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グリプスター

 「三島さん」


 「リョウこの場から離れろ、速く!」


 「でも三島さんその怪我!」


 「この程度どうとでもなる、速く逃げろくるぞ!」


 「なにが」


 その時爆風の中から怪物と言えばいい姿の化け物が現れる。


 「ひゃーひゃひゃ、この程度かヒーローてのはよ」


 その姿は三メートルはあろうかと言うほどの巨体で頭には羊のようなツノが生えており、物語に出てくるサテュロスの様だった。


 「お前は?」


 俺が尋ねると


 「なんだぁ、ガキが紛れ込んでるじゃねえか、いいのかいグリプスターさんよ」


 「くっ」


 グリプスターってのは三島さんのヒーロー名だ、三島さんは警視庁に所属しながらヒーローをしている、変身ヒーローの一人だ。引退間近だが


 「リョウいいから逃げろここは危険だ!」


 分かってるヒーローの邪魔をする訳にはいかない、市民は避難するのがルールだ。

 だが俺は逃げない、さっきの爆発のおかけで退路が火の海だ。正確には逃げれないだがバレるとカッコ悪いのでカッコをつける。


 「三島さん不利なんだろ手伝うぜ、こう見えても未来のヒーローだしな!」


 本当は逃げたいが逃げれないと泣くのも情けない、カッコをつけていよう。


 「馬鹿を言うな、速くあそこから……」


 三島さんが後ろを見る、そこは火の海、それを見た三島さんは


 「くっ、退路が無いのか」


 俺がとぼけた顔をしているのを見て三島さんも気がついた様だ。伊達に何年も顔を合わせて来ただけはある、逃げれないと泣き言を言う性格

で無いことを悟られる。


 「なんだ逃げないのか? 小僧大人の世界に足を踏み込むのはまだ早いぞ」


 敵さんにはバレてない、正直どうしたらいいか分からないが一応魔法もある、滅茶苦茶恥ずかしいが魔法少女になれば少しは役にたつだろう。


 「リョウ、お前の事だカッコ悪いとかアホな事考えてるんだろう、だが真のヒーローの戦場は報道されない何故か分かるか?」


 「えっ何を三島さん」


 「お前がWSSに入学したのは聞いた、逃げれないなら戦ってやろうと思って、ヒーローの卵だからなんとかなると思って、戦うなんて言ってるんだろ?」


 「えっ、いやその」


 ダメだ流石三島さん、すべてお見通しだった。


 「報道されないのは簡単だ。ヒーローと悪の戦いはお前が考えてる以上に残酷だ」


 三島さんのその言葉と共に変身する。グリプスターはスーツ技術の世界で言えば二世代は前の物だろう。グリプスターはヒーロー界では大ベテランで知られ俺の親が学生の頃から活躍していたらしい。

 現役を未だ続けてるとは言え、今のグリプスターは後進育成に力を注ぎ50になったら引退すると公言していた。

 そんな三島さんに俺は沢山お世話になった。推理をする様になったのもたまたま殺人事件に巻き込まれ疑われた知り合いを救う為に三島さんと協力して解決した。それ以来事あるごとに三島さんに世話になり、ヒーローの事も沢山教わった。

 だが三島さんの戦いを見た事は無かったな、そんな三島さんが戦う、残酷だと言って


 「光の使者の企み、ここで終わらせるぞ!」


 【変身!】


 三島さんがグリプスターに変身する。

 グリプスターの姿はシンプルな姿でメタリックな人形のロボットって感じだ。

 スーパーブラジウムの研究が今より進んでいなかった為に、エネルギーのほとんどを電力で補っている。

 力のほとんどが最新式に及ばないが、それを三島さんの経験が補い、未だに現役を続けられている。


 「ひゃーひゃひゃ、さっきも無様にやられたのに、まだ戦うのか? そのガキ連れて逃げないのか?」


 化け物が言う言葉に衝撃を受ける、そうだ三島さんは俺と会った時傷だらけだった。


 「ぬかせ、こうして五体が動く、それならばヒーロー諦めんよ」


 グリプスターが構える、俺からしたらその構えは完璧で一部の隙もないものだった。


 「ひゃーひゃひゃ、まあ死ねグリプスター!」


 俺は何がおきたのか全く理解できなかった。三島さんの本気の戦う姿を見て自分がどれだけ浅はかな考えをしていたのか理解する。


 『俺は子供だ』


 化け物とグリプスターの戦いは人間の戦いでは無かった、おそらく化け物が蹴りを放ったのだろう、その蹴りを受け流しその流れで裏拳をした、だが化け物は見えない壁の様なものでその裏拳を防ぎ、三島さんは蓮撃としてナイフの様なもので見えない壁を貫こうとした、そのナイフは壁を貫いたが化け物平然と躱す、そしてどこかに持っていた刃物でグリプスターを斬りつける、その間、まばたきの間ぐらいの時間だった。


 「三島さん!」


 自分の未熟差を理解するが、その間に三島さんは化け物にズタズタにされていく、そんな姿を俺は何も出来ずに見るだけだった。


 「ひゃーひゃひゃ、長年ヒーローしてるっつてもこの程度だ、我ら光の使者には勝てんよ」


 血だらけの三島さんを眺めながら何も出来ずに呆然としていると


 「惚けるなリョウ!」


 ペチンとミミティに頬を叩かれ、ハッとする俺


 「リョウこの場を離脱するにしても、助けに入るにしても惚けるな、考えるのを放棄した時ヒーローはただの能無しになるよ!」


 「ミミティ」


 「君はヒーローになりたいんだろ、ならこの場で最善を尽くせ、それがヒーローだ!」


 ハッとしたミミティに言われて俺は自分の愚かさに気づく、そうだこの場で出来ることをしなくては、悔しいが俺の力では三島さん達の戦いに入れない、ならば助けを呼びに行くべきだ。

 そう思い動き出す、火の海とは違う方向に


 「助けを呼ぼうミミティ!」


 「そうだね、それが正解だろう」


 そして走り出そうとした時


 「待てよ小僧!」


 一瞬の出来事だった。三島さんは倒れ俺の目の前には化け物が存在していた。


 「くっ三島さんが」


 「さっきまで俺と戦う気だったんだろ、いいぜやろうじゃないか、なぁ!」


 化け物が振りかぶった時にミミティが


 「変身するんだリョウ!」


 「くそ!」


 俺は変身する、魔法少女に

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