魔導堂
魔導堂に入る、結構流行ってるのかな? 客はそこそこいる。
「リョウ早く、早く、プリンだ!」
ミミティか急かす、テンション高いなぁと思いながら席に着き店員を呼ぶ
「すいません!」
「はーい」
長く綺麗な黒髪に、ピンクのフリフリの制服だろう服、スカートはミニスカートでハイソックス、いわゆる絶対領域という奴だろうか可愛らしい格好の筋肉モリモリの青ヒゲたっぷりの30代くらいのおっさんがやって来た。
「僕は魔導プリンだね、リョウは?」
「えっ、ああコーヒーを頼みます」
「はーい、コーヒーとプリンねかしこまりました、うふ!」
背筋に凄まじい寒気を感じながら、それを顔に出さずに堪える。クールに出来たはずだ。
「ふんふんふん、リョウどうしたんだい額に汗かいて?」
「いや、特にどうという事はないよ」
「ふーん、プリンプリン!」
ミミティは特に気にするでもなくプリンを待っている。しかし濃い人だなビビった。
それはそうとこの店喫茶店って訳じゃないのかな? いろんな道具があって値札が付いている。あれなんだろう? そう俺が一つの商品を眺めていると
「あれは魔導時計よ、はいコーヒー」
「えっ、あ、ありがとうございます」
「ふふ、貴方魔藤亮くんね」
「えっ? なんで名前を」
俺が疑問に思っている時ミミティは一心不乱にプリンを食べていた。
「なんて辛いんだ! 流石魔導プリンだー!」
辛いんかい!
「あら、魔導プリンは辛いのよ知らなかったのかなリョウ君」
店員がにこやかに笑っている。
「そのー、なんで俺の名を」
再度聞いてみる。
「そんな怪しまなくていいわよ、WSS学園の子といっても魔法少女の子たちしか来ないけど、噂になっているわよ貴方の事を」
「えっ! そうなんですか?」
「そうなんですよ、なんたって史上初の男の魔法少女でしょ」
「いやそれは」
「ふふ、隠さなくてもいいじゃない、リョウ君は有名よこの町で」
「えっそうなんですか?」
びっくりな事実を告げられる。俺、有名なのか、魔法少女として。
冷静に対応してるが頭の中は大混乱中である。
な、なんでだよ、俺が何したってんだよ最悪だうぎゃー!
と頭の中はグチャグチャだが話を続けている。
「ふふ、私も昔は魔法少女を目指したのよ、なれなかったけどね」
悲しそうにする店員、いや当たり前だろとは突っ込めなかった。
「あ、そうそうリョウ君の名前を知っているのに私の名前、言ってなかったわね、美琴よ」
明らかに偽名だが、いや決めつけはよく……名札に【林道 玄一】と書いている、よし触れてはダメなタイプだな
「美琴さんですか」
「ええ、よろしくねリョウ君」
この後、魔導堂は俺の行きつけとなる、美琴さんとも仲良くなりよく相談に乗ってくれるようになる。なんでも魔法少女になる為に血のにじむ努力をし夢叶わず、仕方ないので魔導王なんて二つ名が付くほどの魔法使いになりヒーローをしていた。現役ヒーローの時はトップスリーには入っていたそうだ。
「おかわり!」
「あら可愛いマスコットね、ちょっと待っててね」
美琴さんはプリンを取りに行く
「なんだよく食べるなミミティ?」
「当たり前だよ、当たり前だよリョウ、魔導プリンは年に一回食べれるかどうかの代物だよ、満足いくまで食べなければ」
呆れるほどに食べるミミティ、しかし金は大丈夫なんだろか?
「ふふ、いいマスコットだね少年よ」
「ん? 誰だあんたは?」
「いきなり話しかけてすまないね、私はそうだね人からは光の賢者と呼ばれているよ」
「光の賢者?」
「ああ、この世に平等な光をと願って活動しているうちにね」
「へぇー、それは凄いんですね」
「凄くはないよ少年、未だ道半ばだしね」
「はぁ、いいじゃないですか、俺は道半ばどころかその道を大きくそれてしまったよ」
「ほぉ、それたのかい?」
「せっかく第一希望の高校に入れたのに学科が違ったんだよね」
「ふむ、確かにそれているね」
「俺の心配は元に戻れるかだしな」
「くっくっくっ、元にか」
「おかしいのか?」
「いやそういうわけではないよ、私自身の事を思ってね、私も望んだ道からそれてしまってね」
「そうなんですか、で戻れて?」
「いや全く違う道に行ってしまったよ、そう全くね」
「戻れなかったのか?」
「どうだろね、私に友がいればもしかしてね」
光の賢者と自称した男は悲しそうに言っている。
「まあ、そんな時もあるのかな」
「そうだね、君も引き返せる時に引き返したまえ、魔法少女なんて男がなるものではないよ」
「ちょっと待て何故それを?」
聞こうと思ったら光の賢者はいなくなっていた。
「えっ、どこに?」
俺がアタフタしてると
「無駄だよリョウ、あれは光の賢者だろ流石の転移の術だな」
「知ってるのかミミティあいつを?」
「僕はリョウが知らないことにビックリだよ」
「えっ、そんな有名なのか?」
「光の賢者は有名だよ、でもこれより有名な名前があるね」
「それは?」
「光の使者の総裁、【加藤 桂馬】だよ」
「光の使者だって!」
「そうだよ、世界三大悪の組織の一つだね」
「えっ、さっきのあいつ、そこの総裁なのか?」
光の使者、その名を知らぬ者はいないほどに有名は組織だ。
光の使者の目的は神による完全なる管理された社会、そこには飢えや争い、嫉妬などの負の感情がない完全なる平等な世界だそうだ。争いをなくすと言いながら一方的に争いを仕掛けてくる頭のイカれた奴らだが
「なんでそんな奴が」
「言ったろ、ここは悪の組織の隠れ家多いって」
「しかしあんな堂々と」
「言わなかったかいここのルール?」
「え、ああ争いを禁止するだろ」
「そうだよ、それは逮捕するって理由でもなんだ」
「えっ、それって」
「そうこの街にいる限り捕まえることは出来ない、出来ないからこそ堂々と暮らしてるのさ」
「そ、それで良いのかよ?」
「幻影の町は君達、人の世界と完全に隔離された世界だよ人のルールなんて関係無いし気にしないのさ」
「じゃあ他にも犯罪者がいるのか?」
「僕が見た中でも大なり小なりだけど様々な悪の組織の構成員がいるね」
「えっ?」
辺りを見回す、手配書とか持っていないので分からないが確かにあの一角顔が完全に悪人顔だ。あれに違いない
「ああリョウ、そっちじゃないよそっちはみんなヒーローだよ」
「えっ? だって顔が犯罪者じゃないか」
「もう大きな声出さないでよ、リョウ人を見た目で判断したらいけないよ」
「いやそうだけど」
「はぁ、リョウあっちが犯罪者だよ」
そっちには普通の格好をした普通の人が座っていた。
「えっ普通だね」
「普通は派手な格好しないね、戦闘とかでは派手な奴多いけどね、おかわり!」
まいった、流石にミミティの言う通りだ。ヒーロー教本にも見た目に騙されるなと
まあ、それはいいだが
「ミミティいつまで食ってんだ!」
その日小遣いが消えていた、不思議なこともあるもんだな。あれ涙が出てくる、クスン