遠足は遊園地へ
うぐぐぐ、だめだ、朝からかなりの筋肉痛だ。
師匠は朝からかなりハードなトレーニングを課してくる。
今日なんか10キロを三十分以内で走れと言われた、はっきり言って無理だろ、まあ走ったけど
師匠の課題はオリンピアクラスを軽く凌駕しなければダメなレベルである、しかし師匠からすればヒーローなら出来て当然らしい、マジかよと思ったが逆らうのも怖いから従ってる。
「はぁ、未だに基礎トレーニングだけなんだよな、お前は身体が出来てないって」
「確かにリョウはまだまだひよっこだよね、ヒーローになりたいならもっとムキムキにならなきゃ!」
「そうなのか?」
ミミティは最近、師匠の側で俺をシゴくのが楽しいらしく、こうして煽ってくる。ふん人の気も知らないでいい気なもんだよなマスコットって
「リョウはカラーテをやってたって聞いたけど、あのレベルじゃヒーローは無理だよ」
「うぐ、こう見えても全国制覇したんだぞ!」
「そりゃブラジウム利用しない大会なんて参考にならないね、リョウはまだまだ一般人ってレベルだからね、もっと頑張らなきゃ」
「はぁ、分かってるよミミティ」
まあ確かに俺が手も足も出ない三島さんを簡単にやっつけるのが敵の怪人と呼ばれる連中だ。今のままではダメだと思っている、思ってはいるが
「じゃあ皆さん今日は遠足の案内と班を決めますよ」
「「「「はーい!」」」」
なんやねん、なんでやねん、なんで高校生にもなって遠足やねん、しかも
「さてデスティニーランドに決まったわけだが」
「きゃー、私、デスティニーランド初めてです」
「えー、そうなんだ私は去年パパに連れてってもらったよ!」
「ええ、いいなー」
「もう遠足で行くんだよ、楽しみだよ」
「騒ぐな、静かにしなさい」
教師が注意する、まあデスティニーランドは世界的に有名なキャラクターがいる遊園地だ。女性に大人気なのも分かるが、こいつら高校生だろ流石にテンション高すぎだろ。
「まずは弁当は持参だ、忘れるなよ」
「「「「はーい!」」」」
「おやつは三百円までだ」
「「「「はーい!」」」」
ここでお約束のバナナのくだりは誰もしないか、まあああ言うのは調子のいい男子がするもんだからな
「先生!」
そこでエリナが手を挙げる、おおここでバナナのくだりをする気か?
「なんだねエリナさん」
「食後のティータイム用のデザートはおやつに入りますか?」
「入ります」
即答のティーチャー、それは入るだろ普通と思ってると
「そんな先生、三百円ではデザートの準備なんて不可能ですわ!」
驚愕のエリナだ、お前どんだけのお嬢様なんだと思ったが、よくよく周りを見るとエリナ同様驚愕の表情をしてる生徒がちらほらしていた。お嬢様率高くねこのクラス!
「これは授業の一環だぞ我慢しなさい!」
教師も毎年言っているのか、慣れたようにエリナを諭す
「ああ、それで班決めだが、入学したてのお前達に幅広く交友を持ってもらいたいからな、クジにする、分かったな」
「「「「えっ!」」」」
全員が驚いて俺を見て、すぐに顔を晒す、どうやら俺と同じ班になるのが嫌らしい、大丈夫俺は強い子だ泣いてなんかいない、グスン
「じゃあ一枚ずつ引いていけ」
そう言うと教師がクジを持ちながら席を回る、おっと俺の番か、どーれゴソゴソと、えい! と引いたのは五か!
「それじゃ書かれた番号に集まれ」
と言うので五番の班に向かうとそこにいたのは
「あなたは!」
エリナと
「あっ、あの」
瑞樹と
「はわ、魔藤くんだ!」
黒髪でクラス一の巨乳でおっとりした女子の神宮寺沙織だ。
「お前達が一緒か、よろしくな!」
俺は精一杯爽やかに挨拶したが
「ふん!」
エリナはそっぽ向き
「ぁぁ」
微かな声で何かを言おうとする瑞樹と
「はわ! あわわよろしくです」
なんとか挨拶を返してくれた沙織、はぁこんなメンバーで無事に遠足なんて大丈夫なのかな?
「デスティニーランドか、あそこは魔法の国のエリートがよく就職するんだよね、あいつが就職してたな?」
どうやらデスティニーランドは魔法の国資本の企業らしく、マスコットも大量にいるらしい
「エッリート過ぎる僕なんかはいかないんだけどね、エッリートな僕はね」
やたらエッリートを強調するミミティ、後で聞いた話だがデスティニーランドの面接で落ちたらしい、なるほどと思ったよ。
「それでは班長を決めろ!」
教師のその言葉に
「私は嫌ですわ、貴方がしなさいよ!」
「あの、私は魔藤くんでいいよ」
「はわ、私も魔藤くんで構いません、はわわ」
こいつらナチュラルに俺を班長にしやがった、遠慮するように押し付けやがった。
「いや、ちゃんと話し合わないと」
なんとか話し合おうと提案したが
プイ!
