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弟子入り

「麗華さん待って下さい!」


 俺は大声で麗華さんを呼び止めた。


 「なんだい少年?」


 「俺を弟子にして下さい!」


 俺はこれでもかってくらいに頭を下げた。


 「弟子かい、うーんどうしたものかな?」


 麗華さんは何かを考えている。


 「私としても弟子を取るのは構わないけど、君の事を知らないからね。私の訓練についてこれる者じゃないとね」


 麗華さんは否定はせずに、訓練の過酷さだけを匂わせる。


 「ついていきます、俺! あなたの蹴りに魅了されたんです、あんなに美しい蹴りを見たことありません」


 「そ、そうかい、いや〜まあ私の蹴り技は確かに完璧だからね」


 どうやら麗華さんは褒めると調子に乗るタイプの様だ。


 「お願いします、俺絶対になるなら蹴り主体のヒーローになりたいんです!」


 「少年!」


 いきなり麗華さんに両肩を掴まれこう言われる


 「そうだ少年、ヒーローの必殺技は蹴りと決まっている。これが真理だ! 少年はそれをよく理解してるな、あははは」


 麗華さんは高らかに笑い


 「よし君を立派なヒーローにしてやろう、目指せブライザーキックだな!」


 「はい!」


 ブライザーとは懐かしいな、子供の頃よく親に見せられたよ。確かにあの蹴りはカッコよかった。


 「最近はまがい物のブライザーがいるが、あんな物ではダメだ! 真のキックを放つにはたゆまぬ鍛錬が……」


 麗華さんはここから延々とキック談義を始めた。最初は集中して聞いていたが最後の方の誰かの愚痴は聞き流していた、しかし長いな〜


 「それでは行こうか少年? そう言えば名前を聞いてなかったね」


 「魔藤、僕は魔藤亮です」


 「リョウか、よろしく私のことは師匠と呼びなさい」


 「へっ?」


 「師匠だ、分かったね」


 「はい師匠!」


 師匠はウキウキしながら歩き始める小声で「きゃー師匠って呼ばれるの夢だったのよね」と言うことは聞かなかったことにする。


 「師匠何処へ?」


 「ん? 私の拠点だね、そこで早速訓練をしようかリョウ」


 「はい」


 こうして向かったのは少し古い20階建のビルだった。


 「ここの何階ですか師匠?」


 「何を言ってるんだいリョウ、このビル全て私のものさ!」


 「へっ! 全部ですか?」


 「そうだよ、なかなかの値段だったよ」


 俺は師匠がかなりの金持ちだと思った、何故ならここは新宿のど真ん中、そんな場所にあるビルを丸ごと買うなんていったいいくらしたのか?


 「さぁリョウここの地下が修練場だよ、きたまえ」


 「はい」


 俺は麗華さんに連れられ地下に降りる、そこにはただの駐車場があるだけだった。


 「あの〜師匠、ここ駐車場じゃあ」


 「何を言ってるリョウ、ここは修練場だよ車も止められるけどね」


 「あっ、はい」


 俺は気にしないことにする、まあある程度の広さがあれば訓練は出来るしね


 「じゃあリョウ最初の訓練はあれだ」


 師匠が指差す方向に目をやるとそこには大量の段ボールと家具などがあった。まさか


 「あの師匠?」


 「運ぶのよリョウ!」


 「えっと、ですが?」


 「運ぶのよリョウ!」


 「あの〜」


 「運ぶのよリョウ!」


 「はい」


 俺はがっかりしながら引越しのお手伝いをする事にする、まあ初日だし仕方ないか

 と思ったのだが


 「ほらリョウまだまだトラックは来るわよ!」


 「どんだけあるんだよ!」


 でかいトラックが五台来た、終わる頃には日は既にまたいでいた。


 「あっ、終電もうないや」


 「終電?」


 「ああ、俺の家結構遠いんですよ」


 「何を言ってるリョウ」


 麗華さんは驚きの言葉を告げる。


 「弟子は住み込みが基本だろ、ほら早く飯を作れ!」


 「へっ!」


 「いや〜弟子とは師匠の身の回りの世話もするんだぞ、ふふ頑張れよ」


 「ええー!」


 こうして俺はここに住む事になる、親が反対するのかと思ったが


 「弟子入りしたんだリョウ、頑張りなさいよ」


 「とうとうお前も独り立ちか、男だな」


 と一切引き止めなかった、あっさりしすぎじゃない?

 と言うわけで朝練をして学校に行き、放課後は訓練、終われば家事全般とハードな高校生活を送る事になった。ちなみにミミティは


 「僕は魚より肉派なんだ、リョウ頼んだよ」


 と麗華さんの肩の上で語っていた。強者に取り入るのが上手い奴である。


 「リョウはWSSの生徒か? 変身ヒーロー科か?」


 「魔法少女科」


 俺はボソッと言ったのだが


 「ぷっ、あははは! なんだリョウお前魔法少女だったのか!」


 こうして麗華さんの大爆笑から俺の新生活が始まるのだった。

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