「これか、助かったよ」
「いい」
そう言って瑞樹は先ほどの席に戻り本を読む、少し顔が赤かったのは気のせいだろう。
俺も空いてる席に座り、本を読む、なになに【魔法使いの女の子 ラームミキュン】か、俺は一旦本を閉じ
「漫画じゃねえーか!」
と突っ込むことにする。