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蛍の絆  作者: 吉川翼
第二章 蛍の恋
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7

プレゼントという悩みも解消し、いつでも沙紀の誕生日を迎えられる状況になっていた。

沙紀の誕生日は3日後の5月26日生まれ。徳馬は、沙紀にプレゼントを渡さなければいけないので、沙紀にその日待っておいてくれと伝えることに。


大学へ着くと、沙紀の元へ向かう。沙紀は友達と話しているようだった。

そんな沙紀を手招きし呼ぶと、1度咳払いをしてから言った。

「なぁ、沙紀。26日、何か用事あるか?」

「ううん、ないよ」

その回答を聞くと、徳馬は1度息をつく。

「じゃぁ、その日自然公園に夜7時に待ち合わせ……いい?」

「うん、いいよ。分かった」

徳馬は用件を伝え終えると、じゃぁ、と廊下を走り去った。

少し顔が赤らんでいるのは、沙紀にも分かっているようだった。


『うーん、やっぱり徳馬、何かくれるのかな……。うれしいな』

想像しただけで、顔を赤らめる沙紀。沙紀の周りの友達は、そんな沙紀をからかっていた。



「よーし、これでオッケェだな」

やるべきことはやった、と自信満々に講義へと向かう徳馬。

その途中、徳馬は背後から誰かが近づいてくるのを感じた。

振り向くと、後ろには将司が居る。

「よぅ徳馬!」

朝っぱらから元気だな――徳馬にとっては少々雑音だった。

「なぁ、お前、彼女さんへのプレゼント買ったか?」

どうして誕生日知ってるんだ、と言いそうになるも、徳馬はこらえて質問に答えた。

「あぁ、買ったよ。昨日な」

「おぉ、さすがだねぇ」

茶化すように言う将司。徳馬は少しムッとしながらも、それを誇るように胸を張る。

「まあな!」

茶化したはずが、逆にそれを誇られている――将司は面白くなさそうな顔を浮かべた。

だが、また反論する言葉が見つかったのか、ニマッと不敵な笑みを浮かべる。


「なぁ、徳馬。覚えてるよな、約束」

「約束?」

一瞬本当に忘れたように聞き返す徳馬。しかし、すぐに思い出し、あっと声をあげた。

「飯、奢ってくれるんだよな」

「え、あ、いや……あれはお前が勝手に」

「あれ、徳馬君ってそんな軟弱者なの?」

その言葉に、徳馬の顔がこわばる。

「あぁいいさ。奢ってやるよ。まぁ、次回は、俺が高得点とって、お前が涙目になるけどな」

何故か強がって喋る徳馬。しかし今涙目なのは徳馬だ。

「よし、じゃぁ、28日の夜、ステーキのボムな! よろしくたのむぜぇー」

何故か強がったその姿勢のまま、徳馬はその場に立ち尽くしていた。

ちなみに、ステーキのボム、最低金額のステーキは、5200円だ。

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