緑のなか
1. 緑の中
2000年代から、始まっていた。全てが、同時に進行。
地球全体に頻発する異常気象。天変地異。
世界経済の崩壊。
そして、 雨が降らなくなった。
飢餓と水を巡る駆け引きが始まっていた。
その場所は、隠された緑の中。洋館の一室。部屋の真ん中に、机と言うには、あまりに立派な代物に、まだ、中学生のような少女が学校のセーラー服のような姿で、座っている。髪は長く、腰まではある。真っ黒な髪。結わえられる事なく。部屋には、もう1台、少女の机より小ぶりだか、これもまたしっかりした机に、まだ20歳前後と見られるスーツ姿の青年が、電話で何か話している。
「聡子様、本日午後より、内藤様が、お出でになるようです。会いたいと言って来ましたが、どうされますか?」
青年が、電話を保留にし、そう尋ねた。
「時間がありません」
「分かりました、では、そのように」
『内藤総理、申し訳ありませんが、聡子様は、本日はお会い出来ません。後日にお願い出来ませんか。___ええ、しかし、本日は__』
相手が、なかなか電話を切らないらしく、青年は神経質そうな眉を寄せる。
その様子を見ながら聡子はため息をついた。そして手元にあったメモ用紙に何事か書きつけた。
『明日朝から会います』
と書いた紙を電話中の彼に見せた。
『明日の朝では、どうですか?ー』
ようやく話がついたらしく、長かった電話が切られた。ため息をついて、間髪入れずに、また電話が鳴る。
『はい。東宮執務室です。はい、はい…。いらっしゃいます』
ちらっと聡子の方を見ながら、返事をする。
「聡子様、天城様がいらっしゃいます」
聡子の顔が明らかに緊張感のある物になった。
「分かりました」
それまでのつれない態度ではない。先ほどの電話の相手は、一国の首相よりも、優先されたのか。
天城から、連絡が来た。そうか、とうとう決まってしまったのか。分かってはいたが、その日が決まってしまったという事だ。
聡子は席を立ち窓辺による。
窓から、今は使用されていない、白い建物。国会議事堂が見えていた。
執務室と繋げると行った時、誰も反対しなかった。
東京は、首都でありながら、極端な過疎化が進んだ。土地が余っている。
「聡子様、昼食のお時間ですが」
青年は、部屋にある柱時計を見た。
「今日は、いらないわ」
「昨日もそう言われて、お召しあがりにならなかったと、聞いていますが?」
青年のは咎めるように言った。
「武臣、あなた、昨日は居なかったのに、よく知っているわね」
聡子は、まだ窓の外を見ていた。武臣の、聡子への管理は、徹底していた。
「ご自分の身体ですよ」
ああ、怒らせたらしい。この従兄弟は、私に甘く、そして厳しい。
「天城にあった後にしましょう。すみません、武臣さん」
「分かりました」
神経質な従兄弟が、ため息をつく。
緊張感で、喉が通らない、と。言いたかった。まだ、武臣には、伝えられずにいた。
天城は、今日、自分に決断を迫るだろう。
聡子は昨日、13歳になった。