と全員が顔をそらしてしまった。くそなんて女どもだ。
「なんだ五班は魔藤か、よし班長は遠足のルートを決めて後で報告しろ、じゃあ話し合え」
こうして話し合いをしなければならないのだが
「じょあみんな? どこを回るんだ?」
「好きになさいな」
エリナなそう言いながらルート決めの為の地図のマウンテンコースターのエリアを凝視してたので
「じゃあマウンテンコースターでいいな」
「貴方が行きたいならそこでいいですわ!」
笑顔になりながら答えるエリナ、少し可愛い
「瑞樹は希望あるか?」
「えっと、あの」
瑞樹はシーエリアを凝視していた、いや言えよと思ったが
「シーエリアを入れとくよ」
「うん」
素直に頷く瑞樹、まあ可愛いが少し自己主張をしてくれないかな?
「沙織は?」
「ほへ? あわわ」
ナレです、沙織ちゃんはこの時いきなり下の名前を呼び捨てで呼ばれて慌てています。彼女からしたら大きな身体をしたリョウ君に少し怯えていますが下の名前で呼ばれると少し嬉しいのも乙女だからでしょうか
「ん? 希望はないか?」
「えっと、えっとここがいいです」
沙織が指差したのはお城のエリアである。デスティニーランドの象徴的なお城があるエリアである。
「お城のエリアか、じゃあここだな、じゃあルートはこれでいいか?」
「お待ちなさい、貴方の希望は?」
エリナが聞いてくる、どうやら俺の希望が入ってないことが気になったらしい
「俺はいいよ、正直子供臭いしな、お前達女子の好きなところ回りなよ」
そう俺としては関西にある、SSSと言うテーマパークなら喜んで行くのだが、まあデスティニーランドみたいなとこは正直興味が無かった。
「私達に気を使わなくてもよろしいのよ、貴方も好きなところを言いなさい!」
どうやらエリナは俺の事を心配しているらしいが、本当に今回の遠足は付いてくだけだと思うので
「本当にいいよ、デスティニーランドなんて女子向けだろ、俺はそこまで興味ないからな、お前達が行きたいところで十分さ」
「そ、そうなの」
エリナは大人しくなる、残りの二人も気まずそうにしてる。うーん本気でどうでもいいのだが
「なんだいリョウの希望が無いなら僕の希望でいいかい?」
そんな時にミミティが入ってくる
「おいミミティ! マスコットが前に出すぎるなよ!」
「そうだよ、ミミティ!」
「ミミティはそう言うとこあるよね」
俺の目の前にミミティとエリナのマスコットのプルル、瑞樹のマスコットのコルン、そして沙織のマスコットのレールが机の上で口論を始めた、三人は少し驚いていたが俺はマスコットなんてこんなもんだと思っていたので気にせず眺める。
「なんだよ、僕はねシャイなリョウの代わりに言ってあげるんだよ!」
「嘘だね、リョウは本当にどうでもいいと思って顔してるよ、君はマスコットなのにリョウに甘えすぎだよ、マスコットは魔法少女を助けるのが仕事だろ!」
プルルと言うマスコットはいい事を言う、もっと言ってやってくれ
「はん、古いよプルルは、助けてばかりでは少女は成長しないよ、あえて厳しくするのもマスコットの仕事だ!」
「うぐ!」
えー、明らかに口から出まかせ言ってるだけなのに、うぐ、とか言ってるよこのマスコット、使えないな
「くそ、流石ベテランマスコットだ」
「ふん、君たち若手とは年季が違うのさ」
マジかよミミティの方が先輩なのか、先輩なのに後輩の方がまともだよな
「と言うわけで、このフードコートは外せないね、何たってデスティニーパフェは全マスコットの憧れだよ!」
「「「はっ!」」」
何故かミミティの言葉に他のマスコットの様子が変わる。
「そうかデスティニーパフェはデスティニーランドでしか食べれない」
「僕たちマスコットがデスティニーランドに入るためには契約者同伴が必須」
「つまりこれはチャンスじゃないか!」
三匹のマスコットはそれぞれの契約者の顔を見る、それは純粋な眼差しだった。
その眼差しを見た三人は
「分かりましたわよ!」
「別にいいよコルン」
「はわわ、凄い眼差しです、分かりましたレール」
根負けする三人と
「はぅ、分かったよ」
「もう仕方ないな」
「はいはい」
クラスのそこら中でパフェを求めるマスコットの眼差しに負ける少女達が現れる。
ちなみに
「お前もかストール!」
「えっ、いや機会ってなかなかね」
教師のマスコットもパフェがご所望らしい、マスコットって甘い物が好きなのか?
そんな事があって遠足の日がやってくる、この学校初めての行事が遠足なんだな、ちなみに何故か魔法少女科しか遠足に行かないらしい、本当に魔法少女科だけがこの学校で特別なんだよな。